ーー私は吉田さんの映画をフェミニズム的だと感じるんですが、ヌードがあるセックスシーンがあるというだけで「エロ」とひと括りにされ、「男性が観るもの」と勝手に判断されてしまっている気がします。
吉田浩太さん(以下、吉田):そうですね、作品として表現したいことはそういうとこではないんですよね。実は僕、昔、自分のことを女だと思ってたときがあったんですよ。小さいときの写真を見ると、ビキニを着てプールに入ってるんですよね。だからってのは違うかもしれないけど、女性がきれいになる、ということへの純粋な欲求はあるんでしょうね。そしてそれを女性に観てもらいたい。しかし、いざ作品にするとなったときに、宣伝の仕方を含めて男性向けになってしまう、というのがジレンマだなとすごく感じてました。
ーー吉田さんから観て、いまの映画業界で「自分はここだな」というジャンルってありますか?
吉田:僕のなかでエロスというものは切って離せないものだという気はしているので、女性がちゃんと観れるエロス、ということはずっと思っています。
ーーそういうジャンルがカテゴリとしてないですよね? AVでは女性向けAVがジャンルとして成り立っていますけど、映画はそれとは違う。ピンク映画もやはり男性向けで、空間的に女性が非常に行きにくい。女性はそもそも観客から除外されている気がします。

吉田浩太監督
ーーフェミニズムとエロって、私はものすごく繋げて考えたいテーマなんですが、「フェミニスト=エロが嫌い」と決めつけられがちなんですよね。だから「なんでフェミニストなのに脱いでるんですか?」とか意味のわからない質問がきます。エロの表現がありながらフェミニズム的な内容の作品もあれば、エロの表現がなくてフェミニズム的な作品もある。吉田さんの作品は前者にあたると思うから、「男性向けのエロい映画」という先入観を取り払って一度観てもらえば、フェミニズムのイメージで誤解されている部分が解消される気もします。
吉田:男にしてみたらフェミニズム=怖いっていうイメージはあるんじゃないかな。エロいものはダメっていわれるんじゃないか、すごく拒絶されてしまうんじゃないか、という恐怖心がある。でも、本当のフェミニズムはそうじゃないですよね。女性が何かを強制されているのはいけませんが、女性自身が主体的かつ自由にエロを表現するのはいいじゃないですか。
ーー本当にそうですよね! 吉田さんは以前「女性の美しさ」を撮りたいとお話しされていましたが、世間一般のいう「女性の美しさ」とは違うことを指しているのかなと感じます。社会にあるそれって、型にはめたがるものが多い。それを聞くと私は「女性は美しくいなきゃいけないのかよ」って反抗心が生まれるんだけど、吉田さんがいっているのは、吉田さんが決めた美しさではなく「その人のもつ美しさ」なのかなって。
吉田:自分と繋がったところの美しさじゃないと、女性本人の心が動かないと思うんですよね。心が動かないと本当に美しくはなれないから。
ーー「美しさを押し付けられる」のと、「本当の自分が美しい、としてくれる」のと、どちらも経験してる私としては、押し付けられるのって本当にしんどいですよ。