
『女の穴』撮影時の写真。吉田浩太監督(左)、石川優実(中央)
こんにちは。グラビア女優でライターの石川優実です。2017年に#MeTooをしてからこの連載を通してジェンダーやフェミニズムについて学んでいます。今回は、私から見るととてもフェミニズム的な映画を撮っている、吉田浩太監督へのインタビュー、後編です。
吉田さんの描きたい「エロ」とフェミニズムは親和性があるのか。フェミニストってエロが嫌いなクソ真面目な女でしょ?と思っているみなさまにもぜひ読んでいただきたいです。
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脱いでてもセックスシーンがあっても「フェミニズム」な表現はある/石川優実☓吉田浩太監督
こんにちは。グラビア女優・ライターの石川優実です。2017年に自身が芸能界で体験したセクハラや性暴力を「#MeToo」として発信、2019年からは職場…
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ーー自分の作品を、男性に向けるエロとひと括りにされることで嫌と感じることはありますか?
吉田浩太さん(以下、吉田):2014年に公開された『ちょっとかわいいアイアンメイデン』という、女性しか出てこない作品があって、撮影中は本当に女性を美しく撮るっていうことしか考えてなかったんです。だけど、「レズビアン」「拷問部」というところばかり着目されて、公開時は、いわゆる男性的な視点での「究極にエロい」みたいなところばかりになってしました。描きたかった女性の美しさというテーマは表に出ず、いわゆるエロばかりが前面に出てしまい、極端だなと思いました。
ーー「すごくエロい」「抜ける」みたいなことを売り文句にされちゃうと、なかなか女性は映画館に足が向かないですよね……。
吉田:ずっと表現したいと思っているのは女性の美しさなので、そこを見ないでエロっていう変な意味合いだけで切り取られてしまうのはすごくいやだよね。汚された気がする。それがちょっと慣れっこになっていて、どうしようもないことなのかなとあきらめていたところもあるんだけど、もう少し戦えるなら戦いたいなと思っています。
ーーエロに女性のニーズがないって勝手に決められていることもあると思います。女性向けのアダルトグッズもいま急に出てきたかのように思えるかもしれないけど、ニーズはずっとあったはずなんですよ。それを見つけることができなかっただけですよね。女性側も、いうことすらできなかった。吉田さんの映画も同じだと思っていて、観たい人はいるんだけど、そんな映画が存在することをまず知らない。作る側も女性に需要があると知らないから届けようとしない。だから吉田さんが映画を作るにあたって変えることって、ほぼないと思うんですよ。それを扱う側が正しくやればいいだけの話で。
吉田:宣伝の仕方ひとつ変えるだけで、ぜんぜん違いますからね。女性向けの媒体で取材を受けたこともそんなにはないですね。基本的にエロっていったら男性向けの媒体になっちゃうから。東スポとか、めちゃくちゃ書かれたもんなぁ。まったくいってないのに、「女はどんどん脱げばいいんだ」とか。
ーー女性向けのメディアも、もっと吉田さんのことを取り上げたらいいなと思います。吉田さんの映画を観た人にこうなってほしいとか願望ってありますか?
吉田:やっぱりエロく感じてほしいかな。
ーー前篇でお話した「自信がある人は色気がある」ということに繋がるんですかね。「ただ抜きたい」みたいなエロではないですよね。
吉田:そのつもりでぜんぜん作ってないんで、僕の映画じゃ抜けないと思いますよ。
ーーそもそも抜いてくれってってないのに「抜けない」っていってくる人もいますよね。それもエロは男性のためにしか存在しないって思っている証拠だと思います。逆もいえると思うんですが、吉田さんのショートムービー「納豆」のサイドストーリーに出てくる女の子がすごく素敵だなと思いました。