女性の主体的な性行動を描くフェミニズム映画を撮りたい/石川優実☓吉田浩太監督インタビュー

文=石川優実
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ーー自分からセックスしたい感をすごく出していたんです。初めて会った男性に対して女性から「ヤリたい」っていう感情を出すのって、結構むずかしいことだと思うんですよね。セックスが好きとかヤリたいとか女性がいっても、それを理由に性犯罪とかセクハラに遭わない、そして自分で相手を選んで相手にも選ばれてOKしてくれたときにセックスする、という世の中になったらいいなぁと思ってます。

吉田:そう思うよ。僕は女性じゃないからわからないけど、女性がセックスしたいと思うことって、男がそう思うのと同じように当たり前のことなんですよね? それを口に出しただけで被害に遭うようなことがあればそれは明らかにおかしいですよ。欲求って誰にでも普通にあるし、その欲求を自分から発信してその欲求が達成されればいいですよね。

ーー「達成される」っていいですね。女だって別に恋愛として好きな相手とじゃなくても「やりてーな」っていうときもあると思うんですが、これもなかなか認められない気がしています。そういうことができる人、できない人がいるのは、男性も女性も関係ないんじゃないかな。やりたいからって誰とでもやるわけではもちろんないですし。やりたいなかでも、選ぶのが当然。やりたいってったら「じゃあ、僕と」と当たり前に思う人がいますけど、やりたい人とやりたいんですよ。誰とするかは、私が決めるんです。

日本映画界の#MeTooは?

吉田:ひとつすごく聞いてみたいことがあるんだけど、女性ってMの人が比較的多いなと思うんです。これまでそれって本能だと思っていたんですけど、これは「男性が優位であって女性が下である」という奴隷的な価値観のなかで生まれたもので、社会的に組み込まれている差別なのかな? もしフェミニズムがもっと台頭していって、男女が本当の意味で対等になったとき、女性の本能はどっちに行くんだろう?

ーーいまのところ女性側も、自分がSになるという選択肢があると思ってない人が多いかもしれないですね。女の人も自分からセックスしたいと当然いえるような社会になっていったときに、本当に女性にMが多いのかってわからないですよね。

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吉田浩太監督

吉田:女性の本質的なところにタッチすることが僕の仕事だと思ってるから、そこは知りたいです。これが本当にその人にとってのものなのか、もしかしたら揺らぐかもしれない価値観なのか。

ーーちょっと通じるなって思うんですが、#KuTooという運動をしていると、ヒールを履きたい女性も当然いるじゃないですか。で、その履きたい気持ちって、「ヒールを履くことが女性のマナー」という価値観がない社会にいたとしても自然に生まれる気持ちなのかな? スカートも同じく。考えてもキリはないし、もちろん外からの影響で自分の好みというのが変わったり決まったりするのは何にでもいえることだろうけど、男女で差がない状態になったとき、自分は何を選ぶのかな。前篇で吉田さんが子どものときビキニを着ていたっておっしゃってましたけど、子どものころはまだそんなに男がどうとか女がどうとかの価値観がないですよね。吉田さんはビキニを自分で選んだんですかね。

吉田:自分で選んだんでしょうね、それが着たかったんだと思います。

ーー男性も、女装でなく男性としてスカートを履きたい人っていますもんね。そういうのいいなって思います。

吉田:今後映画は、フェミニズム的な価値観で動いていくことになると思うんだよなぁ。ハリウッドとか、ワインスタインの問題があってから一気にそうだよね。正しい方向に進んでいくと思います。
*ハリウッドの大物プロデューサーという顔の裏で、女性に性関係を強要していたことで告発される。#MeTooのきっかけとなった。

ーーワインスタインのことがあってから結構経つのに日本の芸能界はそこまで危機感を持ってないように思えるんですが、なんでなんだろう?

吉田:いまのところ、ワインスタインくらいの激しい告発ってされてないよね?

ーーされてないです。でもありますよね? なんで出てこないと思います?

吉田:ぜんぜんある。圧倒的にあると思う。芸能事務所のパワーバランスだと思うな。日本の芸能って、基本的に事務所が一番力を持っているから、そこを糾弾してしまうといろんなところに影響が及んでしまうんでしょう。

ーー戦々恐々としている人っていますか?

吉田:いるでしょうね。そういうのが、本当に嫌で。監督というものに変なイメージもつきますし、一緒にされたくない。

ーーそういう人たちがたくさんいるなかで、私は、吉田さんみたいな真っ当な人と映画を作りたいんですよね。フェミニストに届くような映画を作りたい。エロスの表現も絶対入れたいです。韓国では小説『82年生まれ、キム・ジヨン』がすぐに映画化していたので、リメイクや日本バージョンを作れないのかしら? と思って原作使用の問い合わせをしましたが、返事が来ません(笑)。

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