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産後クライシスからのセックスレスでも「夫を褒めて育てなくていい」

文=有屋町はる
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足立:そういったことは、結婚当初はできますが、10年、20年一緒にいるとどんどんできなくなります。それが夫婦のめんどくささですよね。

Mio:女性からよくアプローチされる男性に聞くと、「自分の射精は二の次」だといっていました。女性をどれだけ気持ちよくさせるかが最優先で、射精はその次だ、と。

足立:40、50歳になって「とりあえず射精したい」という男性は少ないと思うので、「実は俺も、奥さんを気持ちよくしてやりたいんだよ」という男性は多いと思います。でも妻側からすると、「いやいや、それより普段のおまえの生活や、わたしへの接し方を省みろよ」ということなんじゃないでしょうか。普段、家事育児をすべて妻に任せるような生活が10年つづいてからの、「俺、ほんとは妻をイカせたいんだよね」は、「ハァ? ねーよ!」ですよね。

Mio:産後クライシスがまさにそれですね。出産後の女性の愛情は子ども90%に対して夫10%にならざるを得ませんが、そのときに育児に協力的だと、子どもが安全に育ったとわかったころに夫への愛情は復活するんです。対照的に、ずっとワンオペ育児だと夫への愛情は10%のまま低迷し、仮面夫婦化や熟年離婚の入り口になる。

 だから、あとになって夫が「妻を気持ちよくさせたい」といっても、「なにをいまさら? わたしに触ってほしくもない!」となるんだと思います。そこからの復活は、すごくむずかしいですよ。逆に、育児中に気が立っている妻が「触らないで!」と厳しい態度を取りつづけ、夫がいじけてしまい、育児が落ち着いてから夫を振り返ると、「夫が構ってくれなくなった」という夫が妻を拒否するセックスレスもあります。

夫を褒めて育てなくていい

ーーそういった面から見ると、『それでも〜』の主人公・豪太は家事育児の大部分を担っていますよね。

足立:仕事がまったくなくて、やることが家事育児しかありませんからね。それがあるから離婚には発展しないのかもしれません。

Mio:女性は仕事や年収よりも、家庭での夫の姿に評価基準を置きますから。

ーーそういった話を、Mioさんの元夫のような男性は、ロジカルに話せば素直に聞き入れることはできそうですか?

Mio:辛抱強くいえば大丈夫だと思います。わたしは現在、離婚業務を専門とする税理士、行政書士、カウンセラーとして仕事をしていますが、相談に来る男性には、「それ、もっと早く聞きたかった」「うちはもう取り返しがつかない」という人が多いですしね。子どもが小さいタイミングで話すと、「いま聞いておいてよかった」となりますから。

ーーその時期なら、まだ間に合うんですね。

足立:辛抱強くいうことの必要性はありますよね。いわれたらキレる人もいそうだけど。Mioさんも本に書いていましたが、男性は否定されることに弱いし、打たれ弱いじゃないですか。でも、かといって妻が、そんな夫に気を遣って上手にいう必要はまったくないと思うんですよ。よく、「夫に家事をさせるために褒めて伸ばせ」みたいな意見がありますが、あれって女性がものをいえない風潮を増長させていると、僕は思います。「夫に気を遣って褒めて育てる」ってなに? いやいや相手おっさんだよ? と。夫にはクソミソにいったほうがいいですよ。

Mio:特に専業主婦にとって、夫は家族の機能のひとつである“稼ぎ手”として必要なんですよ。だからクソミソにいってヘソを曲げられると、外で浮気されるかもしれないので、「すご~い! アゲアゲ~!」な感じでしかいえないという側面もあります。でも足立さんがおっしゃるように、そういったところで夫は何も変わらないんですよね。離婚案件を見ていると、夫が変わるときって、妻が本音をいうときだけ。「これはマジで捨てられるかもしれない」と思わないと、夫は聞いてくれません。

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