ブラック労働組合に引っかからないための5つのポイント

文=松沢直樹 監修=宮本督弁護士/中島・宮本・溝口法律事務所
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「GettyImages」より

ブラック労働組合に引っかからないようにするには?

 前回は、ブラック労働組合の実態を説明した。では、ブラック労働組合にひっかからないためにはどうしたら良いのだろうか。実は5点のポイントがある。参考にしていただきたい。

1.コンタクトを取る前に必ずインターネット上で情報を収集する

 今の時代は、年配の人だけで運営している労働組合でも必ずホームページは持っているし、YouTubeなどの動画チャンネルを持っていることも珍しくない。その理由は至極簡単。組合員の勧誘と、現在までの実績を示すためだ。

 もし、ホームページがなかったり、仮にあったとしても、現在までにトラブルを解決した実績が記載されていない労働組合は、コンタクトを取るのを控えたほうがよいだろう。ブラック労働組合ではなくても、交渉力に乏しく、問題解決に至らない可能性が高いからだ。

 また、動画をYouTubeに投稿している場合は、よく観察したほうがよい。特に、団体交渉や団体行動(ストライキ)で組合員の労働問題を解決した時の動画はくまなくチェックしてほしい。ヤクザ者のような風体の人たちが目立つ場合はもちろん、交渉の際に、恫喝するように声を荒らげている人物が目立つ場合は、ブラック労働組合の可能性が高い。

 団体交渉や団体行動の中であっても、恫喝に等しい行為を行えば、当然のことながら違法行為として処罰される。ブラック労働組合は、付け焼刃で労働組合の風体を装っているので、そういった箇所にボロが出がちである。

 併せて、労働組合の幹部の名前がわかるようなら、「労働組合の名称+幹部の氏名」で検索をかけてみるとよい。暴力団まがいの人物の噂や、過激派とのつながりが噂されるような情報が出てくるなら、コンタクトを取るのは控えたほうがよいだろう。

2.解決すべき問題を整理し、獲得目標を設定する

 現在自分が直面している問題を整理して、どのような結果が得られればよいかを確認しなければ、自分の意図しない方向に交渉が進んでしまうことになる。これは弁護士に解決を依頼する際も重要になる問題である。

 たとえば、残業代の未払いが起きているのであれば、未払いの残業代を精算してもらい、今後再発しないように誓約書を作ってもらうというように、問題を明確にした上で、交渉の落としどころをきちんと整理しておく。

 これを明確にしておけば、普通の労働組合であれば自分の意図しない条件を掲げて勝手に交渉を進めることはない。もし、相談した労働組合がそのようなことを声高に言うのならば、別の団体を探したほうがよいだろう。

3.労働組合に加盟した時の義務と経済的負担を必ず確認する

 一般的に労働組合に労働トラブルの解決を相談した場合、弁護士に相談するよりも費用は安い。だが、寄付金を求める労働組合も多いので(解決金やカンパという名称で呼ぶことが多い)、どれくらいの金額を寄付すればよいのか事前に確認しておく。

 また、組合費などがかかるのが通例なので、その点も確認しておいたほうがよい。さらに重要なのは実務負担だ。前述したように労働組合は互助組織なので、他の組合員が労働トラブルに巻き込まれた際は、自分も対応しなければならない。どれくらいの頻度で参加しなければならないのかといったことも加盟前に確認しておいたほうがよい。

 組合によってはメーデーのデモ参加や、特定の政治問題(沖縄の米軍基地建設問題など)に反対するデモに参加することを求められることもある。もしそうした質問への回答を濁したり、質問の段階で声を荒らげて恫喝するようなことがあるなら、その場で話を打ち切りにし、加盟をしないと明言したほうがよいだろう。

4.問題解決後のアドバイスを受けられるかを確認する

 労働問題は、単に解決を目指すだけでなく、解決した後のバックアップが得られるかが重要である。残業代の支払請求にしろ、パワハラ抑止にしろ、一旦会社側との交渉を解決に導けたとしても、自分はその会社に毎日出社して働くわけである。

 当然、再び加害行為が行われる可能性があるが、その際に迅速な対応や助言をしてくれるかどうかを確認したほうがよい。

 問題解決後も、引き続き会社と対抗して抑止力となってくれるかは、労働組合に相談する上での一番のメリットである。この点は必ず確認したほうがよい。ここでももし言葉を濁したり、恫喝してごまかそうとするなら、ブラック労働組合の可能性が高いと判断して、加盟は見送ったほうがよいだろう。

5.「できない」と明確に言うかを確認する

 自分自身がトラブルに巻き込まれた状態になると、客観的に自分を見つめられなくなり、つい、無意識のうちに労働相談を請け負ってくれる人に、全てを任せてしまいがちだ。

 だが、労働組合がいくら強権をもたされているとはいえ、あくまで法に則った行動しか行えない。自分の要望に対して、なんでも解決できるというような回答をする者がいる労働組合への加盟は慎重になったほうがよい。むしろ、はっきりと「これについては、できません」と言ってくれる労働組合に相談を求めたほうがよい。

加盟後にブラック労働組合だったと気づいた時はどうすべきか

 労働相談を行った際の印象の良さから加盟したものの、実は限りなく反社会的な行為を行っていたり、政治的問題への傾倒が著しいことから、加盟後にブラック労働組合だったとわかることもあるだろう。なお、発足から時間が経っていない労働組合は、悪意がある人物が入ってきて組合を乗っ取ってしまい、ブラック化することもある。

 そういった場合はすみやかに脱退すべきだが、怖くて脱退の意思が伝えられないという人も多いだろう。そのような場合は、まずは様子を見るしかない。

 労働組合は基本的に互助組織である。そのため、組合費の支払い義務などは法的に生じるかもしれないが、組合活動に積極的に加担しなければ法的措置を講じられるといったことは通常ない。

 また、呼びかけに対して素直に応じる組合員を団体交渉・団体行動などの場に動員する傾向があるので、電話連絡やメールがあっても返信をせず、まずは様子を見てみるとよい。
その上で、何も連絡が来なくなるようなら、そのままフェードアウトしてほしい。

 残念ながら、中にはしつこく連絡を取ってきたり、自宅に訪問してきたりするケースもある。その場合は、弁護士に相談して脱退について内容証明を書いてもらうという手もある。もちろん自分で作ってもよいが、弁護士に作成してもらうほうが抑止力になりやすい。

 ブラック労働組合の目的は、労働問題に介在することで得られる金銭やその他の権利なので、旨味がなくなり、身に危険が及ぶことがはっきりすれば、それ以上のコンタクトをとってくることはないはずだ。

 また、あきらかな違法行為、たとえば、「組合の会合に出てこなかったら会社に出向いて仕事ができなくしてやる」といった脅迫行為を受けたりした場合や、他に犯罪行為に該当すると考えられる行為があった場合は、必ず記録しておくこと。その上で、警察に相談して毅然とした態度を取ることが重要である。

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