
池田エライザInstagramより
池田エライザが「日本の“痩せ”基準」を懸念するツイートをし話題になっている。池田は今月4日、Twitterに以下の文章を投稿した。
<日本の痩せてるの基準痩せすぎなのではと不安になる>
池田エライザのツイートには、「エライザは太ってないから大丈夫」「エライザ自信もって!」など激励のリプライが飛んでいた。それらは、痩せ体型が美しいということを疑わないからこその言葉だ。
エライザの懸念は彼女ひとりの肉体についてではないだろうが、「エライザは痩せていて美しいのだから自信を持っていい」という助言はエライザの懸念をまるごと無視していると言える。
日本女性の「痩せすぎ」は実際、問題となっている。厚生労働省が実施している「国民健康・栄養調査」(2017年)によると、BMIが18.5未満の「やせ」の女性は、20代では21.7%にもおよび、栄養状態の悪さが懸念されている。
メディアに根付く“痩せボディ”の推奨
「日本の女性は痩せすぎている」
これは今に言われ始めたことではないし、“痩せ信仰”は根深く、「痩せていること=美しい」とする価値観が浸透した社会は日本だけでもない。ただ少なくとも、バラエティに富んだ体型を「どれも全部美しい」と認めようという動きが一部海外では始まっている。
しかし一方で、特に女性に向けてのダイエットの広告は、日本の街中至る所に氾濫している。テレビをつければ、痩せていない女性芸人を馬鹿にする演出が“笑い”として提供されている。男性向けのダイエット広告もあるが、多くはあくまで「肥満解消」「健康」であり、女性向けの「美容」とは趣が異なると言えるだろう。
今年1月、朝の情報番組『スッキリ』(日本テレビ系)でも、“痩せ信仰”の根深さについて特集していた。
まず番組では、女子高生への生活習慣調査により<約8割の生徒に、3カ月以上生理がこない無月経のリスク>があると紹介。
無月経の原因のひとつは過度なダイエットによる体重減少だといい、<SNS上の身近な人物に影響を受け、自分も痩せてきれいになれると考えている>という当人たちの声もあげられた。
水卜麻美アナウンサーはダイエットに励む女子高生の意見に共感しながらも、ダイエットによって心身共に不安定になった経験を明かした。水トアナは同局『24時間テレビ』の一番小さいサイズのTシャツを着るべく毎年ダイエットをしている。それもメディア側として痩せ信仰を煽っているかもしれない。
スタジオ出演者らは「若い女性たちが、痩せなければいけないということを刷り込まれている」と苦言を呈した。
<その年代は成長の過程でふっくらするのに、痩せてなきゃ可愛くないっていうことが刷り込まれている>
<一律にみんな痩せたほうがきれいだとか、そんなことはない>
しかしこの特集を終え、何本かのニュースを挟んだ後、『スッキリ』は“美魔女”を特集。48歳には見えない美しさだと、スリムな体型を維持する女性を絶賛した。この美魔女特集は、老いも若きも女性たちに「痩せなければ」という思いを刷り込むメディアそのものであり、ネット上では「矛盾している」との批判も噴出していた。
この違和感に番組スタッフが気付かないほど、「細い」は女性の美しさの大きな基準になっているということなのだろうか。無月経など、健康を害するほど追い詰められる痩せ信仰は良くないが、「健康を害さない程度に痩せていること」はやはり素晴らしいとされるのだ。
問題は「他人の体型に口出しする」こと
一方で「自分の痩せた身体が好き」だという人に、「もっと食べろ」「太れ」などと言いBMIの普通にまで増量を促すこともまた、他者の自由を奪うことになる。体質的に太らない人もいるし、多様な体型を認めようなどと言ったところで、結局大多数は「痩せたい」のだ。
「痩せたい」思い自体は悪いことではないのに、それを責められているようにも感じるだろう。
それはweb広告にも如実に表れていて、胡散臭いダイエット商品の広告は至るところにあふれており、もはやメディア側も制御できない。そうした商品に興味を持ち、購入するユーザーはとてもたくさんいる。
ダイエットはカジュアルな話題だ。さほど精神的に追い詰められているわけでなくても、「痩せたい」ものなのである。それほど痩せ信仰による美の基準は蔓延している。
だから「ありのままの体を愛そう」などと言われたところで、あまり響くものではないのかもしれない。そもそも自分の体をどう扱うかは自分で決めればいい。つまり裏返せば、「太っている」「痩せている」などと気軽に他人の体を品評することを止めようということだ。
タレントの小島瑠璃子は、「他人の体型に口出しすること」への持論をSNSに投稿している。小島は昨年7月、Instagramに自身の水着姿の写真を投稿したが、コメント欄には彼女の体型に関することが多数書き込まれていたといい、他者の体型に言及することへの違和感を表明した。
<太ってようが痩せてようがその人にあった体型があって、笑って暮らせる体型でいるのが一番人間らしい。それを他人が太ってる痩せてるっていうものさしで決めるのは窮屈だなって思います。とはいえ、私も気をつけよ。距離感が近いひとに、世間話として痩せたー? とか太ったー? とかも、その人がどう思ってるかわかんないな。グダグダいってすいません>
上記の投稿には賛否があったようで、翌日、Twitterで説明を補足している。
<みんなそれぞれベストな体型は違うよ! ナチュラルがいいよ! という事だったよ!>
<身体に対する悩みの方向性がそれぞれ違って、それは周りからはわからない。体質も持病も月のリズムもあるから、それぞれ健康で居られる身体でいたいよー。芸能人でも一緒だよ!>
<怒ってるんじゃなくて、思ったことを言ってみたんだよ! ひとりひとりの個性が大事にされていきますように>
小島瑠璃子「細すぎだよ!とか太った?とか…」体型への無邪気なコメントに苦言も「じゃあ水着になるな!」
タレントの小島瑠璃子が14日更新のInstagramで、「他人の体型に口出しすること」について言及し、議論を呼んでいる。正確には「議論」と称していいも…
彼女の言うように、一人ひとりの身体は身長や骨格、食べられる量など、何から何まで全員違う。一律な美の基準はない。結局は自分の体を大切にし、他人を尊重することに尽きるのかもしれない。