【町中華】昔ながらの皮厚餃子とラーメンライスを堪能する/柴又・四川(東京)

文=昼間たかし
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 寅さんの町・葛飾区柴又。日中は15分に一本しか電車が走らない京成金町線はいつもそこそこ混んでいる。柴又帝釈天にお参りする観光客がいつも絶えないからだろうか。

 こぢんまりとした柴又駅前の広場には、寅さんとさくらの銅像。観光客は必ず足を止めて記念写真を撮影している。なので、広場にはいつも賑わいがある。

 そんな駅前の風景も、もうすぐガラリと変わる。広場に沿って並んでいた平屋の商店が再開発で姿を消すからだ。大部分は既に取り壊されてしまったが、右寄りのタバコ屋はまだ営業中。店の前に置かれた灰皿に愛煙家たちがいつも集っている。

 そんな駅前の広場から左に向かえば帝釈天の参道。駅を降りた大抵の人はそちらに向かう。その人の流れに乗らず、右に歩けば地元の人しか歩かない商店街。その一角にあるのが、今回たどり着いた「四川」である。

ランチタイムを過ぎても混む地元の人気店

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四川
住所:東京都葛飾区柴又4-9-1
営業時間:
11:00~15:00 17:00~20:00(売切次第終了)
日曜営業
定休日:月曜日

 まず、目に飛び込むのは付け替えて、まだ間もない雰囲気の黄色いテント。そこには「中華街の味 なつかしいラーメン」の文字。

 看板には「ラーメン」、そして暖簾には「柴又餃子」。初めて訪れた人は「いったい、この店の店名はなんなのだろう」と思うのではないだろうか。丸で囲まれた、画数の多い読めない漢字……ラーメン通なら知っているだろうビャンビャン麺の「ビャン」の字が店名なのかとも思ってしまう。

 暖簾をくぐれば別に店名を隠しているわけじゃないのは、わかる。ドアのところには「中国料理 四川」と書いてある。でも店名の上にセットメニューの案内が張ってあるので、内側からではないと店の名前はわからない。もうひとつ不思議なのは、テントに書かれた文字。「中華街の味 なつかしいラーメン」とは、いったいどんな味のことなのだろう。
 
 色々と首を傾げながら、店に入ったのは午後2時前。既にランチタイムを過ぎているのに、店の中は驚くほどに席が埋まっていた。

「いらっしゃいませ!」

 混み合うなか店員さんは「カウンターでよろしいですか」と申し訳なさそうに案内してくれる。ぜんぜん構わないので、笑顔で返事をして席についてメニューを見る。

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 なにを注文すべきか迷うほどに品数が多い。「中華街の味」と書いていたのにメニューに「豚キムチそば」なんてアバウトなメニューも。一品料理の「カラアゲ」は1600円と、下町とは思えない高価格設定。おまけに豆腐は「トーフ」だし「ザァジャア麺」など言語感覚が独特すぎる。

 ちょっと迷って注文したのは、餃子3個と半ライス、ラーメンのセット。なぜなら、メニューの2ページ目を丸々使って、大々的にアピールしていたからだ。

 注文して、しばらくすると後ろの客が席を立った。手早く食器を片付けた女性は「どうぞこちらへ」と案内してくれる。そして、さらに一言。

「もうちょっとお待ちくださいね。次の次にはできますから〜」

 そして、その言葉通り次の次に、ラーメン、ライス、餃子の順番で料理は運ばれてきた。

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 ラーメンは、優しい醬油味。中華街っぽさは微塵もないが「なつかしいラーメン」なのは間違いない。なにしろ、チャーシューがたった一枚だけ、うやうやしく盛られているからだ。

 次に気になったのは半ライス。半分という割りには、茶碗いっぱいに盛られている。半ライスというもののイメージが塗り替えられていく盛り方である。

昔懐かしい皮の分厚い餃子に舌鼓

 餃子もまた不思議な感じである。暖簾には「柴又餃子」とあったものの柴又の雰囲気はどこにもない。強いて言えば、皮の分厚いレトロな見た目というところだろうか。

現代的な店では皮の分厚い餃子を見ることも少なくなった。好まれるのはパリパリした食感の混じる薄皮餃子。それに対して、皮の分厚い伝統的な餃子は、平成生まれに「へえ〜昭和ってそんなんだったんですか」と笑われてしまうような野暮ったい感じがある。

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 でも、やっぱり餃子は皮が分厚いほうがいい。皮そのものを楽しんでお腹も膨れる2倍3倍の幸せ感がある。

 酢を多めにたっぷりタレをつけて、口に運べば予想通りの満足感。

 「そう、これこれ!」と脳内で一人で相づちをうつ。例え「古い」といわれても、このタイプの餃子はみんなを幸せにしてくれる。

 長野県にだけ展開している「テンホウ」という、中華主体のチェーンがある。ここは、夕食の支度が大変な時に家族で利用してもらいたいと、三世代で訪れると割引券が貰えるサービスがある。その店の餃子もやっぱり皮は分厚い。

 たった3個だけれども、満足感の高い餃子を口に運べば、ラーメンもまたノスタルジックな美味さを増していく。気がついた時には、もはや跡形もなく食べ尽くしていた。

 120%の満足感で店を出てから、ふと思い出したのは「中華街の味」のこと。今日は感じなかったが、メニューのどこかに「中華街」を感じさせるものがあるのだろうか。そうなると「豚キムチそば」も気になってしようがない。次はいつ来られるかな?

 ご馳走さまでした。

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