私が聞くと、ついツッコミまみれになってしまいますが、これがS代さんには新鮮に響いたのですね。
S代:さらにセミナーでは、子育てなどにも触れ、自然派界隈では有名なキャベツ湿布や、自宅出産などの話も登場してましたね。この自宅出産をする前提として、体ができていること=そこの教える日本ならではの菜食生活を実践していることが大切だと話してました。現代人は体が使えていないし、できていない→それを改善するためには、セミナーで教える食事術! みたいな流れだったと思います。私は子どもがいないので、育児系の話は未知の世界。科学的にどうなんだ? などと疑いもせず調べもせずただただ聞いて、そんな世界もあるのか! と驚いていました。セミナー主催者本人の体験談に加えて、認定講師たちの体験談もネットではたくさん紹介されていて、「私にもできそう」と思わせる感じもありました。
冒頭の高額セミナープラスアルファの講座を経て、試験を受けることができる「認定講師」。これもまた、この手の界隈あるあるの集金システムであります。
認定講師たちが発信している記事も、結構すごい。「離婚の危機からラブラブ夫婦へ」「食を変えると夫が優しくなるわけ」「20年間悩まされた花粉症、見事におさらば!」。もはや、ヴィーガン関係なくないか。私には、画面をそっと閉じたくなるテンションです。
雑穀も菜食も悪くないのに
S代:最初はすっかりハマってセミナーへ参加したものの、周りを見ると参加者たちの妄信的な雰囲気が、怖い。そして違和感以上に、値段が高い! 次第に離れていきました。ヴィーガンそのものを否定する気はありませんが、私は一周回って、目の前の食べ物に感謝して食べる。必要以上に欲張らず腹八分目で食べる。に、落ち着きました。動物を殺して食べるのはかわいそうというなら、植物だって同じではないか? だったら感謝して、おいしく食べたい。そう思うようになるまでに、だいぶ時間がかかりましたけど。添加物などは怖く思う部分もありますが、添加物があることによって長期保存が可能になったり、よい面もあるはずですよね。そういったものを「全部悪!」みたいな扱いをするのも、違和感の元だったと思います。
お高いセミナー代は痛いけど、沼の浅いところで引き返していらしてなによりです。
もちろん、ヴィーガン食そのものが悪いわけではありません。S代さんの話に出てきた雑穀も、最近ではもち麦ブームなどもありますし、不足しがちなビタミンや繊維がとれる優秀な食材でしょう。しかしそこに、よくわからない精神論や付加価値を上乗せしたぶん、びっくりするほど高額になる残念さ。雑穀そのものは魅力的な食材なのに、それを勧める人たちが放ってくる「白いものは悪!」という呪いも、うっとうしさこの上ない。
セミナーには参加していないものの、このセミナー主催者のレシピを実践していたという、元自然派沼住人であるM子さんもこう語っています。