森田剛の際立つ存在感と吉岡里帆の演技力。かたときも目が離せない舞台「FORTUNE」

文=フィナンシェ西沢
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 フォーチュンはアーティストらしくエキセントリックで繊細ですが悪人ではないため、仕事をたてにマギーに強引に言い寄ることはしません。花屋を営む母親のもとへ赴き、世間話や弱音をこぼす森田のフォーチュンは、等身大の40代の独身男性そのものでした。

 半信半疑だったルーシーとの契約後、マギーと仲睦まじかった夫が職場の事故で急死。フォーチュンは彼女と思いが通い合うようになり、一緒に手掛けた仕事も絶好調。気に入らない相手をねじふせ全能感にあふれていくなかで高まっていく森田の狂気のさまは、かたときも目が離せない吸引力があるとともに、その変貌ぶりは人間の業の深さを深く印象付けるものでした。

 フォーチュンが高揚のあまり踊り狂う場面(ダンスユニット「カンパニーデラシネラ」を主宰する小野寺修二のステージングが秀逸!)は、キレのありすぎるダンスまで披露し、アイドルとしての森田ファンにとっても満足がいったのでは。

「FORTUNE」で描かれる絶望と愛しさ

 フォーチュンが惹かれるマギーは、ケンブリッジ大学を首席で卒業した才女である一方、薬物使用の前科も。年齢が離れていてパッと見も地味で冴えない(もっともこれは、吉岡本人と衣裳スタッフが相談した結果の演出だそう)。でも吉岡の演技は、マギーの知的さが際立っていました。

 フォーチュンとマギーの初対面時、立て板のようにまくしたてるフォーチュンへの返答「そうです」は、連呼しているのに滑舌と耳あたりがよく、フォーチュンがただ外見ではなくマギー自身に魅力や安らぎを感じたことに説得力。

 何もかもが思い通りになっていたはずのフォーチュンでしたが、やがて魂を奪われることにおびえ始め、マギーにも去られることに。亡き父を蘇らせ、その魂を自身の身代わりにしてくれるよう懇願したり、つねに自分のそばにつきまとうルーシーから逃れるために殺人を犯して刑務所に逃げ込んだりと転落していきます。

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森田剛の際立つ存在感と吉岡里帆の演技力。かたときも目が離せない舞台「FORTUNE」の画像1 ウェジー 2018.03.28

 「FORTUNE」は原典の「ファウスト」と同じく、人間の欲望や弱さ、悲しみを描いていますが、劇作家のスティーヴンスは、この作品は愛の物語であると明かしています。フォーチュンがマギーへ注ぐ全力の愛や、マギーが契約による影響だけではない思いを感じさせることはもちろんですが、個人的にいちばん愛を思わせたのは、ルーシーを演じた田畑智子の存在だったようにみえました。

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