ルーシーの正体は、人の魂をだましとる悪魔。神出鬼没なルーシーは脚などの露出の高い衣裳も多く、非常に艶かしいものの、田畑の少女のような声質が生々しさを打ち消して、本当にこの世のものではないかのような超越感がありました。
契約を結ばせたあとのフォーチュンへちいさくつぶやく「ごめんね……」という響きには、悪魔であるにもかかわらず、命をうばう葛藤や罪の意識もにじみでているようで、人の欲望に対する絶望とともに、人間という存在への愛しさも抱いているような。
悪魔の存在は物語なればこそのものですが、「FORTUNE」は細かな描写の中に、現実味があふれています。人間関係や仕事など、生きていくなかでは誰かの判断に踊らされたり言葉にそそのかされたりして、道を誤ることはよくあること。そう考えると、日々生きることは、魂を売ることととても近いところにあるのかもしれません。