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松本人志「女性差別はなくなってきている」に漫画家反論、『ワイドナショー』

文=wezzy編集部
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『ワイドナショー』公式サイトより

 『ワイドナショー』(フジテレビ系)で、松本人志が「女性差別はなくなってきている」と発言し、物議を醸している。

 今月9日の『ワイドナショー』では、鈴木杏樹と喜多村緑郎との不倫報道を取り上げた。司会の東野幸治がゲストの漫画家・けらえいこ氏にコメントを求めると、けらえいこ氏は「不倫の話には興味がないのがひとつ」と言ったあと、「女性の立場からすると、女性は差別を受けている」と展開した。

 松本が「(女性差別は)なくなってはきているけど……」と割って入ると、けらえいこ氏は即座に「いやいや、全然なくなってない」と否定し、東京医科大学の入試で女子を減点していた問題や夫婦同姓の強要問題について説明した。

 なお、なぜ鈴木杏樹らの不倫を女性差別の話につなげたのかというと、社会的に差別を受けている女性にとってパートナーは唯一自分を承認してくれる存在であり、不倫という裏切りは妻にとっては許せるものではない……という考えからだったようだ。

 けらえいこ氏の主張に、長嶋一茂は「女じゃないからわからない」と首を傾げ、松本も腑に落ちない表情を見せていた。

 番組放送前、けらえいこ氏の代表作である漫画「あたしンち」の公式Twitter(あたしンち/けらえいこ公式@atashinchi_new)は、<けらさんは、人前でしゃべるのが苦手です(マンガ家でも、最下位に近いほう、と言ってました)。だいぶ、あわあわしてるところを、お見せすることになると思います。><けらさん本人「受けた以上は、放送事故と言われるところまでセット」と言っていました。>とツイートしていた。

 そして放送後、けら氏自身もTwitter(Keraeiko野球版@Keraeiko55)で<いざ本番前になったら、大ベテランのマッチョな男性陣に包囲されていて、そこでもう精神的には気絶。それにしてもしどろもどろ過ぎ。反省。>と振り返った。

<事前打ち合わせの時はまだ、東出さんに女性が怒り狂ってる件を話してて「これって、底の方に、権力勾配があるということだよね」みたく言ってたことが、私がしゃべると、あんなふうにしどろもどろでぜんぜん違う風になるという‥。>
<不倫、ほんと、超どうでもいい。>

日本の「男」と「女」は平等な権利を認められているか?

 不倫についてはさておき、松本人志の「(女性差別は)なくなってはきているけど……」という見解には、承服しかねる。けらえいこ氏が説明したように、医大受験における女子受験生の減点問題は、日本において「女性差別がなくなってきている」などと到底言えないことを浮き彫りにした。

 そもそも権力を行使する立場に就く人物の性別は圧倒的に男性が多い。政治・経済・教育・健康の4分野のデータから男女の格差を分析した一つの指標とされている「ジェンダー・ギャップ指数」においても、最新結果で日本は調査対象153カ国中121位だ。

 特にランクが低い分野は「政治」であり、前年から19位も順位を落とした144位。昨年3月に「列国議会同盟」が報告した2018年の各国の女性国会議員比率によると、日本の衆議院における女性議員の割合は10.2%であった。世界全体の女性国会議員比率は、1995年の時点でも11.3%、昨年1月には24.3%となっており、日本は大きく後れを取っている。

 男女の経済格差も埋まらない。国税庁「平成29年分民間給与実態統計調査結果について」によると、正規/非正規および男女別に分けて年収を比較すると、男性は<正規:平均547.5万円/非正規:平均229.4万円>だが、女性は<正規:376.6万円/非正規:150.8万円>と低い。

 厚生労働省の「平成30年版働く女性の実情」では、女性は男性よりも非正規労働者が多く、役職者が少ないという結果も出ている。

 この結果に対して、「女性は働きたくないと思っている」「女性は男性に養ってもらえばいい」などという指摘もある。しかしそこには、女性が結婚や出産を機に職場を辞めざるを得なくなったり、夫の転勤に伴う退職だったり、待機児童問題に直面していたり……など、個人の意思だけでどうにもならない様々な背景がある。個人の問題ではなく社会構造の問題であることは疑いようもない。

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 もちろん「全ての男性」が権力を持ち、仕事に恵まれ、十分な賃金を得ているかといえばそうではない。また「全ての女性」が権力を持てず、自由な意思を阻まれ、低所得かといえばそれも違う。だが全体の傾向はデータに表れており、「なぜそうなっているのか」は日本社会が築き上げたシステムに由来する。それを無視したまま、「差別はない」「女性は優遇されている」といった意見を述べても説得力はない。

 また、男女差別をテーマに話を進めるとき、「自分が理不尽に責められている」と感じる男性もいるようだが、これは男性への糾弾とイコールでもない。医大受験の女性差別にしろ、政治経済分野の女性比率の低さにしろ、そうした状況を生み出しているのは前述したように女性を軽んじて作られた社会のシステムだろう。

松本人志に見えている世界とは?

 話を『ワイドナショー』に戻そう。同番組ではこれまで、性暴力事件やマスメディアにおけるセクハラ・パワハラについても取り上げてきたが、松本人志はそれでも「女性差別はなくなってきている」と捉えていた。なぜなのだろうか。

 ひとつに、松本人志自身が性暴力やハラスメントを軽んじているからではないかと考えられる。

 たとえば、財務省の元財務事務次官・福田淳一氏による女性記者たちへのセクハラが週刊誌報道から社会的な騒動になった2018年4月、松本人志は『ワイドナショー』でセクハラ被害に遭ったテレ朝女性記者の「ハニートラップ」の可能性もある、と茶化した。

<でもテレ朝さんが「いやパワハラじゃない」と言うんだったら、女性(記者)は自ら前のめりにこの一年間、取材をしてきたのか。そうなったらなったで、これはハニトラじゃないのか、ってことになってくる>

<どれも全部1本じゃないと思う。ですので、私の見解としましては、セクハラ6:パワハラ3:ハニトラ1でどうですか。このあたりで皆さん手ぇ打たないですか?>

 組織内のパワハラやあきらかな権力勾配のある男女間のセクハラを軽視し、あまつさえ「男女の問題」と矮小化するかのようなコメントだった。

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 松本はNGT48の暴行事件を『ワイドナショー』で扱った際も、グループの運営に対して不満を述べる指原莉乃に対して<お得意の身体を使ってなんかするとかさ>とふざけたこともあった。

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 松本はコメディアンであり、『ワイドナショー』で時事問題にコメントするにあたっても、「笑い」をまじえたいのかもしれない。揶揄するばかりで問題の本質に触れようとはしないにもかかわらず、ご意見番ポジションに鎮座している。

 このような姿勢であるのだから、「女性差別はなくなってきている」どころか「そもそも女性差別なんてたいしたことはない」と捉えているであろうことが伺える。

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