新型コロナウィルス、インフル、ノロで会社を休んだら労災認定になる?

文=川部紀子
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生き延びるためのマネー/川部紀子

 ファイナンシャルプランナーで社会保険労務士の川部紀子です。新型コロナウィルスの話題で持ち切りですが、もともとこの時期はインフルエンザウィルス、ノロウィルス感染が増えるのが恒例になっています。

 これらのウィルスに感染したら、会社を休むことになります。では、その時のお給料はどうなるのでしょうか? また保険は労災になるのでしょうか?

 今回は、これらのウィルス感染で仕事を休んだ場合のお金について解説していきたいと思います。

ウィルス感染は労災認定される?

 具合が悪く病院へ行くと、誰もが当然のように健康保険証を提示します。しかし、健康保険とは、あくまで「私傷病」の際に提示すると通常医療費の7割が健康保険から払われるというもの。ウィルス感染については、感染ルートによっては私傷病ではなく、業務災害として労災認定されることがあるのです。

 労災認定されるには、「業務起因性」(業務が原因)と「業務遂行性」(業務中)が必要な要件となります。つまり、私生活で感染したのではなく、業務によって感染したのは明らかだろうと客観的に考えられることが鍵となります。

 ではインフルエンザウィルスの場合はどうでしょうか? 結論から述べると、労災認定はほぼNGです。インフルエンザウィルスが全国的に蔓延しているときは、国立感染症研究所で「警報レベル」や「注意報レベル」を発表します。このような状況では、もはやどこで感染したのかわかりませんから、業務起因性の証明は不可能です。

 ノロウィルスはどうでしょう? こちらは同じウィルス感染でも労災認定となったケースがあります。例えば、ホテルやレストランで働いていて、顧客の吐瀉物清掃に関わった者複数がノロウィルスに感染し、その顧客のノロウィルス感染も確認されたとします。これは客観的に「感染したのはあの時だ」と考えられます。インフルエンザほどは蔓延しておらず、また業務内容によっては感染ルートが特定できるため、労災認定の可能性が大いにあるでしょう。

 中国武漢市で発生が報告され、世界中に感染が拡大している新型コロナウィルスはどうでしょう? 日本では、観光バスの運転手とバスガイドが感染したことが発表されましたが、このバスは武漢市からの乗客を乗せていたそうです。また、インフルエンザほどは拡がっておらず、こちらも労災認定となる可能性が極めて高いと考えられます。

 労災認定されると、健康保険ではなく労災保険に切り替わり、医療費の7割ではなく10割が労災保険(療養の給付)から支払われることになります。あのカード型の健康保険証の提示も不要なので、もしや?と思う場合は病院で「業務上、感染したかもしれません」と一言伝えておきましょう。実際の手続きは会社で進めてくれます。

 ただし、医療費の自費が不要になるというだけで、この段階では懐がプラスになるような給付はありません。

 また、この間、無給だった場合には、4日目からではありますが、平均的な1日の賃金の8割ほどが「休業補償給付」+「休業特別支給金」として支払われます。

ウィルス感染で休んだら給料は出る?

 ウィルス感染がわかれば、会社を休むことになるでしょう。その際、給料は出るのか否か。会社の指示や命令として10日間出勤停止などとなった場合は、一定のお金が出ます。労働基準法に則り、会社は平均賃金の6割以上を「休業手当」として支払う義務があります。

 通常の体調不良のように自分主導で「高熱があるので休みます」ということであれば、労働関連法にはノーワークノーペイの原則があるので、休んだ日に対して無給でも何ら問題はありません。これはブラック企業でも何でもありません。ただし、就業規則などに病欠に対して給料支払うとの記載があれば受け取ることができます。

 もし無給であれば、働くことができない状況の4日目からではありますが、健康保険の「傷病手当金」の対象となります。計算に細かいルールがあるので、おおよその金額でお伝えしますが、1日に給料(標準報酬日額)の3分の2が支払われます。

 給与が出なくても、あらゆる給付があることを解説してきましたが、いずれも給料の100%ではないことにお気付きかと思います。

 病気で休んでいる期間に給料が減少するのは困る、という人は、その解決策として「年次有給休暇」の活用があります。有給休暇で病欠すれば給料の100%が支給されるので、年次有給休暇は改めて嬉しい制度だと思います。

 入社間もなくて有給休暇が付与されていない場合や、すでに有給休暇日数を使い切っている場合、余っているけれどそのタイミングでは取得したくない場合などは、先述の制度を使いましょう。

すべて会社員の特権

 ここまで、ウィルス感染症が労災認定になるか否かを中心に、労災保険の「療養の給付」「休業補償給付」、労働基準法より「休業手当」、健康保険の「傷病手当金」、労働基準法上の「年次有給休暇」とさまざまな給付等を解説してきました。これらは、全て会社員にしかありません。病気になって良いとはなりませんが、もしもの時には、フリーランス等に比べると非常に手厚く、あらゆる制度が整っています。

 ウィルス感染症に限らず、健康に気を付けるはもちろんですが、会社員のさまざま給付をご確認いただければと思います。

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