パイロットコーポレーションの消せるボールペン、フリクションボールがフランスで発売されたのが2006年。
翌年2007年に日本に上陸し、その便利さから爆発的な人気を得、フリクションは以降さまざまな改良を加え新製品を出し続けています。
黒のみならずカラーで書いたボールペンの筆記線が消える、というだけで他に代えがたい便利さを持つフリクションボールですが、永年使っているファンでさえも不満に思う点が未だに残っています。
黒インクが「漆黒」でないこと。ゲルインクボールペンとして、他のボールペンより書き心地が劣ること。
こと書き心地に関しては、今も昔もあまり印象に変わりはなく、決して褒められたものではありませんでした。特に0.38ミリボールを使った極細のものはガリガリとしていて、消せるのは便利だけど書き心地は諦めていたという方もいらっしゃるのではないでしょうか。
インクの黒さ、書き心地が改善!
フリクションポイントノック04
軸色:ブラック、レッド、ブルー、グリーン、ブルーブラック、オレンジ、ピンク、ライトブルー
本体価格:250円+税
新製品であるフリクションポイントノック04は、このふたつの不満に関するアンサーとなっています。
黒インクの濃さに関しては、改良に次ぐ改良で、かなり濃さを増してきました。初期のフリクションの黒を憶えていて、あれが嫌で以降フリクションボールを使っていない方が見れば、この黒の変化に驚かれるのではないでしょうか。
そして書き心地も大幅に改善されました。ボール径は0.4ミリですが、同様の径だった既存の0.38ミリのものと較べ、格段に滑らかに心地よく書くことができます。
たゆまぬフリクションインキの改良と、シナジーチップと呼ばれるチップ(回転するボールを乗せておくペン先の台座部分)を採用したことにより、フリクションポイントノック04は過去最高のフリクションとなったのです。
シナジーチップは2016年に、同じくパイロットコーポレーションから発売されたゲルインクボールペン・ジュースアップに搭載されたのが最初でした。
ボールペンのチップは、形状から大別してコーンチップとパイプチップに分けられます。
コーンチップはコーン(円錐)型をしており、広く一般的なボールペンに使用されています。
片やパイプチップはその名の通り細長いパイプの先端を持っており、極細ボールペンの一部に採用されています。
コーンチップは丈夫なので筆圧に強く、複写式伝票などを大量に書く際に使用する油性ボールペンなどでお馴染みかと思います。ただボール罫の小さい極細ボールペンに採用された場合、ペンを立て気味にして書かないとチップの台座を紙に押しつけてしまうことになり、書き心地が悪くなります。
パイプチップはパイプの先端をかしめてボールを取りつける構造のためパイプを細くすれば極小のボールもつけることも容易ですし、コーンチップほど角度による制約を受けません。ただし衝撃に弱く落下でパイプ基部が簡単に折れ曲がってしまいますし、高い筆圧にも耐えられません。
シナジーチップは、このコーンチップとパイプチップの「いいとこ取り」をしたチップです。
基部はコーンチップのようにどっしりしていますが、先端はパイプチップのように細くなっています。コーンチップのように筆記角度による制約を受けにくく、先端と基部が一体なのでパイプチップのように衝撃に弱いわけでもありません。そこに更に、チップ内部のインクを先端ボールに供給しやすくする改良を行いました。
これにより、ジュースアップは過去にない書き心地を持つゲルインクボールペンとして発売され、以来人気を博しています。
フリクションポイントノック04でも、このシナジーチップの性能は遺憾なく発揮されています。
見た目も価格も変わらないけれど、中身は大違い
まずインクが潤沢に供給されるようになったので、黒が格段に濃くなりました。他のカラーも同様に、発色が良くなりました。
そしてチップの改良により、書き心地が劇的に改善されました。カリカリもしませんし、早書きしてもインクが途切れたりかすれたりしません。他のゲルインクボールペンに勝るとも劣らない滑らかさで、消せるボールペンを堪能できるようになったのです。
金属の口金、金属クリップ、わずかにスリムになって取り回しやすくなったボディ、ラバーが硬く尖ったことによるピンポイント消去の実現、クリップを押し込むことで今まであったノックパーツのがたつきがなくなる点──外観が従来のフリクションボールノックとあまり変わらないので気づかれなかったかもしれませんが、フリクションポイントノック04は、フリクションの不満がほぼ改善されています。なのに、価格はほとんど変わりません(フリクションボールノックは230円、フリクションポイントノック04は250円・共に税抜)。
いまフリクションボールを使っている方にも、そしてフリクションを諦めてしまった方にも、ぜひ試していただきたい逸品です。