もし、秋篠宮さまが皇室離脱を希望したらどうなるのか?

文=鳴海 汐
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「GettyImages」より(Chris Jackson / スタッフ)

 イギリスでは、ブレグジットの話題が霞んでしまうほど、ヘンリー王子・メーガン妃の王室離脱問題が物議を醸した。

 夫妻の高らかな「高位王族引退」発言は、わずか10日ほどで鎮圧され、事実上の『王族引退』宣言に変わった。ヘンリー王子は、公務から手を引くこと、殿下・妃殿下といった王族の称号を返上すること、王室助成金は受け取らない、ロンドン郊外ウインザーのフロッグモア・コテージの改修費を返還するといった発表とともに、公務への未練ものぞかせた。

 もしこれが日本で起こったことであれば、いつまでも事態は収まらなかったように想像されるが、エリザベス女王の決断は実に迅速であった。冷酷だというバッシングも起こったが、ヘンリー王子夫妻を「いいとこ取り」と感じていた人々の溜飲が下がったのは間違いない。

 今回の出来事をきっかけに、気になったのはイギリス王室と日本皇室のしくみの違いだ。立場は大きく違うものの、2人の高貴なる弟として、ヘンリー王子と秋篠宮さまを比べてみたい。

王室と皇室の意思決定の違い

 日本であれば離脱のような決定は迅速に行われなかっただろうと書いたが、たとえば結婚ひとつとっても(そんな軽々しいものではないが)、決定までのシステムが王室と皇室では違う。

 イギリスでは、王位継承権を持つ上位6人は、女王の許可を経て結婚するシステムになっている。2013年の法改正で簡略化されたそうで、2018年に結婚した王位継承順位6位のヘンリー王子も、同様の手続きを採った。

▼参考:25ans Wedding

 一方、秋篠宮さまの場合、「立后・皇族男子の婚姻は、皇室会議の議を経ることを要する(皇室典範第10条)」と定められている。皇室会議の議員は10人、皇族からお二方、内閣総理大臣、衆・参両院の議長・副議長、宮内庁長官、最高裁判所長官、最高裁判所判事で構成されている。予備議員も10人いるという。

イギリスなら愛子さまが皇位継承1位

 ヘンリー王子には、ウィリアム王子のスペアとしての人生に嫌気がさしたと見る向きもある。 

 現在、ヘンリー王子の王位継承順位は6位(王室離脱でも変わらない)である。チャールズ皇太子、ウィリアム王子、ジョージ王子、シャーロット王女、ルイ王子の次であり、2位のウィリアム王子との間にその子ども3人が入る。たしかに、よほどのことがなければ回ってこない。

 2015年に王室継承法が改正施行され、継承順位が純粋に生まれ順になり、シャーロット王女は、ルイ王子に抜かれることなく4位のままとなっている。それ以前は、弟のほうが姉よりも王位継承順位が上になる決まりだった。

▼参考:CNN

 日本はというと、秋篠宮さまから見て兄にあたる現天皇との間には誰もおらず、皇位継承順位1位は秋篠宮さま、2位は悠仁さま、3位は上皇さまの弟の常陸宮さまとなっている。常陸宮さまは84歳だ。

 本来皇位継承の順序は「皇長子(天皇の第一皇子)」が最優先される。現在の日本では男系男子で継承していて、女性天皇は認められていないが、イギリス式であれば愛子さまが1位になっていたのだろう。

秋篠宮さまが皇室離脱を希望した場合

 ヘンリー王子は、以前から話し合いがあったというが、かなりあっさりと王室を離脱することになった。

 一方、秋篠宮さまが仮に皇室離脱を希望しても、皇室典範には皇位継承順位第1位を示す「皇嗣」の離脱について書かれていないので、現状離脱できないだろう。

 皇室典範 第十一条

「年齢十五年以上の内親王、王及び女王は、その意思に基き、皇室会議の議により、皇族の身分を離れる。

 ○2 親王(皇太子及び皇太孫を除く。)、内親王、王及び女王は、前項の場合の外、やむを得ない特別の事由があるときは、皇室会議の議により、皇族の身分を離れる。」

▼参考:e-Gov

 平成の時代であれば、秋篠宮さまは親王という身分であったため、「やむを得ない特別の事由」があって、皇室会議を通れば離脱できた。

 ただ、同じ親王の立場だった故寬仁さまは、社会福祉活動に専念するために離脱を希望したが叶わなかった。1947年に、天皇と直接の血縁関係にない11宮家の51人が皇室離脱をした際、若年により第2項が適用された人はいたが、「やむを得ない特別の事由」はGHQの指令というレベルだったのだ。

▼参考:昭和22年10月の皇籍離脱について

 ちなみに、15歳以上の内親王である眞子さまや愛子さまは、ご結婚しなくても、「やむを得ない特別の事由」がなくても、「その意思に基き」、皇室会議を通れば離脱は可能である。悠仁さまは親王なので、離脱は「やむを得ない特別の事由」がないと厳しい。また現天皇が皇太子の時に仮に離脱を願っても、「やむを得ない特別の事由」さえも認められず、離脱は不可能だったことになる。

 もっとも、皇室典範は法律と同じで改正することは可能だが、柔軟性は高くないのが現状だ。

メディアに追い回されることは収まるのか

 さて、ハリー王子夫妻だが、当初、高位王室メンバーから抜ける理由にメディア対策を挙げていた。今回、王室離脱になったので、「王室メンバーにふさわしくない振る舞いが~」とか、「ファッションに公費を使いすぎだ」と文句を言われることはなくなるだろう。

 また、人種差別など辛かったこともあるにせよ、ヘンリー王子がメーガン妃をディズニーに売り込んでいたことに引っかかりを覚えたイギリス国民も多いのではないだろうか。彼女は公務よりも、ナレーションや女優の仕事など、好きなことをしたかったのではないかと。

 彼女がこれからも目立つ活動をしていくのであれば、未来永劫セレブリティとして注目され続けるだろう。一般人になってもパパラッチに狙われ続ける。事故に遭ったダイアナ妃の二の舞を本当に避けたいのであれば、地味に生活するしかない。

 しかし、華やかな生活を求めるのなら知名度を生かして稼がなければならないし、根本的な解決は難しい。

 ただ、北米よりもイギリスの大衆紙のほうがえげつなさでは上回るようだ。カナダではイギリスからのパパラッチも将来的に減るだろうから、多少は変わるのかもしれない。

 イギリス連邦は53もの国・地域から成る。以前ヘンリー王子夫妻にはアフリカ移住説もあったが、ロイヤル級の人々が各地に散ること自体は良い発想ではないだろうか。継承順位が高くないからこそできることでもあるだろう。

 2016年にヘンリー王子はテレビ番組で訪問した学校で小学生に、「いつか王様になることはある?」と質問されて、「それこそ、みんなが望んでいた質問だ。正直なところね!知って喜ぶと思うけど、たぶんならないよ!」と回答(引用:クランクイン!)。がっかりした小学生はその後、「ハリー王子には本当にやりたいことをやってほしい。彼が王様になったら楽しめると思うよ。彼が王様になるのを見たいよ」と話した。(※“ハリー王子”はヘンリー王子の通称)

 王様にならないどころか、王室メンバーでさえなくなってしまったが、ヘンリー王子が公務以外の「本当にやりたいこと」をやれるように祈るばかりである。

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