ニセ医療を見分けるのは無理? はあちゅうバズフィード批判から考える

文=ブログウォッチャー京子
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「GettyImages」より

 作家でブロガーのはあちゅうさんが、「血液クレンジング問題」に再び言及し、波紋を広げている。はじまりは、血液クレンジングに関して、はあちゅうさんのインタビュー記事を制作・掲載したバズフィードへの批判からだった。

 昨年下半期に、トンデモ医療だとして大いに問題視された「血液クレンジング」。数年前から芸能人らが「血液クレンジング」を受け、SNSにその報告などを発信していた。疲労回復、冷え性改善、アンチエイジングなどの効果を謳っていたが、これを疑問視する声が上がり、医療従事者らが次々とエビデンスがないことを証言したという顛末だ。

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ニセ医療を見分けるのは無理? はあちゅうバズフィード批判から考えるの画像3 ウェジー 2019.11.01

 血液クレンジングについてブログで46回言及していたはあちゅうさんは、この騒動で批判を浴び、バズフィードで当時の認識や現在の心境等を語ったインタビュー記事が配信された。しかし今、はあちゅうさんはこの取材について憤りを隠せないようだ。経緯をウォッチした。

はあちゅうさんとバズフィード記者のやりとり

 彼女が昨年の話を蒸し返したのは、イケダハヤト氏によるバズフィード批判ツイートにのっかったかたちだ。引用RTの形で、こう呟いた

<#metooの時の丁寧な取材で信頼していたので血液クレンジングについての取材依頼をノーギャラ、写真・原稿確認ナシの条件で受け子供なんとか預けて取材に行ったら「取材を受けるのは炎上を利用した売名行為ではないですか?」と聞かれたのはびっくりした&悲しかった。依頼したのそっちなのに…と>

 さらにそのツイートにぶら下げる形でツイートを連投。

<記者さんには記者さんの正義があるとわかったけど、懲罰感情が強い印象を受けた。後からみんなに「なんであの取材受けたの?あんな不利な取材、途中退席していいのに」と言われて、そうすればよかったと後悔。他のメディアの取材もたくさん受けたけど、バズフィードだけ、フェアだと思えなかった。>

<ノーギャラ、写真&原稿確認ナシは報道系メディアでは普通だから別にいいんですが、こちらの言い分を全然受け入れてくれる感じがしない&悪人だと思われてる感じを受ける記者さんに記事を書かれるのは怖いので、今後は引き受けちゃダメだと勉強になった。あの時、ストレスで母乳出なくなった、笑>

 するとバズフィード側も反論。インタビューを行った神庭亮介記者が同じくツイッターで説明した。

<そのような発言は一切していません。正確なやりとりは記事中で記載した通りです。「取材を受けたこと」ではなくブログなどでの発信について「売名ではないのですか?」とお尋ねしました。>

<記事公開後、その内容を確認したうえで自ら積極的に当該リンクを拡散しておきながら、記事中の発言が読者から批判を浴びるや「取材がフェアだと思えなかった」と態度を翻す方が、フェアではないと私は思います。>

 子供を預けて取材に応じてくれたお礼も添えてのツイートだった。またこれに、はあちゅうさんが応戦。

<記事公開前から取材がフェアではなかった件、元バズフィードの方などに相談していました。拡散は血液クレンジングに関しての追加情報は広まったほうがよいと判断したため。「読者から批判を浴びたから態度を翻したんだ!」と勝手にストーリーを作って拡散するような記者さんはフェアではない。>

 しかし、はあちゅうさんが血液クレンジングの効果をブログなどで発信していたことは事実であり、バズフィードのインタビューを受けたことも自らの選択ではなかったのだろうか。今になって“決して謝らない”姿勢に翻意したのはどうしてなのだろう。

はあちゅうさんは不当に叩かれた?

 はあちゅうさんは、血液クレンジング騒動において自分のようなインフルエンサーだけが「不当に叩かれた」と感じてもいるようだ。

<血液クレンジングは、拡散したインフルエンサーは名指しでまとめられたのに、過去に掲載、広告していたメディアや番組名、施術を提供しているクリニックのまとめは私の見たところ、ないんですよね。みんながどこを叩きたいか明確 得してそうに見える人を叩くとみんながスッキリ。PVありき。>

 同じく取材に関わったバズフィードの記者・岩永直子氏が「これ以上、医療分野の発信に関わらない方がいいと思います。情報を見極める力のない人が、人の命を左右する医療・健康分野で発信するのは危険です。」とタオルを投げるようなツイートをしたが、はあちゅうさんはこれにも応戦する。

<「そういう方がいた」という事実を述べているだけなのに対して「ニセ医療です」という指摘ではなく「情報を見極める力のない」私が拡散することが問題であり、情報発信をすべきではないと個人攻撃にすりかえていますよね。こういう印象操作をする記者の方の取材を、フェアではないと感じました。>

<血液クレンジングのバズフィードの取材は、
・今後、取材に不安がある時はレコーダーを持っていた方がよい(もしくはマネージャーに同席してもらう)
・たとえ取材でも、記者さんから敵対感情や懲罰感情を感じたら、私には立ち去る自由がある
 という学びになりました。>

 はあちゅうさんに対して、複数の医療関係者や専門記者がいくら言葉をかけようとも、彼女のスタンスは変わらなそうだ。はあちゅうさんは擁護リプの引用リツイートもしており、こうした事態になろうとも彼女を支持するファンはいるということもわかる。

 はあちゅうさんは、「他にも責めるべきところはあるだろうに、なぜ自分が謝らされるのか?」と理不尽に思っているのだろう。たしかに、彼女が「叩きやすい」から「叩いた」というネットメディアもないとは言えないはずだ。ただ彼女のネームバリューでニュース記事のPVが伸びるかと言うと、そんなことはないのだが。

 また、血液クレンジングの件に限らず、「批判=攻撃」という受け止め方をしているところもあるのかもしれない。バズフィードの取材記事においても、はあちゅうさんは「BuzzFeedさんの記事を読んで、インフルエンサーを攻撃したいのかなっていう気持ちもちょっと感じて…。」「Hagexさんも山本さんも、私の大学時代から批判的な記事を書かれているので、ああキレナビも攻撃されているんだな、ということは感じました。」と発言している。

 医療関係者らは、発信力と影響力のある彼女がこうしたエビデンスゼロの“医療”を賞賛する様子を発信すれば、これを素朴に信じて健康被害が出てしまう人もいるであろうことを危惧している。それゆえにこうした発信を諌めているのだろうが、いつまでたっても平行線だ。科学的知識を持たない大半の人にとって、ある情報が正しいか間違いかの判断はつかない。それを責められはしなくとも、正論を述べられるだけでも「ウザい」となってしまうことはあるだろう。

 美容や健康、育児等に関する情報はとてもカジュアルに交わされている。エビデンス云々などどうでもいいという人も多いのだろう。義務教育を受けたといっても身についている科学的知識など大抵乏しい。育児情報サイトの「手作り目薬」問題も記憶に新しいところだ。消費者側に知識という武器をつけよと促すことはひとつの策だが、誰もが情報を発信でき、受け手側も極端に狭い範囲からしか情報を集めないスタイルでも問題なく生活できる時代である。それこそ“自己責任”に帰結していってしまうのかもしれない。

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