政治・社会

「就活セクハラ」は学生ではなく企業側が対策すべき 『あさイチ』物議

文=中崎亜衣
【この記事のキーワード】
「就活セクハラ」は学生ではなく企業側が対策すべき 『あさイチ』物議の画像1

「GettyImages」より

 2月13日放送の『あさイチ』(NHK)が「就活セクハラ」について取り上げ、物議を醸している。

 就職活動中の学生が、企業の採用担当者などから、セクハラ被害を受ける「就活セクハラ」。OB訪問やインターンシップなどで人事権を持たない社員からセクハラ被害に遭うケースも報告されている。

 OB訪問を巡っては逮捕者も出ていおり、昨年2月、大手ゼネコン・大林組の男性社員が、OB訪問マッチングアプリでマッチングした女子大学生を「パソコンを見ながら面接指導をする」と自宅に誘いこみ、わいせつな行為をしたとして逮捕。

 3月には大手商社の住友商事社員だった男が、OB訪問を受けた女子大学生を泥酔させて宿泊先に侵入、性的暴行を加えたとして逮捕されている。

 Business Insider Japanが昨年実施した「就活セクハラ緊急アンケート」では、回答者723人中、およそ半数にあたる359人が就活セクハラの被害に遭った経験があるという。

 具体的なセクハラの内容としては、「経験人数を聞かれた」「採用してあげるからとホテルに誘われた」「食事にしつこく誘われた」など。

 就活セクハラの被害者は女子学生とは限らない。男子学生もまた、セクハラを受けていることがわかっている。

 日本労働組合総連合会の調査では、20代男性の5人に1人が就職活動中にセクハラ被害を受けたことがあるという結果が出ていた。女性から男性、また同性間でもセクハラは起こり得るのだ。

 前出のアンケートによると、こうした被害に遭っても7割は相談することができなかったという。

 その裏には、就活で不利になる、自意識過剰と思われるといった思いがある。また、大学内の相談窓口に相談したが軽くあしらわれたという学生もおり、企業にも大学にも相談できず、泣き寝入りせざるを得ないのが現状だ。

「就活セクハラ」に学生団体が抗議

 「就活セクハラ」から学生を守るように訴える活動も起こっている。昨年7月、署名サイト「Change.org」では、キャンペーン「#就活ハラスメントをなくしてください」が立ち上がった。

 この署名では、就職活動中の学生を「就活セクハラ」から守ることを企業に義務付けるほか、大学や経団連にも対策を促すことを求め、1万1千人以上の署名が集まり、昨年11月12日に厚生労働省に提出された。

 しかし、厚生労働省が同月に固めたパワハラの指針は、主に社内間でのハラスメントを禁止するものであり、就活セクハラに関しては「(社員と)同様の方針を示し、相談があった場合は適切な対応に努めることが望ましい」との表現にとどまっていた。

 そのため昨年12月、東京大学、早稲田大学、慶應義塾大学、上智大学、創価大学、ICU(国際基督教大学)の学生らによる団体「SAY (Safe Campus Youth Network)」は、「就活ハラスメントを防ぐのに不十分」とし、具体策を明記するようにとの緊急会見を厚生労働省で行っている。

就活生に自衛を求めた『あさイチ』スタジオでも疑問の声

 このように「就活セクハラ」は改善すべき大問題であるが、冒頭記したように『あさイチ』の内容が物議を醸したのはなぜか。それは、被害者側に対策を促すものだったためである。

 番組では、「就活セクハラ」の実態のほか、学生が「就活セクハラ」から身を守るための対策について紹介した。対策の内容としては、OB・OG訪問はなるべく女性社員を訪問する、OB訪問で遅い時間や個室を指定する人を避ける、被害に遭った時は記録を残して総合労働相談コーナーに相談する、などであった。

 しかし、これは就活生にセクハラを「する」社員を見過ごしている、企業側の問題である。なぜ就活をする学生側が対策をしなければならないのかと、スタジオ出演者たちも一様に疑問の声を上げていた。視聴者からも同様の意見が出ている。

 就活セクハラを無くす“対策”をするのは、学生ではなく企業の義務だろう。社員に向けて就活生へのセクハラ禁止を周知する、就活生がセクハラ被害に遭った際の相談窓口を設けるなど、企業側が加害者を出さない取り組みを徹底すべきであろう。

あなたにオススメ

「「就活セクハラ」は学生ではなく企業側が対策すべき 『あさイチ』物議」のページです。などの最新ニュースは現代を思案するWezzy(ウェジー)で。