
氷川きよしInstagramより
氷川きよしに対して“女子力”という言葉が頻繁に使われるようになった。氷川は昨年11月、Instagramを開設しフェミニンな美貌の際立つ写真などを投稿。演歌に限らずヴィジュアル系ロックも歌いこなし、テレビや雑誌で自身の心境の変化を明かしている。
するとメディアでは“女子力が高い”という表現が頻出。たとえばバレンタインチョコを手作りして配ったというエピソードについて、スポーツ紙では次のように報じている。
<氷川きよし 共演者にスイーツ差し入れする“女子力”の高さ>
(東スポWeb)
<氷川きよし“女子力”手作りチョコ振る舞う「中にレーズンを入れて…」>
<氷川きよし(42)は楽屋で手作りのチョコレートを振る舞ったことを明かし「昨夜から仕込みをして、中にレーズンを入れて…」と女子力の高さをアピールした>
(スポニチアネックス)
<氷川きよし“女子力”発揮!『手作りバレンタインチョコレート』>
<氷川は“女子力”を発揮して前日から仕込んだという手作りバレンタインチョコレートを楽屋で山川や水森らにふるまい……>
(中日スポーツ)
“女子力”とは?
“女子力”という言葉は主に、女性の家庭的な側面や美容面での努力を褒める言葉として使われる。美意識の高さや、料理や掃除などハウスキーピング能力の高さ、またそれらを高めるための努力は“女子力”として肯定的に評価されてきた。
そして近頃は男性に対しても褒め言葉として“女子力が高い”と使われる。その安直さは、前述したように「氷川きよしがバレンタインチョコを手作りした」エピソードを表すのに複数のスポーツ紙が一様に“女子力”と書いたことからもわかる。
男性への“女子力”ホメの一例として、料理好きで知られる俳優の千葉雄大が「女子力男子」と呼ばれることがあげられる。
昨年2月、『ZIP!』(日本テレビ系)で放送されたインタビューで千葉が、大学進学で上京した頃に自分で弁当を作っていたこと、今も毎日弁当作りをしていると語ったことを、芸能ニュースサイト「アサジョ」は<“女子力”という一面をアピールした>と伝えた。
女子力という表現は多くの場合、相手を貶したり揶揄したりする意図なく使われる。むしろポジティブな意味合いで使用されることが多いようにも見受けられる。しかしどうしても違和感を覚えてしまうのは、“女子力が高い”という表現の大前提として、美容や料理、スイーツ作り、裁縫などが「女性の趣味」だというジェンダーバイアスがあるからだ。
こうしたジェンダーバイアスは個人の特性への偏見、また男女それぞれの選択肢を狭めることにもつながる。もとより私たちはステレオタイプの社会に存在し、誰でも偏見を持ってしまっている。“女子力”というのは対象を褒める文脈であっても、性別に由来する偏見をさらに強化する言葉といえないだろうか。
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