東芝機械、旧村上ファンドの標的に! 東芝グループから離脱も

文=高橋潤一郎
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東芝機械本社(画像はWikipediaより/アラツク)

 東芝機械が揺れている。旧村上ファンド系の投資会社からTOB(株式公開買い付け)を仕掛けられており、対応を迫られているからだ。

 TOBの行方は流動的だが、東芝機械はすでに東芝グループから離脱しており、今年4月には社名から「東芝」を外して「芝浦機械」に社名を変更することが決まっている。こうした大きな転換期において、さらにTOBをあの旧村上ファンドから仕掛けられるという状況となっている。

 電機・エレクトロニクス業界において変貌を遂げてきた企業を紹介するシリーズ。今回は東芝機械を採り上げる。

村上ファンドとは何だったか? 

 東芝機械にTOBを仕掛けているのは、正確には旧村上ファンド系のシティインデックスイレブンスというファンドである。

 村上ファンドとは何か? 世に言う「村上ファンド事件」は2006年の出来事であり、すでに14年の歳月が流れる。詳しくは知らない方も多いと思われるので簡単に説明する。

 村上ファンド事件とは、ニッポン放送株式におけるインサイダー取引で村上ファンドの代表だった村上世彰氏が逮捕された事件である。村上氏は、ホリエモンこと堀江貴文氏が代表を務めていたライブドアがニッポン放送の株式取得を行う情報を知り、同株式を取得したというのがインサイダー取引の容疑内容で、ライブドアと共同で株式取得を行ったとも指摘されていた。

 村上氏は、当初は容疑を認めて謝罪したが、裁判開始後は否認している。ともあれ、こうしたインサイダー取引容疑の後、村上氏はいったん表舞台から姿を消すが、その後旧村上ファンド系とされるファンドを通じて株式市場に復活。東芝機械にTOBを仕掛けたシティインデックスイレブンスもこうした旧村上ファンド系のファンドである。

なぜ旧村上ファンドは東芝機械へTOBを仕掛けたか

 旧村上ファンド系のファンドは、すでにオフィスサポートというファンドを通じて東芝機械の12.75%の株式を握っている。これに加えて、今回は新たな株式買い増しを表明したもので、今回のTOBが成立すると同ファンド系の持株比率は43.82%になる見通し。TOBは3月4日までの買い付け期間で実施されており(東芝機械は4月16日への延期を要請している)、その行方が注目されている。

 旧村上ファンド系の狙いは経営権を取得して東芝機械を経営することではない。ファンドなので利益が優先である。会社の価値を高めて、というよりは株価を上げて取得した株価よりも少しでも高く売れて一定の利益が出ればそれでいいということになる。当然ながら東芝機械側ではこうしたファンドが大株主になることに抵抗感を示しており、今回のTOBには賛同していない。

 そもそもなぜ旧村上ファンド系が東芝機械に新たなTOBを仕掛けたかだが、これにはひとつの伏線がある。

 上場の半導体製造装置メーカー、ニューフレアテクノロジーという会社に対して、先に東芝がTOBで全額出資子会社化することを決めたが、これにHOYAが加わり、東芝側の提示を上回るTOB価格を提示するという出来事があった。そして東芝機械は、このニューフレアテクノロジーの株式の15.8%を持っていたのだ。結果的には、東芝機械は価格の安かった東芝側のTOBに応じて、ニューフレアテクノロジー株式を東芝に売却するという結論を出した。

 しかしこの経過に旧村上ファンド系は疑問を持ったようで、質問状などを出している。この辺のやりとりは双方の主張に食い違いもあるので真偽は不明だが、ともかく結果的にはこの後、旧村上ファンド系は東芝機械へのTOBによる株式買い増しを表明している。

東芝機械の抵抗と経営改革

 一方、東芝機械は2月に入って新たな経営改善計画も発表している。旧村上ファンド系からのTOBに対抗する意味合いもあり、人員削減などによって経営体質の改善を進めていることをアピールしていくという思惑がある。

 人員削減は希望退職者募集で実現させる。希望退職者募集は、本体の社員および子会社の社員全員が対象で、募集人員は200~300人。募集期間は今年3月中旬から4月初旬とする予定で、応募者は来期の上期となる2020年4~9月の間で退職する。加算金などの関連費用は今期と来期に分けて特別損失で計上する。東芝機械は単体で約1,800人、連結で約3,400人の従業員がいるため、退職者募集はおよそ全体の1割内外となる。

 ほかにも中期経営計画では、現在の事業部制を廃止して、経営企画・管理およびR&D機能などを一元化、その下に成形機、工作機械、制御機械の3つのカンパニー制を敷く施策を掲げている。またR&D機能の統合・強化では、新たにR&Dセンターを新設するという計画もある。

 東芝グループを離脱するタイミングで、「資産を有効活用していない」と「物言う株主」と評される村上氏に指摘されたからではないだろうが、東芝機械は経営改革にも踏み出す形となった。

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