学生時代でも、社会人になっても、使用頻度が高い筆記具のひとつにラインマーカーが上げられます。
わたしたちはこのラインマーカーに対し、気軽に蛍光ペンという言い方をします。ですが、最近は蛍光ペンを名乗らないラインマーカーが増えていることにお気づきでしょうか。
1971年、世界で最初に発売された蛍光ペンはペリカンのスタビロボスでした。その後、日本でも各メーカーから蛍光ペンが発売され、学習や事務に革命的な変化が訪れました。
蛍光ペンは蛍光顔料などの蛍光色素を含み、実際の色の反射に加えて紫外線〜可視光線中の短波長域の光を吸収、フォトルミネセンスによってより鮮明に発色するインクを使用した製品です。一般的なマーカーの線よりも輝いて見えるため、文書の強調や重要度を示すために重宝されました。
実際には、各メーカーとも蛍光ペンとして販売している製品でも、必ずしも蛍光顔料を含んでいるとは限りません。例えば6色展開されている蛍光ペンのうち、4色が蛍光性能を持ち、2色が持たなくとも、そのペンはシリーズとして蛍光ペンを名乗っている場合もあります。一般的にはピンク、オレンジ、イエロー、グリーンが蛍光性能を持っています。これはブラックライトを当ててみると区別がつきます。
蛍光ペンはこうしてラインマーカーの代名詞として、学生や事務職に広く普及し、必需品となりました。ただ時代と共に、この蛍光ペンの輝きが「眩しすぎる」と感じるユーザーが出現。メーカーはその声に応え、蛍光色素を含まないラインマーカーも用意するようになりました。
今回紹介するフリクションライトナチュラルカラーも、蛍光ペンではなくラインマーカーです。
パイロットコーポレーションはフリクションボールで世界をあっと言わせましたが、実は「フリクション」と名がつく製品の国内第一号がラインマーカーだったことはあまり知られていません。
その第一号、フリクションラインが発売されたのは2006年11月。日本でフリクションボールが発売になったのが2007年3月ですから、それより前にフリクションの製品は存在していたのです。
フリクションラインは蛍光ペンではありませんでした。当時はまだ技術的な問題があり、フリクション蛍光インキが搭載された製品──フリクションライトが発売になったのはライン発売から2年後、2008年10月のことでした。
フリクションライトナチュラルカラー
品番:SFL-60SL-6CN
色:ナチュラルカラーレッド、ナチュラルカラーコーラルピンク、ナチュラルカラーペールオレンジ、ナチュラルカラーライトグリーン、ナチュラルカラースカイブルー、ナチュラルカラーグレー
価格:600円+税
以降、フリクションライトはバリエーションとしてソフトカラーを追加し、そして新製品として今回このナチュラルカラーがラインナップに加わりました。フリクションラインと今回のナチュラルカラーはまったく異なる製品ですが、昔を知っている身としてはちょっとした先祖返りという気がして、感慨深いものがあります。
ナチュラルカラーは、目に優しいふんわりとした色彩で構成されています。ナチュラルカラーレッド、ナチュラルカラーコーラルピンク、ナチュラルカラーペールオレンジ、ナチュラルカラーライトグリーン、ナチュラルカラースカイブルー、ナチュラルカラーグレーの6色が用意されています。
実際に引いてみますと、レッドは強めの赤で、スカイブルーはくすみのある青。ピンク/オレンジ/ライトグリーンは優しい色合いです。蛍光ペンではないので、定番とも言えるイエローがありませんが、ここに個人的には待望だった色が加わりました。
グレーです。
グレーで引いた部分は、かなり文字が隠れます。「ラインマーカーなのに文字が隠れてしまったら意味がないのでは?」と思われるかもしれませんが、ラインマーカーの使用法は強調だけではありません。
資料を読んでいって、意味が判ったところ、今後もう参照が必要ないところを潰していく「グレーアウト」という作業に、このグレーがぴったりなのです。
しかも他のラインマーカーと異なり、「ここはもう一度活かしてしておこう」という部分を消して復活させることもできます。ラインを引いたあとに改変が可能なラインマーカーは、フリクションしかありません。
また、神経質な方なら、ラインのがたつきや引きすぎが許せないこともあるかと思います。これもフリクションなら、がたついたところは消して引き直せますし、引きすぎたところは部分的に消すことも簡単です。
ラインマーカーのような製品群も、まだまだ進化しています。ぜひ店頭で、充実したラインマーカーの棚をその目でご覧になって、ご自分に合った1本をお探し下さい。