新型コロナウイルスの感染拡大は大きな不安となって世界を襲っている。日本国内では「家族が肺炎なのに検査を受けさせてもらえない」という市民の声も上がっており、政府発表への不信感が高まりつつある。
そのうえ、Twitterでは複数のアカウントが<よく考えたらコロナウイルスかかってる人あんまりいないよね笑 噂の力ってすごい>と一斉に投稿するという不気味な現象も観測されている。2月23日13時台、ほぼ同時刻に複数のTwitterアカウントが、文章・絵文字とも全く同一の上記ツイートを相次いで投稿したのだ。
これらアカウントはその直前にブルベリーフラペチーノの画像とともに<ブルベリーフラペチーノ~>と投稿している点も共通しており、若い女性を思わせるアイコンとユーザーネームを使用。だがおそらく実体のない架空アカウントだろう。
非公開: Twitter「よく考えたらコロナウイルスかかってる人あんまりいないよね笑」重複投稿、誰が何のために?
新型コロナウイルスの感染拡大が騒がれる中、Twitterで不審なツイートが“同時多発”し、ネットユーザーの不信感を増幅させている。<よく考えたらコ…
この不可解な投稿を、クラウドソーシングを利用したネット工作ではないかと見る向きは根強い。
2017年、クラウドソーシングのプラットフォームであるランサーズに、「政治系サイトのコメント欄への書き込み。保守系の思想を持っている方」という募集が掲載されていたことがわかり、問題化したことを覚えているだろうか。
その募集は依頼主が運営している政治系ニュースサイトのコメント欄への書き込みという仕事内容だったが、その対象者は「安倍政治を応援している方」「テレビや新聞の左翼的な偏向報道が許せない方」「産経新聞の論調に好感を持っている方」だった。恣意的な“ネット世論”を作るためのあからさまな工作が実際にあるのだとわかる内容だ。
また同じく2017年に行われた衆院選で、愛知7区から当事無所属の山尾志桜里氏が対抗の自民党議員を僅差で下し当選を果たしたが、ランサーズには投票日翌日の10月23日、「愛知7区の無効票が多すぎ!山尾志桜里の選挙区に何が起こったか!?」というタイトルの記事を作成する依頼が掲載された。記事執筆の報酬額として提示されていたのは800円だ。このような依頼を受けて作られている怪しいwebサイトの「記事」は腐るほどあるのだろう。
そうした募集を掲載していたという“前科”ゆえに、今回のコロナ騒動に関する不可解なツイートにも、ランサーズが関わっているのではないかと一部で疑われている。
ランサーズ株式会社の秋好陽介社長は2月25日に安倍晋三首相と会食。新型コロナウイルスの対策が急がれる中、安倍首相と秋好社長との会食は2時間半にもおよんだ。
その翌日、同社サイトの主要取引先に記載されていた「内閣府」の文字が消されたているとネット上で話題になり、「ネット工作会社の方が先手を打って危険な依頼主を排除したわけか」「ランサーズって、安倍政権擁護のネット工作員をよく募集しているあのランサーズですよね?」と炎上している。
この騒動を受けてランサーズは2月26日、<本日、一部ソーシャルメディア(以下SNS)において当社に関する発信がされましたが、事実と異なる部分が多く含まれておりましたので、お知らせします>と疑惑を否定した。
では「事実」はどこにあるのか。ランサーズに質問状を送付し、得た回答を以下に掲載する。(1)の回答は「2019年8月末以降は内閣府との取引をしていない」ことを意味するとも解釈可能だが、詳細は確認できていない。また(2)についても質問の答えになっておらず、(3)は具体的な対応を記していなかった。なぜ「よく考えたらコロナウイルス~」というツイートに「関係していない」という回答にならないのだろうか。
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1) 御社のホームページの「主要取引先」の欄から、「内閣府」が 突然消えたのはなぜでしょうか?
ランサーズ回答:2019年8月末時点で、取引状況に応じて更新しております。
2)Twitter上に複数のアカウントが「よく考えたらコロナウイルスかかってる人あんまりいないよね笑 噂の力ってすごい」と一斉に投稿する不可解な事態が起きました。この投稿に御社は関係していますか。
ランサーズ回答:弊社では安心安全の取り組みとしてステルスマーケティングを禁止しております。不適切な依頼に関しては、依頼ガイドラインに沿って監視強化を行い、AI、および目視にて24時間の監視と不適切な依頼の削除、アカウント停止などの処置を行っております。
詳細は「お知らせ」のページをご覧くださいませ。
3)2017年の「特定政党および候補者に関する仕事依頼、および差別助長につながる仕事依頼などに限らず、不適切と判断した案件については掲載を即時中断している」との声明以降、具体的にどのような対応をされたのでしょうか。また、ここで使われている「不適切」という言葉の基準を教えてください。
ランサーズ回答:不適切の案件は「依頼ガイドライン」に即して対応をさせていただいております。具体的(以下一部抜粋)には、
・ユーザーへのルールの啓蒙活動
・時流に合わせたガイドラインの見直し
・品質向上委員会の定期的な実施
・違反ユーザーがいないかの監視
等を行っております。プラットフォームでは、ユーザーからの違反申告もでき、違反した仕事が成立しないよう、社内外から監視できる体制としております。
詳細は、こちらの依頼ガイドラインをご確認ください。
4)御社と蜜月の関係にある特定の政治団体はないのでしょうか。
ランサーズ回答:様々なお取引先様、パートナー様、ステークホルダーの皆様とのお付き合いをさせていただいており、 特定の団体との深い関係はありません。