新型コロナ関連でも蔓延する育児自己責任論。小児科医が語る「子育てはだいたいでいい」

文=森戸やすみ
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 確かに日本は、子育てしやすい社会ではありません。もともと保育園が少なく、その他の子育て支援も足りていません。そのうえ、不測の事態があるときでさえ自己責任といわれ、誤った感染症情報やトイレットペーパーが足りなくなるなどのデマが飛び交っています。

 そういったときに、重点的に対応すべきなのはまず、お子さんです。時間をかけて料理や服などを手作りしてより良い親を目指すことや、朝から晩まで一緒にいて最良のケアをすることは、必要ありません。Good enough motherーーだいたい良い母親、ほどよい母親こそが最良の母親だという言葉がありますね。現代は男性もgood enough fatherを目指してほしいです。柔軟に対応し、可能ななかでのほどよいところやベターを選びましょう。自己責任だと冷たい言葉を投げつける人はどのみち、どういった状況であっても何もしてくれないんです。

便利なものは積極的に使おう!

 前述の、私がアピタルで連載しているコラム「大丈夫!子育て」が1冊にまとまりました。出産の痛みや子育ての苦労が愛情を育てるという俗説を否定したり、男性がもっと育休を取るなどして育児に参加しやすい環境が大事だという話をしたりしています。子育て界に多いデマを否定して、どうしたら正しい情報が得られるかということも書きました。この連載の担当、三浦ゆえさんが編集として参加してくれています。

 漠然と不安に思うだけでなく、迷う・確かめるというのは時間を取られ、とても消耗しますね。近年は孤独に子育てをする人も多いのですが、本来子育ては親だけで完結しなくてはならないものではありません。ヒトが進化して文化的に発展してくる過程で、子育てはずっと大勢の人が構成する地域やコミュニティで行われてきたはずです。

 現代は、便利なものがいろいろありますからなんでも使いましょう。子どもが急な病気・ケガをしたときに参照するアプリ、小児科受診の際の予約システム、近況を報告し合ったり愚痴をいい合ったりするSNSなどもいいですよね。日々、子育てで疲れている人たちのための本です。不安に思ったり、つらかったり、自己嫌悪に陥ったりした際に、役に立てたらうれしいです。

Information

3月13日発売!

朝日新聞の医療サイト「アピタル」の連載「小児科医ママの大丈夫!子育て」をまとめて加筆し、書籍化したものです。小児科専門医で二児の母でもある森戸やすみさんが、子どものために日々がんばりすぎて不安に陥りがちな保護者に、どんなことに気をつけたらいいか、どんなことは気にしなくてもいいかをやさしく伝えます。

(目次)
第1章 子育てをもっとラクに
なんでも親のせいにできる“愛情不足”はスルーして
子連れ出勤ではなく、働き方改革が必要です……など

第2章 心配になりがちなこと
泣きやまないのは、親の対応のせいじゃない
「どうして食べないの!?」と自分と子を追い込む前に……など

第3章 よくある子育てのデマ
その育児情報サイト、本当に正しいでしょうか?
なるべく薬を飲まないほうがいいと言うけれど…… ……など

第4章 小児医療の正しい知識
小児科なのか他科なのか、迷ったときには……
急に発熱したときも、慌てず対処するために……など

 

 

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