2020アメリカ合衆国大統領選の民主党候補者が、とうとうジョー・バイデンとバーニー・サンダースの2人に絞られた。77歳と78歳の老齢対決である。
3月3日はスーパー・チューズデイだった。全米14州で一斉に予備選が行われることから、そのように呼ばれている。当初29人もいた候補者のうちスーパー・チューズデイまで生き残ったのはバイデン、サンダース、エリザベス・ウォーレン、マイケル・ブルームバーグの4人だったが、ウォーレンとブルームバーグは結果が振るわず、直後に選挙戦からの撤退表明を行った。
同じ民主党であってもバイデンは中道派、サンダースはブログレッシヴと政策に大きな違いがある。だが、政策とは別の大きな不安要素が持ち上がった。高齢による心身の衰えだ。
サンダースは相変わらずシャープな舌鋒だが、昨年10月に心臓発作を起こし、入院している。他方、バイデンは言い間違い、記憶違いが頻発している。ごく最近では自らを「大統領候補」の代わりに「上院議員候補」と呼び間違えた。バイデンはオバマ政権の副大統領となる前はデラウェア州選出の上院議員を36年間努めている。
スーパー・チューズデイでの勝利を祝うステージに、バイデンは妻と妹に挟まれて立った。その際、会場に詰め掛けた支援者に向かって自分の右側に立つ妻ジル・バイデンの手を取り、「妹のヴァレリーです!」と紹介した。次の瞬間に左を向き、妹のほうを見ながら、「そして私はジルの夫です!」と言った。その瞬間に間違いに気付き、「ふたりは場所を交代してるよ!」と冗談めかした。この模様は全米中継されていた。
バイデン流のジョークだったと言う声もあるが、米国男性のマナーに公の場では妻に最大限の敬意を払う(のを他者に見せる)というものがある。しかもジル・バイデンはかつての副大統領夫人であり、バイデンが大統領になればファーストレディとなる女性だ。大統領にとってファーストレディがどれほど重要な存在であるかは、ミシェル・オバマの例を持ち出すまでもない。そう考えると、この件はジョークではなかったと考えざるを得ない。
いずれにせよ、以後6月まで続く各州での予備選を経て夏に開催される民主党大会にてバイデンとサンダースのどちらかが民主党大統領候補に指名される。11月の本選でトランプを倒せば来年1月に第46代アメリカ合衆国大統領となるが、その時点で78歳または79歳となっている。両者ともに激務の大統領職を2期8年務めることはおそらく不可能で、1期4年のみになるのではないかと思われる。
ちなみにトランプが再選された場合、トランプもその時点で74歳であり、人格や政策はさておくとしても健康問題が持ち上がる可能性はある。
副大統領はカマラ・ハリス?
大量の出馬者が乱立した今回の大統領選。人種民族マイノリティ、女性、ゲイ、30代の若い候補者たちが大きな注目を集め、当初は「白人男性の候補者は不利では?」とさえ言われた。
ところが最終的に残ったのは白人男性2人。共に多様性社会の重要性を訴えており、かつ当選にはマイノリティの票も必要だ。これが理由でどちらも副大統領候補にはマイノリティ、特に女性を指名するのではないか、さらに自身が高齢であるため、政権のフレッシュさを演出するために若手を選ぶとも言われている。
副大統領候補は大統領選に出馬していた人物である必要はないが、今回のレースに出ていた人物であれば、その支持者がこぞって付いてくることから有利になる。とはいえ、現在はまだ副大統領候補を指名する段階ではなく、戦線離脱した候補者たちがバイデンとサンダースのどちらを公式に支持するかを表明している段階だ。
スーパー・チューズデイの前日にはピート・ブートジェッジ(インディアナ州サウス・ベンド市長)、ベト・オローク(元テキサス州選出上院議員)、エイミー・クロブシャー(ミネソタ州選出上院議員)がバイデン指示を表明。それぞれがバイデン応援の熱のこもったスピーチを行い、スーパー・チューズデイでの集票に貢献した。
3月8日にはバイデンの副大統領候補の本命と噂されているカマラ・ハリス(カリフォルニア州選出上院議員)が「私はバイデン氏を信じます」とする公式支持表明のビデオを公開した。
ハリスは「女性」「黒人とインド系のミックス」「移民二世」「55歳」と非常に広範囲の市民にアピールするバックグラウンドを持ち、朗らかな人柄による人気もある。なによりカリフォルニア州とサンフランシスコ市の司法長官を計13年務めた経歴の持ち主だ。
If you're a member of the #KHive, know that there is a home for you in our campaign. I would be honored to have your support. pic.twitter.com/3GqvPi1E0y
— Joe Biden (@JoeBiden) March 11, 2020
バイデン、カマラ・ハリスの若々しさを強調するツイートを行う
一方、長年にわたる黒人運動のリーダーで、自身も大統領選への立候補歴があるジェシー・ジャクソン師がサンダース支持を表明した。サンダースは2016年の予備選でヒラリー・クリントンに敗れている。敗因の一つは、黒人票を十分に獲得できなかったことだ。
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