2020大統領選と新型コロナウィルス:バイデンvsサンダースという高齢白人男性対決の行方は

文=堂本かおる
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エリザベス・ウォーレン

 当初より大統領当選の確率が高いとされてきたエリザベス・ウォーレン(マサチューセッツ州選出上院議員)はスーパー・チューズデイの結果が振るわず、苦渋の離脱を選択した。離脱発表の瞬間から「バイデンとサンダースのどちらを支持する?」と問われているウォーレンだが、現在のところ回答を保留している。そこにはサンダース支持者との軋轢がある。

 ウォーレンとサンダースは共にプログレッシヴ派だが、サンダース支持者のうち”バーニー・ブロ”と呼ばれる過激なグループからウォーレンへの攻撃が続いていた。それが理由でウォーレン支持者のうち、少なくない数が「バイデンに投票する」と答えたとする調査もある。

 サンダース支持者からは民主党がサンダースを大統領にさせたくないゆえ、バイデンを押している、前回のヒラリーとの対戦時と同じで不公平であるとする声が出ている。

エリザベス・ウォーレン、大統領選離脱発表後の週末、NBC「サタデーナイトライヴ」に出演。自身のモノマネを担当してきたコメディアン/俳優のケイト・マッキノンとのリラックスした瞬間

マイケル・ブルームバーグ

 金融メディア企業ブルームバーグ社の設立者であり、全米9位の大富豪にして元ニューヨーク市長のマイケル・ブルームバーグ。他の主だった出馬者から1年も出遅れた昨年末の立候補表明には理由があった。

 選挙資金は寄付に頼る必要がなく、すべて自己資金で賄えること。データ収集と分析に長け、その時点での立候補表明が有利であると確信したこと。市長時代より大胆な奇策を採ることがあり、今回もディベート、スーパー・チューズデイ以前の予備選をあえてパス。それが勝利につながると信じた。だが、蓋を開けてみるとスーパー・チューズデイの結果は惨憺たるもので、米領サモアでのみの勝利となった。

 翌日に大統領選撤退を表明したブルームバーグは、天敵トランプに新たな宣戦布告を行った。自身の選挙キャンペーン要員を全米のスウィング州(民主党、共和党のどちらにも揺れる州)に送り込むと言うのだ。

 トランプは身長の低いブルームバーグを「ミニ・マイク」と揶揄し続けていた。共にニューヨーカーであり、ニューヨークを拠点に不動産業を行うトランプの真の実績を、元市長であり、そもそも金融メディアの第一人者であるブルームバーグは熟知している。トランプはそれを暴露されるのを非常に恐れている。さらに富豪であることが自慢のトランプではあるが、実際はそれほどの資産はないと言われており、本物の大富豪であるブルームバーグへの嫉妬もある。

 スーパー・チューズデイ後にトランプは「ミニ・マイク」をからかう幼稚なアニメーションをツイートしている。ブルームバーグはそのツイートに、「ドナルド、私たちはまだ終わっていない」とリプライしている。

ブルームバーグ「ドナルド、私たちはまだ終わっていない」

アンドリュー・ヤング

 主だった候補者が2018年末から2019年始にかけて立候補表明したのに対し、台湾系の起業家アンドリュー・ヤング(*)はトランプの大統領就任の10ヶ月後という、異例の早期に出馬表明を行っている。

 全くの無名であること、政治家ではないこと、ベーシック・インカムという非常にユニークな政策を掲げていることに加え、米国史上初のアジア系大統領を目指し、有権者の”目を慣らす”ことも目的の長期戦だったと思われる。ただし、ヤング自身はアイデンティティ・ポリティクス(アジア系のヤングがアジア系アメリカ人のために出馬するなど、特定マイノリティの社会的地位向上のための政治)を否定していた。

 ヤングは撤退早々CNNのコメンテイターとなり、今は大統領選の現状や行方について語っている。先に書いたように今回は誰が大統領になっても1期で終わる可能性が高く、ヤングはすでに2024年大統領選出馬を匂わせるユーモラスなツイートを行っている。CNN出演はこれから4年かけての次なる大統領選キャンペーンの一環なのだ。

アンドリュー・ヤング、2024年大統領選への出馬を匂わせるユーモラスな写真

*実際の発音は「ヤン」ではなく「ヤング」

新型コロナウィルス、選挙への影響?

 この原稿を書いているのは3月8日だが、10日にはまた6州で予備選が行われる(*)。17日には大票田のフロリダ州、かなり遅れて4月後半にやはり大票田のニューヨーク州での予備選がある。その前後も各州での予備選が延々と続く。

 今日の時点で全米の新型コロナウィルス感染者は475人、死者19人(**)。今後、急速に増えていくのではないかと思われる。予備選が影響を受ける可能性もあるだろう。そんな中、トランプは金曜に予定されていた新型コロナウィルスについての疾病対策センターとの会議をキャンセルし、自身の再選挙資金集めのためにフロリダに飛んでいる。誰もが呆れたこのニュースに続き、驚きの報道があった。

 2月末の4日間、ワシントンDC近郊のホテルで開催されたCPACと呼ばれる超保守派の一大イヴェント参加者の中からコロナウィルス感染者が出た。イヴェントには大統領のトランプ、副大統領ペンス、その他の共和党の政治家、文化人などが大量に出席していた。ホワイトハウスは感染者と大統領、副大統領の接触はなかったとコメントしている。だが、2016年の大統領選に出馬したテッド・クルーズ下院議員が感染者と握手したとして、2週間の自宅待機をすると発表した。イヴェントから感染者の発覚まで1週間あり、その間、イヴェントに参加した政治家たちが首都ワシントンDCで活動していたのである。

 アメリカは今後、盛り上がる大統領選と新型コロナウィルス禍の両方を同時に捌いていかなくてはならないのである。

(堂本かおる)

追記:

*3月10日の6州での予備選はバイデン有利の結果となった。サンダースは撤退かとも思われたが、翌日に撤退はしないこと、15日のバイデンとの一対一のディベートを行うことを表明した
**3月11日現在、全米の感染者は1,000人を超え、死者31人

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