
『NEWS23』公式サイトより
先月28日に妊娠を公表したフリーアナウンサーの小川彩佳アナ。小川アナは現在、『NEWS23』(TBS系)のメインキャスターを務めているが、TBSは4月の番組改編を機に降板を検討していたという。しかし一転、“マタハラ批判”を危惧し、彼女の番組降板を帳消しにする予定だと「女性セブン」2020年3月26日・4月2日号(小学館)が報じている。
小川アナは昨年2月にテレビ朝日を退社し、『NEWS23』のメインキャスターに就任。『NEWS23』では、以前キャスターを務めていた膳場貴子アナが産休後に番組復帰したものの、わずか1カ月で降板したことがある。その当時、TBSには批判が殺到したといい、今回は”マタハラ批判“を危惧して小川アナの降板を取りやめる方向だそうだ。
本当に4月のキャスター交代が計画されていたのか、TBSがマタハラ批判を恐れて続投を決めたのか、記事がどこまで確かかはわからないが、無事に出産となればその先に育児があることだけは確か。
それを見越して会社側の「辞めてほしい」という思惑があることも、よく聞く話だ。そして当事者である女性が「辞めたい」「職務を減らしたい」と望むこともあれば、「これまで通りに働きたい」と望むこともある。一律な対応を定めることは困難だが、様々な選択肢を設け、それこそ一律でない柔軟な対応をとることが求められている。
「リスク」「無責任」と非難された桐谷美玲や武井咲の妊娠
女性芸能人の妊娠・出産は基本的に「おめでたいこと」「幸せの絶頂」等と伝えられるが、同時にテレビ局やスポンサーにとって“迷惑”なことだと報じられもする。
2018年9月、桐谷美玲はキャスターを務めていた『NEWS ZERO』(日本テレビ系)を降板したが、9月13日発売の「週刊新潮」(新潮社)では、桐谷はテレビ局が二の足を踏むような“あるリスク”を抱えていると報じていた。
それによると、桐谷は三浦翔平との結婚を発表したばかりであり、かねてより「30歳までに子どもを産みたい」と公言していたことから、テレビ局側は番組レギュラーに起用しても「すぐに産休に入ってしまうかもしれない」と懸念していたそうだ。
また2017年、武井咲がEXILE・TAKAHIROとの結婚と妊娠を同時発表した際も、彼女の妊娠は“ルール違反”であり所属事務所、テレビ局共に“大迷惑”との報道が多数された。
武井はこれから撮影予定の映画やドラマが数本あったうえ、10本のCM契約を抱えていた。CMの中にはエスエス製薬のアレルギー用薬「アレジオン」があり、妊娠中・授乳中の服用NGな製品のため、「妊娠中の者がCMに出演するのはふさわしくない」との主張や、所属事務所は関係者関係者各位への“お詫び行脚”を開始するとの情報もあった。
確かに彼女の仕事には大勢の関係先と多額のお金がついて回るもので、先々の計画もあっただろう。だが彼女を責めても仕方のないことだ。また、CMで商品を宣伝するタレントが妊娠中であることがマイナスに直結すると果たして言えるのかは疑問である。
「妊婦服用NGの商品CM出演中に妊娠するのは非常識」という声は昨年にも噴出した。昨年8月、滝川クリステルが自民党の小泉進次郎衆院議員との結婚・妊娠を発表したが、滝川はキリンのビール飲料「本麒麟」のCMに出演していた。
キリンは公式サイトから滝川のCM動画を削除。テレビCMも速やかに放送を取りやめるとした。この対応を報じたYahoo!ニュースの記事コメント欄には、「無計画な妊娠は無責任で非常識」「ただの迷惑だから賠償請求をしろ」などといった酷いバッシングが相次いだ。罪を犯したわけでもないのに、まるで犯罪者のような扱いだった。
前述したように、芸能界に限った話ではない。経営サイドやマネジメント層だけでなく、休業者の穴を埋める平社員も「女性社員の妊娠は迷惑」と、妊娠した人間を責める風潮がある。出産や育児などで一時的にメンバーが欠ける時、仕事量は減らず代わりの人員も入らず、残るチームメンバーが穴埋めに奔走することになるからだ。
しかし本来、仕事量や人員の調整、また適材適所の配置などは経営サイドやマネジメント層がすべきことだ。不満をそちらへは向けずに「妊娠した女性社員」にぶつけていては、足の引っ張り合いと同じだ。女性の妊娠・出産時によって周囲に生じる負担は、会社など組織がフォロー体制を整えなければならない。