地方都市でフラワーデモをするということ

文=三浦ゆえ
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3月8日、フラワーデモ富山の様子

 新型コロナウイルス拡大の影響か、休日の夕方というのに人通りは多くない。今年は暖冬というけれど、じっと立っていると寒さが身にしみた。小声で隣に立つ人に話しかけてみた。

「そのお花を選んだ理由を聞いていいですか?」
「本当はミモザがよかったんだけど、花屋さんで売り切れとって。黄色のバラには“愛・友愛”という意味があるから、これにしたんよ」

 その日は3月8日、国際女性デー。明るい黄色の、ミモザの花が象徴とされている。生花店でなかったということは、この日を祝う人がそれだけ多いということだろうか。少し寒さがやわらいだ気がして、前を向いた。

 花を手に集まり性暴力を許さないと声をあげる「フラワーデモ」がはじまったのは、2019年4月の東京。同年春に相次いだ、性犯罪事件に対する理不尽な無罪判決に抗議するため、東京駅前に500人超の女性が集まった。マイクを手にしてある人は自身の被害体験を語り、ある人は被害者が救われない刑法の改正を訴えた。毎月11日の開催が定例化すると、大阪ほか都市部でも開催されるようになり、次第に全国に広がっていった。

「東京だけなんだろうな」

 筆者はこれまで東京でデモに参加してきた。毎月のように何百人と集まるが、イベントなどに慣れている実行委員が場を仕切り、取材にくる多数のメディアにも対応しているため安心感がある。人数が多くなるほど匿名性も出る。

 地方都市だとそうはいかないのではないか? そう感じた。開催翌日にはそれぞれの開催地での模様が報道される。ごく少人数でのサイレントスタンディングを行うところもある。フラワーデモに参加するという意味が、また違ってくるように思えた。

 12回目となる3月は国際女性デーに合わせた8日、しかもはじめて47都道府県で開催される予定だった。しかし新型コロナ対策として中止、規模縮小、オンラインデモに切り替えた都市は多かった。そんななか、筆者は出身地である富山県に向かっていた。昨年11月に初開催し、5回目を数える3月もスタンディングデモを行うと発表されていたので、それに参加しようと思い立ったのだ。

 それに先立ち、フラワーデモ富山の発起人・吉岡星さんにお話をうかがうことができた。

吉岡星さん(以下、吉岡)「現在、大阪の大学に通っていることもあり、最初にフラワーデモに参加したのは2019年5月の大阪でした。4月に東京ではじめてのデモが開催されたと知ったときは、『やっぱりこういうのは東京なんだな、東京だけなんだろうな』と思っていました。大阪での開催を知り参加してみて、人がたくさんいることに驚きました。それまで性暴力事件や無罪判決に怒って声をあげている人をSNSでしか見たことがなかったので、自分のすぐそばにいるんだと実感できたんです」

 吉岡さんの口ぶりから、当日の会場の緊張感と熱量が伝わってくる。

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