
3月8日、フラワーデモとっとり米子会場
2019年4月に東京ではじまったフラワーデモ。同年春に相次いだ、性犯罪事件に対する理不尽な無罪判決に抗議するため、東京駅前に500人超の女性が集合した。毎月11月に開催されるようになり、回を重ねるごとに全国に広がっていった。
ひとりひとりが携えてくる想いは同じく強くとも、100人単位で人が集まり都心部と、人口が少ない地方都市でおのずと様相が違ってくる。前篇では、富山県で開催した大学生・吉岡星さんのお話を聞いた。同県出身の筆者も、3月8日に開催されたスタンディングデモに参加した。
地方都市でフラワーデモをするということ
新型コロナウイルス拡大の影響か、休日の夕方というのに人通りは多くない。今年は暖冬というけれど、じっと立っていると寒さが身にしみた。小声で隣に立つ人に話…
その土地には、その土地なりのフラワーデモがある。後篇ではまず、3月8日に県内3カ所で同時開催をした鳥取県の様子を、発起人で実行委員のひとり、Aさんにうかがった。
参加した人の安全を守りたい
Aさん(以下、A)「47都道府県で人口最少の鳥取で3カ所同時開催って、驚かれたかもしれませんね。フラワーデモを全国に、という話を聞いたときから鳥取でもやりたいと思っていたのですが、これまでデモというものに参加したことがなく仕事もあって、ひとりでやるのはむずかしい……と躊躇しているときに、代表となってくれる女性を紹介していただきました。鳥取県とひと口にいっても、県庁所在地の鳥取市と、県の西側に位置する米子市とのあいだは車で2時間近くかかり、文化の違いもあります。実行委員の居住地も離れていたので、だったら2カ所で同時開催してみようということになりました」
今年1月11日、Aさんは「10人集まればいい」と思って米子会場に向かった。蓋を開けてみれば、2会場あわせて72人がサイレントスタンディングに参加した。うれしい誤算だったが、現場では戸惑いもあった。取材にきたメディアへの対応のほか、許可なく参加者の写真撮影をする人もいて、目が行き届かないところもあったという。
A「参加した人の安全をどうやって守るか、というのはずっと気にかけていたところです。人と人とが密接な土地柄ということもあって、私も外出すれば必ずといっていいほど誰かに会います。デモをしている前を加害者が通りかかるかもしれない、写真がSNSなどに掲載されたことで思わぬ反応があるかもしれない。これまでつづけてきて幸いにもそうしたトラブルはありませんでしたが、いつも一番に考えていたことです」