トランプ大統領の狼狽 新型コロナウイルス幕引きのシナリオはどうなっているのか

文=斎藤満
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Pool / プール(Getty Images )

 「トランプ大統領の表情が変わった」

 これも「13日の金曜日」のなせる業だったのか、トランプ大統領は3月13日の金曜日に、新型コロナウイルス感染を阻止するために「国家非常事態」を宣言しました。この時の大統領の顔は、いささか引きつっていたように見えます。

当初、米国では新型コロナウイルスの感染は問題にならず、短期間で終息する、と楽観していました。その頃のトランプ大統領には明らかに余裕があり、まるで人ごとのようでした。

 ところが、米国でもシアトルを中心に感染が拡大し、サンフランシスコやロサンゼルスでは「非常事態宣言」がなされました。これが東海岸にも広がってニューヨークでも急速に感染が拡大、米国全土で不安が広がる中で、米国株が急落。トランプ大統領が非常事態を宣言する前日にはダウが過去最高の2340ドルもの急落を見せ、16日には3000ドル下げと、リーマン危機以来の株価急落に見舞われました。

 大統領選挙では一般に現職候補が有利と言われ、実際、これまで再選を果たせなかった現職は、先代ブッシュ大統領など限られています。景気がよほど悪化するか、株価下落に見舞われた場合に再選が厳しくなります。トランプ大統領もこの不安が一瞬頭をよぎったのではないかと思います。一連の新型コロナウイルス対策を見ても、欧州からの入国禁止策など、やや狼狽が見られます。

100年ぶりの人類への挑戦?

 これまでも新型インフルエンザの感染は何度か人類に不安を投げかけましたが、2002年のSARS(重症急性呼吸器症候群)や2012年のMERS(中東呼吸器症候群)などは、前者が中国中心、後者が中東中心で、必ずしも世界中に感染が広がったわけではありません。その点、今回の新型コロナウイルス感染は、アジアから欧米まで広がっており、WHO(世界保健機関)がパンデミック(世界規模の感染)を認めました。

 つまり、今回の世界的なウイルス感染は、100年前の「スペイン風邪」以来の脅威と見られているのです。

 「スペイン風邪」と名前がついていますが、実は世界中で感染し、死者が5000万人から1億人に達したともいわれます。しかし当時は第一次世界大戦中で、各国も戦況に不利になることを恐れて、この新型インフルエンザの感染をひた隠しにしていました。中立国のスペインが正直に発表したので、こうした名がついてしまったというわけです。

 当時の感染拡大、多数の死者は、戦争を維持することさえ困難にしたといい、第一次世界大戦収束をもたらす一因になったともいわれます。この「スペイン風邪」は鳥インフルエンザの一種と言われますが、当時はワクチンも抗ウイルス剤もなく、患者の治療も感染防止もできず、戦時中だけに感染に歯止めをかけることもできませんでした。

 今回の新型コロナウイルスの感染についても、まだワクチンが開発されておらず、開発にはまだ半年か1年かかると言われます。また、この種のコロナウイルスにはワクチンができないとの説もあります。そうなると、中国のように徹底的に人を隔離して強制的に感染拡大を防ぐ手はありますが、民主国家では非常事態宣言を出してどこまで国民の行動を規制できるかが問題になってきます。

 国民の行動を規制することで、感染抑止効果は期待できる反面、経済へのダメージは大きく、国民への負担、心理的な抑圧も大きくなります。それ自体、この秋に大統領選挙を控えた大統領には大きな負担になりかねません。

プロレス興行説も

 これに対し、一部にはまだ短期終息を予想する向きがあります。これは米国と中国が仕組んだ「プロレス興行」と断じるもので、ある狙いを達成すれば、感染危機を終息させる、と楽観しています。トランプ大統領の「短期収束」発言や、安倍総理の「ここ1、2週間がヤマ場」発言は、新型コロナ感染を米中がコントロールできると信じてのもの、ということになります。

 100年前の新型インフルエンザについても、人工的な生物兵器説がありましたが、今となっては闇の中です。今回の新型コロナウイルスについては、中国の軍部関係者から「米国がばら撒いた生物兵器」との見方が紹介され、外務省の報道官も米軍が持ち込んだとツイートしています。

 真偽のほどは不確かですが、米国(カナダ説も)の研究所で作られたウイルスが流出したか盗まれたかした可能性も含め、これが武漢の研究所に持ち込まれ、撒かれたとの見方があります。その過程で、感染力は低いが致死率の高いウイルスと、致死率は低いが感染率の高いウイルスの2種類が作られたとの説も。もちろん、人工的にではなく、自然に変異したとの見方もありますが、もし人工的に作られたウイルスなら、それに適応する抗ウイルス剤があるはずで、どこかの時点で目的が達成されれば、これが使われて騒ぎが収まる、というものです。

 この説では、仕掛人の狙いとして、中国を核としたサプライチェーンの破壊、米国と欧州、中国経済の分断、中国における反習近平派(江沢民派?)の弱体化が目的と言われます。実際、今回のコロナ騒ぎで、この狙いはある程度果たせた感があります。米欧間の人の移動も制限し、米欧分断も仕組まれました。

 このシナリオでは、どこかの時点で仕掛人による「幕引き」があり、そこでは新型コロナウイルスに有効な抗ウイルス剤が提供されるか、ワクチンの開発がなされたことになり、不安の払拭がなされることになります。世界の製薬界は一部の勢力によって牛耳られ、そこでの了解がないと、一般の薬は勝手に使えないとも言われます。

 トランプ大統領は13日に国家非常事態を宣言し、ここからは「何でもあり」となります。その結果として、この幕引きが4月、5月になされれば、東京オリンピックの開催も可能になり、米国株の反発、景気不安の改善で、トランプ再選の可能性は高まりますが、果たして「予定通り」に進んでいるのでしょうか。トランプ大統領の非常事態宣言時の狼狽ぶりには、一抹の不安を覚えます。

バイデン候補よりコロナが難敵

 トランプ氏の対抗馬が、バイデン候補かサンダース候補に絞られ、いずれもトランプ大統領にしてみれば与し易い相手と言われます。トランプ陣営は、バイデン候補が来れば、改めてウクライナでのバイデン氏の息子の問題で叩けると踏んでいるようです。

 しかし、新型コロナウイルスが自然発生的なもので100年ぶりの脅威となるか、仮に人工的なものでも、何かボタンの掛け違いで予想外に米国中国の感染拡大が深刻になり、当初の計画通りにコントロールできなくなっているとすると、これはトランプ大統領にとって大きな誤算となり、コロナウイルスがバイデン候補以上に強力な敵となりえます。

 トランプ大統領はオバマ前大統領が築いた医療保険制度、オバマケアを潰してしまったため、現在アメリカでは無保険者がおよそ2850万人に増加。また不法移民も約1000万人いるという状況です。これらの人々は医療保険がなく、体調がおかしくても医者に行けず、たとえ新型コロナに感染していても治療を受けられない可能性があります。このことからも、米国では今後も新型コロナウイルス感染の被害が大きくなることが懸念されています。

 自然界が100年に一度の人類に対する大きな脅威をもたらしているのか、人類の傲慢が過ぎて自らの足を引っ張ることになったのか。いずれ答えは出ると思いますが、新型コロナウイルスのハンドリングを誤ると、トランプ再選が狂うばかりか、人類は大きな犠牲を余儀なくされます。100年前は多くの犠牲者が発生し第一次世界大戦を終了させましたが、今回は世界にどんな変革をもたらすのでしょうか。

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