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コロナショックで投資不安、相場下落でも「ほったらかし」でいいのか?

文=松崎のり子
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「Getty Images」より

 新型コロナウイルス・ショックで世界の金融市場が揺らいでいます。アメリカ・NYダウは大暴落、日経平均も1万6000円台をつけるなど連日不穏な空気が漂うばかり。ヨーロッパに目を向ければ感染拡大が止まらず、人の外出・移動を制限する動きが本格化。このまま世界的な不況に突入する可能性も高まってきました。

 そうなると、短期でマーケットが回復するとは考えられません。筆者の当初の見立てでは、東京オリンピックの延期(もしくは中止。これは、まずないと思いますが)が決定的になった段階で日経平均にもう一段の下げがあると予想していましたが、もはや予定通り開催するとは誰も信じておらず、となると激震はないかもしれません。

 ただし、オリンピックにお金をつぎ込んできた国内スポンサー企業にとっては当てが外れますし、関連ビジネスもいったん仕切り直しになるため、今年度の売り上げは想定以下となってしまうことでしょう。もろもろトータルで考えると、日本の株式市場の回復までは時間を要するのではと思うのです。

 加えて、生活者としての肌感覚で言えば、「外食」「イベント」「レジャー」「旅行」が自粛ムードのままでは、消費に回るお金はこれまで以上に細るでしょう。消費が増えなければ企業の売り上げも上がらず、経済全体が縮こまったまま――となりかねません。そこで気になるのが、2019年にどっと増えたと言われる投資初心者の人たちです。

投資初心者が不安になるのは当たり前

 注目を浴びた「老後資金2000万円問題」をきっかけに、「預金だけではお金は増えない。若いうちから長期・積立・分散投資を始めましょう!」との掛け声で、投資セミナーが大盛況になったとか。証券会社の口座開設数もぐんと伸び、「2000万円問題サマサマです」との関係者の声もちらほら聞こえました。

 くだんの金融審議会・市場ワーキング・グループ報告書が出たのが2019年6月3日で、それから積立投資をスタートしたとすれば、まだ半年~8カ月程度でしょうか。1万円ずつ投資信託の積み立てをしているなら8万円、2万円で16万円の元本となります。今回の世界的な株安では、それが軒並み元本割れの憂き目にあっている人が多いだろうと推察します。

 セミナーで聞いたセールストークは、「ご心配なく。短期で下がっても長期では値は戻りますよ。ほったらかしで淡々と投資すればいいのです」ではないでしょうか。特に、値下がりしている時のほうがお得に買えて、相場が戻った時には値上がり益も期待できますと。

 「ほったらかしでOK」と言われても、「不安だ。このままでいいのか」という人はいるでしょうし、自然な反応です。セミナー講師本人のお金ならいいけど、自分のお金ですから。では、こういう時は何をすればいいのでしょうか。

 筆者は投資助言者でも世界経済アナリストでもありませんから、今後の経済の見通しやドルコスト平均法のメリットを考えようなどのアドバイスはできません。それよりも、まず、「自分が投資した金額よりも減った」時に、どう感じたかをしっかり見つめることが肝心だと思います。

 「とても耐えられない」と思ったなら、今後も投資で資産形成するのに向いていないかもしれません。「いや、今が投資のチャンス。値が下がっている時こそ、多く買えるのだからありがたい」と思えるなら、まずまず投資向きといえるでしょう。「今は我慢できるけど、値が半分になったら怖い」という人は、積立額を今より減らして運用に回す資産を減らす選択もありかと思います。

 この先も積立投資を淡々と続けるのか、それとも止めるのか、金額を減らすのか。それを決めるのは自分自身です。金融機関も投資の助言をしてくれるアドバイザーも「急落した時こそ積み立ての効果が発揮できる。一番してはいけないことは、下がった局面でやめることだ」と言いますが、もし投資は怖いし向いていないと感じたら、一呼吸おいたり方向転換してもいいと思います。だって、「自己責任」の世界ですから。判断するのも自分、資金を出すのも自分。大事なお金をどう運用するかは、自分が決めるべき。その結果、投資はやめて預貯金で積み立てすると決めても、誰も責めたりしないと思います。

 特に、昨年投資を始めたばかりの初心者なら、値下がり体験が早々にできたことは幸運です。投資金額はまだそれほど多くないので、減った金額も少額で済んだはず。「怖い」「お金が減ってしまった」という思いを早めに経験して、預貯金とはこんなに違う、どんなプロでも相場を当てることなんてできないのだという事実が分かれば、「では、自分は次どうしようか」という選択肢も見えてくるはずです。

気長に運用できるかをイメージして

 値下がりすることはわかったけれど逆に今こそチャンスだ、そのうち市場が回復し大きく値上がりするはずだと思った人は、いつまで積立で運用できるかをイメージしておきましょう。

 老後資金として考えた時、取り崩し始めるまで何年あるかは人によって異なります。60歳まで積み立てを続けるとして、今25歳の人なら35年、30歳なら30年、40歳なら20年、資産形成のための運用期間があります。むろん、運用期間中必ず相場が右肩上がりになり資産残高が増え続けるわけではなく(実際、今どんと下がっていますし)、先のワーキング・グループの報告書でも「1985年以降の各年に、毎月同額ずつ国内外の株式・債券に積立・分散投資したと仮定し、(中略)保有期間が5年ではマイナスリターンも発生するが、保有期間が20 年になるとプラスリターンに収斂し、さらにそのバラつきも小さくなる。」とあります。つみたてNISAの非課税期間はこれに合わせたわけでもないでしょうが、現在20年となっています。

 なんとなく長期投資なら増える、ではなく、自分が実際に老後資金として使うまで十分な運用期間が確保できるのかも考えてスタートした方がいいと思います。

 貯めるのが苦手という人ほど一発逆転を夢想しがちですが、投資はそんなに甘くありません。この先、いつ相場が反転し、安定するかは誰にも言えませんし、世界的に投資意欲が衰え、低成長に陥る可能性もあります。それこそ、20年以上かけて資産形成できるお金と時間の余裕があるかも大事なことでしょう。

 なお、先の報告書の同ページに「20年の長期保有では、投資収益率2~8%(年率)に収斂」ともあり、預貯金に比べれば確かに高いけど、分散投資ってすごいなというほどでもないとの印象を受けました。

自分のお金は自分で考えるクセをつける

 結局、「ほったらかしで運用していけばいい」とのフレーズは正解でしょうか。

 先に書いたように、自分のお金の責任は自分にしか持てません。投資のシミュレーションはあくまで過去実績をベースに予測されるもので、いつコロナショックのようなことが起きるかはAIにも予見しきれないはずです。今後も相場が急落した時や、急に金が入用になった時、投資をほったらかしで続けるか続けないかの判断は、自分自身がしなくてはならないでしょう。

 資産形成で最も大事なことは、分散投資を長期で積み立てすることではなく、自分の頭で考えることだと思います。老後を見据えて何歳まで働き続けるのか、年金は何歳から受け取れるのか、老後の住まいは確保できているのか、住宅ローンは返し終えているのか。さまざまなピースをあれこれはめてみて、お金のビジョンを立てるべきです。

 ひょっとすると、長期投資に厚くお金を使うよりコツコツ住宅ローンを繰り上げ返済した方がいいかもしれないし、いま国民年金しか加入していないなら厚生年金に加入できる働き方を選ぶほうが早道かもしれません。自分のお金の正解は、自分にしか判断ができないのです。

 相場が急落した時こそ、自分のお金のスタンスをいったん見直す機会にしてはどうでしょうか。

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