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新型コロナ「自粛要請」なのに補償なし!? 現金給付より「商品券」構想するおかしさ

文=wezzy編集部
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Getty Imagesより

 東京五輪が延期となり、ようやく新型コロナ感染症対策に本腰を入れるかと思えば、日本の意思決定層はここまで愚かだったのか──そう思わずにはいられない事態となっている。

 3月25日の記者会見で小池百合子東京都知事は緊急記者会見を開き、「感染爆発の重大局面」であるとして28日、29日の週末は不要不急の外出を控えるよう「自粛要請」を出した。しかし「自粛要請」とセットで出すべき「補償」については言及を控えている。

 会見で小池都知事は、「まず自粛をお願いするということでございます。税金を投入することが正しいかどうかは、議論のあるところ」と、この期に及んでなお、すべてを「自己責任」に帰す考えを述べていた。

 言うまでもなく、週末に人々の外出を控えさせれば、小売、外食、エンターテインメント業など、様々な業種で深刻な経済的影響が出るだろう。しかし、その損益に対する補償はなく、「自粛要請」の名のもとに、各々の事業者が被ることになる。

 これではいくら個々人が感染拡大のリスクを承知していようとも、自粛要請に従えない事業者、従った結果として職を失う人が次々出てくるだろう。

なぜ三連休は放置したのか?

 そもそも、なぜ20日〜22日の三連休にこのような要請を出さなかったのか。花見シーズンということもあり、この三連休は東京各地の繁華街や行楽地は大賑わいだった。

 諸外国の状況から判断するに、なんの対策もとらなければ、人口が密集している東京において爆発的感染増加が起きることなど、誰の目にも明らかだった。

 それがなぜ、ここに来て急に態度が180度方向転換したのか。

 理由はひとつ。三連休前の段階では、この期に及んでなお東京五輪開催を目論んでいたからだろう。

 東京五輪がコロナ対策にいかなる影響をおよぼしていたかについては、事態収束後、徹底した検証が必要である。

安倍政権のお粗末すぎる緊急経済対策

 愚策を連発しているのは安倍政権も同様だ。

 そもそも、日本経済はコロナ関係なく、消費増税により深刻なダメージを受けていた。2019年10月〜12月期の国内総生産(GDP)は、年率換算で7.1%も減っていた。

 これに加えて、コロナによる大幅な景気悪化があったのだから、消費税を減税するなどの思いきった緊急経済対策をとることが期待されていたが、麻生財務相は19日の記者会見で消費税の減税を否定。また、現金給付に関しても「自分が首相のときも現金給付したが、あまり効果はなかった」として、前向きではない考えを述べた。

 一方で政府内では、所得が大幅に減少した世帯に対し、20万円程度の現金を給付する案も検討していると報じられている。議論が続いているようだが、同時に浮上している案はいくらなんでも国民の経済状況を見誤っていると言わざるを得ないものだった。なんと、「商品券」を配るのだという。

 現在、自民党内で検討されている経済対策では、国産牛肉や国産魚介類にのみ使用できる商品券が構想されているという。さらに感染が収束した後、旅行会社を通じて国内旅行商品を購入した人には、最大3万円分のクーポン券の発行を検討しているというから驚きを禁じ得ない。

 「消費促進のための商品券」よりも人々がまず必要なのは現金だ。雇用が不安定になり、経済格差が拡大した現在の日本では「貯蓄ゼロ世帯」が増えている。消費者金融SMBCコンシューマーファイナンスの調査によると、30代~40代で「貯蓄額ゼロ」と答えた人は23.1%にもおよぶという。

 今回のコロナを受けて、そういった世帯は生命の危機にある。特に、フリーランスなど自営業者の場合、収入が絶たれているケースも十分考えられ、休業補償や現金給付といったかたちでの支援は急を要する課題だ。

 高価な国産牛肉や、魚介類への商品券など、どうでもいい。この期に及んで政府・与党の人間は自分たちへの利益供与を優先するのか。

あまりに大きい海外との違い

 なぜ日本では現金給付案の議論が滞るのか。他国ではすでに休業補償や現金給付を含んだ支援策が打ち出されている。

 イギリスでは、国民に自宅待機を要請する一方、その影響で働くことができなくなった人に対し、賃金の80%(月に2500ポンド、日本円で約32万円を上限とする)を肩代わりすると発表した。フランスは休職分の所得を、法定最低賃金の4.5倍を上限に、国が100%補填するかたちでまかなう。

 アメリカでは、25日に与野党が2兆ドル(約220兆円)規模の経済対策で合意。大人1人に最大1200ドル(約13万円)、子どもには500ドルの現金給付がなされることとなった。

 どの国も迅速な判断を下しており、かたや日本はどうか。商品券の議論は、国民の不安を煽るばかりだ。首相にせよ財務相にせよ都知事にせよ、現在の日本で権力を握る政治家たちは自分たちの利権のことで頭がいっぱいになっているのではないか。

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