新型コロナ危機の今だから考えたいデジタルユースワーク

文=遠藤まめた
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トランス男子のフェミな日常/遠藤まめた

 新型コロナウィルスの影響で子どもたちの居場所が開催できなくなって1カ月ほど経った。

 私は23歳までのLGBT(かもしれない人を含む)の居場所づくりを行う「にじーず」という団体の代表をしている。自宅にいなさい、外にいくのをやめなさい、と言われる状況になればなるほど、負担がかかる若い世代がいることを私は知っている。

 朝から晩まで家族と顔をあわせなくてはならず、その家族はLGBTである自分のことを理解してくれず、否定的なことばをぶつけてくる場合も残念ながら少なくない、というのが若年層の当事者をとりまく現実だ。

 みんなに会いたいな、どうしているのかな。いつもこの季節は新しい出会いや別れ、チャレンジがあって、いろんなことをみんなで話しているんだけどなぁ、と思いながら、仕方ないので自分も家にいる。運動不足がいよいよ無視できないレベルになり、最近はポケモンGOをはじめた。自宅の周辺でせっせとポケモンを集めつつも、いつになったら通常の暮らしが戻るんだろうかと考えている。全国で同じような気持ちでいる人がたくさんいるだろう。

 そんな中で、若者政策に関する研究をしている知人の両角達平さんが、フィンランドのデジタルユースワークの専門機関であるVerkeが作成した「ネットでユースワークをする22のコツとツール」を翻訳してくれた。

 デジタルユースワークとは、デジタル技術を使って若者のエンパワメントや自立、社会参加などをうながすユースワークのあり方で、近年ヨーロッパの若者政策の業界では注目が高まっているらしい。

 若い世代はネットを使いこなすのが当たり前で、若者と接する大人たちもそれを活用しない手はない。新型コロナ危機の今こそ、ネットを駆使しまくるタイミングなんじゃないか、と思って、早速「にじーず」でも取り入れることにした。具体的にはツイキャスやYouTubeを使って、ユースたちが何を考えているのかを知り、お互いに分かち合える番組を4月から始めることにした

 まだ手探り状況でいるものの、この取り組みは、新型コロナ危機がすぎても続けたいと思っている。そもそも遠方に暮らしているなど、LGBTに関するイベントに参加したくてもできない若者はたくさんいる。

 若年層のLGBTにとってインターネットが果たす役割はもともと大きい。学校や家庭、地域ではLGBTに関する肯定的なロールモデルを得ることは難しいが、インターネットに接続すれば、等身大の当事者たちの姿をたくさん目にすることができる。匿名でアカウントを作れるTwitterは、自分のジェンダーやセクシュアリティについて発信するために多くのユースが使っているSNSで、LGBTコミュニテイでの友達を初めて作るのにも役に立つ。

 以前、自民党の杉田水脈議員が「生産性発言」で大炎上していたとき、性の多様性について発信していたYouTubeチャンネル「性性堂堂」は、傷ついているユースに向けて直接呼びかける「#だれにも決められない」という動画を作った。みんなが困っているとき、傷ついているときに、ネットを通じてコミュニケーションをとる方法はいろいろある。

 2月以降、たくさんのイベントがオンライン配信に切り替わった。地方在住の友人からは、これまで見られなかった講演やシンポジウムが自宅から見られるようになったことに喜びの声も上がっている。

 感染症流行はある意味では地域格差や、さまざまな理由で元から外出が難しい人などにとってはコミュニティへのアクセス改善につながっているようにも思う。大変な時期が続いているが、ピンチだからこそ新しい方法を試してみようと思っている。他の人たちのやり方からも学びたい。

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