子育て不安に陥らない情報の選び方「お父さんにも伝えたい」小児科医からのメッセージ

文=wezzy編集部
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「GettyImages」より

 子育てにおいて、「母乳orミルク」「予防接種(ワクチン)」「発達の度合い」「しつけ」など、様々な選択肢で戸惑う保護者は少なくありません。本でもネット記事でもテレビでも、「正解」だとして提示される情報は一つではなく、あまりの情報過多な状況に混乱してしまいますよね。

 まして現在、新型コロナウイルスをめぐって錯綜する情報に、不安を煽られる日々が続いています。子供の健康を守るため、私たちは情報をどう精査すればいいのでしょうか。

 そこで、Wezzyでもお馴染みの小児科医・森戸やすみ先生に、不安を軽くしてくれると話題の新刊『子育てはだいたいで大丈夫』(内外出版社)と、子育てをめぐる情報との付き合い方について聞きました。

不安にならないための「情報の選び方」

――近年、「日本は子育てしづらい国」だと言われていますが、そう思われることはありますか?

森戸 もちろん、たくさんあります。子育て中の人に、とても不寛容な風潮がありますよね。まだ言い聞かせることのできない乳幼児でも泣かせるな、理由がなければ子連れで出かけるな、電車に乗るな、バスに乗るな、ベビーカーをたため、ベビーカーでなく抱っこ紐を使え……とか。最終的には「子育てすると自分で決めたわけだから親は全部我慢しろ」と明らかに無理なことを言われたりします。

――新刊でも詳しく触れられていましたが、子どもに何かあると全部親のせいにもされがちでもありますよね。

森戸 そうそう、子どもが風邪をひきやすいだけでも、「親が共働きだから」「愛情不足だから」なんて言われることがある。おかしいですよね?

 風邪をひくのは、ウイルスや細菌がいるからです。共働きだとか愛情不足だからというのは、こじつけ。理由がわからないという状態を不快に思う人が、何かのせいにしたくて、親のせいにしているだけです。ただでさえ多くの親は子どもに関することだと何でも責任を感じてしまいがちなので、自分を責める親は多いでしょう。本当にお気の毒です。

――そういった重圧から、子どもを強く叱りすぎてしまう……という声も聞くことがあります。

森戸 例えば、お店の中で騒いでいる子がいたら「なんだ、あの子の親は!」「親はもっと申し訳なさそうにしろ!」と言われてしまいます。でも、子どもは社会全体で育てるものです。周囲の大人だって、普通に「静かにしようね」と注意すればいい。親よりも他人の言うことを聞くときもあります。また仕方のない年齢や程度なら、笑顔で許すということも必要でしょう。

 親も人間ですから「周りから注意されないようにしないと」と思うと、子どもをコントロールしようとしてしまうし、イライラします。でもね、そもそも子どもを思い通りに育てられると思うことが間違いです。自分自身をかえりみても、親の思い通りに育ってない人が多いのではないでしょうか。

――本当にそうです。私自身も、親の期待とは違う感じに仕上がりました(笑)。

森戸 そうですよね。もちろん、私もです(笑)。子どもの人格や将来を親が決められる、コントロールできると思うことは、本来は傲慢なことです。たまたま大人になるまで預かって大切に育てているだけだと捉えると、子どもに対して支配的にならなくて済むのでは、と個人的には思います。

――でも、今は様々な情報があふれていて、しかも世間の重圧もある。それで子育てがつらいという場合、どうしたらいいでしょうか?

森戸 まず、世間や周囲からの無駄な重圧は無視するのがおすすめです。なぜなら、余計な口出しをしてくる人は絶対に何も手助けしてくれないから。スルーしても無視しても差し支えありません。祖父母であっても、負担に思うのであれば、あえて適度に距離をとったほうがいいこともあります。

 あとは子育てや小児医療の基礎知識を得ておくこと、情報の選び方を知っておくことも大切ですね。余計なことで不安にならなくて済みます。

――情報の選び方、すごく大切だなと思います。

森戸 少し前に、新型コロナウイルスについてのデマがLINEで流れました。本当に情報の選び方を知っておくこと、また条件反射で広めないことは大切です。中には冷静な人もいたのでしょうが、同調圧力もあってスルーすると、瞬く間に広まってしまいます。不安なときは、突飛な情報にも飛びついてしまいがちです。だからこそ、普段から勉強しておくことが重要なんです。

子育てメディアが「お母さんだけ」に語りかけないように

――だけど、子育て中の親は忙しいので、勉強といってもなかなか難しいかもしれないと思います

森戸 そうですよね。子どもの世話とひとくちにいっても、食べ物から服から様々なものを用意して、四六時中お世話をして、家事もして、仕事をしている人もいて。私も経験者なので、そう思います。

 だからこそ、最低限知っておいてほしい、よくある子育てデマ、子育て情報の選び方、小児医療の基本をまとめて一冊にしました。あとは、こういったことをパートナーと二人で手分けして勉強してもらえたら、と思います。お母さんだけで子育てをせず、お父さんも加われば、楽になりますよね。

――書籍では女性にばかり負担が偏りがちなことにも言及されています。

森戸 日本では、まだまだ多くの人が子育てするのはお母さんだと思っているのを、早くどうにかしたいんです。

 例えば、医療関係者向けでも保護者向けでも、子育てについての講演・書籍・雑誌などで、本当に多くの人が「お母さん」だけに語りかけがちです。「お母さんは、お子さんに○○してあげてください」といった感じで。本当におかしいですよね。同じ親でも、母親だけが重圧を背負わされる。両方に語りかけるべきですし、そろそろ認識を改めるべきです。

――森戸さんの本では、必ずお父さんとお母さんの両方に語りかけられていますよね。

森戸 気づいてくださって、嬉しいです! これは担当編集者ともよく話していることですが、子育て本でお母さんだけに語りかけることで無意識に「子育ては女性がするもの」という間違った認識を広めたくないし、ただでさえ大変な子育て中のお母さんたちに重圧をかけたくない。それに普通に子育てをしている多くのお父さんたちに疎外感を感じてほしくもないからです。疎外感というより……、お父さんたちに失礼ですよね。

――なるほど! その視点は大事ですね。

森戸 ところが、こういったことを伝えると、よく「でもそうはいっても、まだまだ女性のほうが子育てしているわけだし」「現実的にはお母さんが育てているでしょ」と言われることがあります。

 でも、「じゃあ、いつから、誰から、この偏りをなくそうとするの?」って思うんです。「今日、ここから、私たちから、と全員が変えていけばいいんじゃないか」と思います。

 お母さんだけでなく、お父さんにも語りかけることは、何も大変なことじゃないですから。特に医療関係、保健所のみなさん、マスコミのみなさんにぜひ実践してほしいことです。

――お母さんの重圧が減ると、子育てしやすくなりそうです!

森戸 そうなるといいな! いつもお母さんだけでなくお父さんの無駄な負担もなくなって、本来は楽しいはずの子育てが、ちゃんと楽しくなるようにと願って本を書いています。この本が、この本を必要としている方に届くといいなと思います。

Information

朝日新聞の医療サイト「アピタル」の連載「小児科医ママの大丈夫!子育て」をまとめて加筆し、書籍化したものです。小児科専門医で二児の母でもある森戸やすみさんが、子どものために日々がんばりすぎて不安に陥りがちな保護者に、どんなことに気をつけたらいいか、どんなことは気にしなくてもいいかをやさしく伝えます。

(目次)
第1章 子育てをもっとラクに
なんでも親のせいにできる“愛情不足”はスルーして
子連れ出勤ではなく、働き方改革が必要です……など

第2章 心配になりがちなこと
泣きやまないのは、親の対応のせいじゃない
「どうしてべないの!?」と自分と子を追い込む前に……など

第3章 よくある子育てのデマ
その育児情報サイト、本当に正しいでしょうか?
なるべく薬を飲まないほうがいいと言うけれど…… ……など

第4章 小児医療の正しい知識
小児科なのか他科なのか、迷ったときには……
急に発熱したときも、慌てず対処するために……など

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