誰かと会えないコロナ禍の中でしんどさを相談するコツ

文=遠藤まめた
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トランス男子のフェミな日常/遠藤まめた

 全米最大のLGBTQ団体のひとつ「トレバー・プロジェクト」への相談が、新型コロナウイルス感染症の流行にともない倍増しているらしい。「トレバー・プロジェクト」は若年層のLGBTQのための「いのちの電話」を365日・24時間体制で行っている団体だ。

 家の中にいろと言われても、LGBTQに理解のない家族と四六時中顔をつきあわせることは、若年層の当事者にとっては苦痛以外のなにものでもない。日本でも同じで、平常時でもさまざまな負担がかかっている人たちは、現在さらなるしんどさに直面していることだろう。怖いのはウイルスだけじゃない。

 離れていても使える電話相談は、この状況でも使えるよいツールのひとつだろう。

 電話で相談することに慣れておらず、そもそも電話をかけること自体が苦手だという人も多いだろう。私はたぶん電話相談をわりと使ったことがある方に属すると思うので、参考までに電話相談の使い方についてちょっと書いてみる。

 まず、相手の雰囲気が微妙であれば、すぐにガチャ切りしてもいいのが電話相談のいいところだ。こちらの名前も別に言わなくていい。通常、電話でだれかと話していて、いきなりこちらから切ることはあまりないけれど、電話相談の場合、何を話すのかも、話さないのかも、こちらが選んでいい。選択する権利がこちらにあるというところがポイントだ。

 2019年時点のLGBT系の電話相談期間の一覧は、CoPrismさんという団体がオンライン上で公開している。このリストをみて「なるほど今週だと月曜のこの時間なら電話できるな」と予定をあけ、家からかけられない場合でも「散歩に行く」とか適当な理由をつけて、プライバシーを確保してしまおう。電話が難しい人は、LINEで相談をやっている団体もある。「にじいろtalk-talk」では毎月1回、LGBTQに関する相談を受けている。

 LGBTに特化した相談機関でない場合は、かいつまんで話すことになるつもりで臨むのがいいかもしれない。現状では、自治体やさまざまなNPOがやっているセクシュアリティに特化していない電話相談では、相談員がどこまでセクシュアリティに関することに理解があるのかに、だいぶばらつきがある。よく支援団体は「なんでも話して大丈夫」というけれど、なにを話すかは相談するこちらが決めることであり、なんでも話さなきゃいけないわけでもない。

 たとえば「家族と折り合いが悪く、はやく一人暮らしを始めたいが、仕事がなくなってしまったので実家からも出られない」というトランスジェンダーの場合、トランスジェンダーに関する部分はとりあえず省き、家族関係や仕事に関する状況について部分的に相談してみる方法もある。話したい部分だけ、事前に紙に書いてみるのもいい。「あのこともそのことも話せなかった」と捉えるのでなく「この部分については話せた」「自分のために親切にできた」と捉えられるなら、試してみる価値はあると思う。

 これらの「相談する際のコツ」は、相談上手な友人が教えてくれたものだ。

 以前落ち込んだことがあったとき、その友人は「もう犬でも猫でも話を聞いてほしいぐらいだったら、それぐらいの期待値で電話相談をかけてみたら」とアドバイスをくれた。犬や猫をひきあいにされるなんて相談員が気の毒じゃないか、と思いつつ、表現があまりにユニークだったので、ちょっと笑ってしまった。

 本当だったら、もっと信頼できてセクシュアリティについても話せる相談機関がたくさんあったらいいけれど、現状では質には課題がある。でも課題があるからといって使えないわけではない。使えるものはトライしてみたい派の人は、よかったらご参考にどうぞ。

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