不妊に悩み、スピリチュアルで妊娠を「引き寄せ」ようとした女性の体験談

文=山田ノジル
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「GettyImages」より

 健康問題へ無責任なアドバイスをするスピリチュアル物件や過激な自然派などに、みずからがハマった体験を語っていただく「わたしがトンデモだったころ」シリーズ。これまで「沼入りのきっかけ」として、社会人生活につまづいたことや夫の死帝王切開や粉ミルク育児を責められて……などが語られてきましたが、第4弾となる今回は「不妊治療」からの沼体験談です。

 ご登場いただくのは、40代のクロミさん。当連載と同じく「子宮系女子」を観察しているマダムユキ氏のブログ「元信者の告発」にも、登場している女性です。クロミさんが不妊治療を始めたのは、2016年の秋。「出口のないトンネル」と表現されるような不安の中「とにかく何でも試した」と語ります。

クロミ:そのタイミングで、ちょうどハマっていたのがHappyちゃん。なので、「赤ちゃんを引き寄せよう」とか考え始めたんですよね。

「○月○日に赤ちゃんが来ます」

 引き寄せる? まだ存在していなのに、どこから? そう思う方はぜひ「引き寄せの法則」と検索してみてください。

 引き寄せの法則とは「思考を変えることで、現実を変える」と謳われる、自己啓発法。イメージすることで欲しいものを引き寄せる! 思考は実現化する! などと説明されることも多いため、「物が手に入る」「希望が叶う」といった即物的な御利益を期待する人が多い印象です。

 そしてHappy氏とは「引き寄せの法則で大成功した」という演出をしている、その界隈では有名な人物のこと。

クロミ:ネットでいろいろな情報を検索しているうちに、Happyちゃんのブログを発見したのがきっかけです。「簡単に意識を変える」「行動を変えるだけで世界が変わる」というのが、魅力的に感じられたんです。引き寄せの法則を実践するには、「自分が気持ちいいと思うことを選択する」というのが基本だと言います。たとえばコーヒーを飲みにいったとき、値段ではなく、自分が好きだと思うほうを注文するとかですね。それで気持ちよくなる→いい波動が出て引き寄せしやすくなるという仕組みです。Happyちゃんが広めるやり方はそのようにシンプルで簡単にできるので、取り入れやすかったです。彼女のブログには「実践していたら、こんなに大きなイベントができるようになりました!」とか「会いたい人に会えた!」とかが書いてあり、すごくキラキラして見え、引き寄せってすごいな~と思っていました。
*当時のブログは閉鎖。一時期改名したが、現在再び「Happy」と名乗っている。

 そんなHappy氏発の引き寄せの法則を、不妊治療にどうやって活かすのか? クロミさんはまず、肯定的な言葉で夢や願いを「断言」して宣言するという作法にのっとり「○月○日に赤ちゃんが来ます」などをノートにつづっていったそう。

クロミ:このときは本当に採卵でいい卵子がたくさん採れ、病院の看護師さんも「すごいねー! なかなかこんなにいい成果出ないよ!」と褒められました。ですから、引き寄せが叶った! と思ったんです。

 自分の体のコンディションや病院の技術ではなく、引き寄せのおかげになっているのが、わたくし的にちょっと(かなり?)モヤモヤさせられる……!

クロミ:不妊治療以外では「○月○日のライブのチケットでいい席が来ました!」とかも書いてましたね。これに関しては、当然ながら毎回良席があたるわけがありません。ですからいい席が来たときだけ、都合よく「引き寄せた!」と思い込んでました。いま冷静に考えたら、かなり頭沸いてます(笑)。

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