「10万円給付」と併せて知っておきたい返済不要の可能性もある「特例貸付」

文=川部紀子
【この記事のキーワード】
「10万円給付」と併せて知っておきたい返済不要の可能性もある「特例貸付」の画像1

生き延びるためのマネー/川部紀子

 ファイナンシャルプランナーで社会保険労務士の川部紀子です。4月20日、それまで二転三転を繰り返していた、新型コロナウィルスの感染拡大でダメージを受けた家計への給付内容が、「1人10万円給付」で閣議決定に至りました。

 「10万円では全く話にならない」という危機的な状況の家計もあることでしょう。そこで今回は、「1人10万円給付」の詳細と、さらなる助けとなる制度を紹介します。

政府の10万円給付、いつどうやって受け取る?

●給付内容

⇒国民全員に1人10万円給付

 国民の定義は2020年4月27日時点で住民票のある(住民基本台帳に記載されている)人です。外国人であっても住民票があれば対象ですし、日本人であっても住民票がない人は対象となりません。

●手続き

⇒郵便の返送、マイナンバーカードがあればオンラインも可

 住民票のある市区町村から世帯全員の氏名が記載された申請書が郵送されます。これは、1人1人宛てではなく、世帯主宛てになるようです。

 そこに振込希望の口座情報を記入し、通帳のコピー、申請者を確認できる運転免許証などとともに返送します。

 ICチップの情報を確認できるマイナンバーカードを発行済みであれば、「マイナポータル」というサイトでオンライン申請も可能です。

 手続き完了後に、世帯全員分の給付金がまとめて口座に振り込まれます。

 ※DVによる別居や離婚調停中などで世帯主に全員分振り込まれることが望ましくない場合の対応も検討されています。

●申請時期

⇒早くて5月だが、市区町村によって異なる

 市区町村の準備状況により異なります。

●締め切り

⇒受け付け開始から3カ月以内

 非常に重要な給付でありながら締め切りまでの期間が短いという声もあります。郵便を受け取ったらすぐに申請しましょう。

●受け取り拒否

⇒可能

 申請書の氏名の右に「希望しない」というチェック欄があるとのことです。チェックを入れて返送することで受け取らない選択も可能です。

特に困窮している世帯は特例貸付を利用して!

 続いて、1人10万円の給付では足りない! という方にとって助けになる制度の紹介です。

社会福祉協議会の特例貸付

●対象者

⇒新型コロナウイルスの影響で収入減少や失業等により生活に困窮し、日常生活の維持が困難となっている世帯

※2種類ある制度のうち、「総合支援資金」を利用する場合は、原則として、生活の立て直しに向けた自立相談支援機関による相談を受ける必要があります。

●貸付可能額

⇒「緊急小口資金」(一時的に必要な場合):10万円以内

  ※学校休業などの影響を受けた場合には 20 万円以内となる可能性がある)

 「総合支援資金」(生活立て直しの場合):原則3カ月以内の期間に対し、単身世帯は月15 万円以内、2人以上世帯は月20 万円以内

●利子

⇒無利子

●保証人

⇒不要

●返済期間

⇒「緊急小口資金」:2年以内(当初1年以内は利息返済だけで可の据置期間)

 「総合支援資金」:10 年以内(当初1年以内は利息返済だけで可の据置期間)

   ※据置期間が終了した後にそれぞれ2年、10年の償還期間となります。

●返済免除

⇒可能性あり

 償還時に、なお所得の減少が続く住民税非課税世帯に該当する場合、返済を免除することができるとされています。具体的な要件は、詳細決定後に「都道府県社会福祉協議会」のホームページで公表されるとのことです。

●手続きや必要書類

⇒本人確認書類、住民票、給料明細、通帳など

 手続き詳細は、都道府県の社会福祉協議会のホームページ、住民票のある市区町村の社会福祉協議会でご確認ください。

まとめ

 事態がさらに長引けば、家計へのダメージは大きくなります。家計の危機を自覚するタイミングは概して遅れる傾向があるので、手遅れになる前に、制度の活用を早めに考えることが有用です。そして、場合によっては働き方や生き方自体を変えることも考える必要があるかもしれません。

 でも、家計のお金は絶対に何とかなります。心が壊れてしまわないように踏ん張りましょう。

「「10万円給付」と併せて知っておきたい返済不要の可能性もある「特例貸付」」のページです。などの最新ニュースは現代を思案するWezzy(ウェジー)で。