新型コロナを生き延びる家計コントロール 削る支出・維持するもの

文=加谷珪一
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「GettyImages」より

 新型コロナウイルスの影響が深刻化していることから、経済的な不安を抱える人が増えている。今、差し迫った状況にある人だけでなく、現時点では大きな影響を受けていない人も、ボーナス減額などによって家計が苦しくなる可能性は高い。今のうちから支出の見直しを徹底しておく必要があるだろう。

場合によっては終息まで数年を要する可能性も

 政府は2020年4月7日、7都府県を対象に緊急事態宣言を発令し、16日にはこれを全国に拡大した。緊急事態宣言の期間はとりあえず5月6日までとなっているが、短期間で感染拡大を抑制できると主張する専門家は少なく、長期化はほぼ確実な状況となっている。

 外出の自粛要請が出ている東京などでは、すでに飲食店が大打撃を受けており、仕事を失った人も多い。このまま経済活動の縮小が続いた場合、コロナによって直接的に影響を受けない企業の業績も悪化してくるだろう。

 すでに打撃を受けている人はもちろんのこと、そうではない人も含めて、お金の面で不安を抱える人が増えているが、今後の家計の維持については、どのような点に注意すればよいのだろうか。

 今回の危機はウイルスによるものなので、感染から身を守るためには、可能な限り、家から外に出ないことが重要となる。政府が外出自粛要請をしているのはそのためだが、先ほど述べたように、今回の感染は長期化する可能性が高い。

 大正時代にはスペイン風邪という感染症が猛威を振るったが、当時は今よりも栄養事情が悪く公衆衛生や医療事情の違いもあるものの、流行のピークは3回もあり、完全に終息するまでに3年の期間を要している。人やモノの移動については今の方が激しく、感染防止に不向きであることを考え合わせると、コロナについても1年以上の長期戦を覚悟した方がよい。

 こうした事情を考えた場合、何としても優先すべきなのは、住む場所の確保と維持である。

 家賃の滞納や住宅ローンの延滞などによって、家を出なければならない事態に陥った場合、それだけで感染リスクを増大させてしまう。生活環境の大きな変化は、体への負担も大きいので、現状の住環境維持を最優先に考えるべきだろう。

ボーナス前提の支出計画は危ない

 家を借りている人は、この先、年収が減った場合でも家賃を滞納しないよう、支出の見直しを徹底しておく必要がある。もともと2020年3月期の業績は減益というところが多く、今年のボーナスは当初からあまり期待できない状況だった。

 コロナによる経済活動の縮小が長引けば、メーカーの生産調整も行われるので、あらゆる分野の業績が低迷してくる。公務員など給与の100%支払いが保証されている人以外は、今年のボーナスは削減されることを前提にした方がよい。特にボーナス満額支給を前提に支出計画を立てている人は要注意である。

 支出がメタボになっている元凶が、保険の過剰契約というケースも少なくない。特に医療保険については入り過ぎている家計が多いので、これを見直すことで毎月のキャッシュを多めに確保できる。

 日本は国民皆保険制度になっており、保険料の滞納さえなければ、原則3割の自己負担で病院を受診できる。しかも、がんや心臓病など重篤な病気の場合には、高額療養費制度があるので全額に近い金額が補助される。

 入院に際して必要となるのは、個室などを選択した場合の差額ベッド代や食費なので、ある程度のまとまった貯金があれば、医療保険に入っていなくても対応できる。どうしても個室に入りたいなど医療への要望が高い人以外は、過剰な医療保険に入るメリットは少ない。

 もっとも、保険の解約には本人確認書類の添付などが求められることもあり、場合によっては、役所などの混雑するところに出かける必要が出てしまう。今もっとも大事なのは感染を防ぐことなので、お金のために人が密集する場所に何度も出かけるのは本末転倒である。このあたりは状況を見て判断してほしい。

住宅ローンの延滞は何としても回避

 すでに仕事を失って経済的に逼迫しており、家賃の支払いに苦慮している人は、支援制度の利用を検討した方がよいだろう。政府は住宅確保給付金という制度を用意しており、都道府県を通じて困窮者に対する給付を行っている。

 この給付金を受け取るためには、仕事を失って、ハローワークに求職の申し込みをしていることなど、いくつかの条件を満たす必要があったが、政府は緊急事態宣言の発令を受けて給付条件を緩和した。感染の影響による休業で、著しく収入が減った人なども支援対象になる可能性がある。

 現実にはなかなか給付されないという問題もあるようでSNS上では批判の声もあるが、状況が切迫している人は自治体に問い合わせてみるとよいだろう。

 住宅ローンを組んでいる人は、優遇金利について注意する必要がある。住宅ローンの中には優遇金利が設定されているものがあり、一定期間、低い金利が適用されている。だが契約内容によっては、ローンを延滞すると優遇金利が消滅し、金利が大幅に上昇するケースがある。契約内容をもう一度、確認しておいた方がよい。

 金融機関も商売なので、ローンの契約者から相談された場合には、何らかの対応を行う可能性が高い。ローンの延滞を気にするレベルになった場合には、まずは金融機関と交渉することをお勧めする。

 先ほど、医療保険については見直しを検討するのもひとつの選択肢という話をしたが、生命保険は最後の砦なので、そうはいかない面もあるだろう。

 生命保険各社は、今回のコロナショックに対処するため、契約者から申し出があった場合、保険料の支払いを一定期間猶予する方針を示している。また、解約返戻金がある商品の場合、その範囲で貸付けをしてくるサービスも提供している。どうしても資金が工面できない場合には、こうした制度を利用するのもよい。

通信費など固定費の見直しを

 感染による影響が長期化する場合、固定費の削減という点では、通信費の見直しは意外と効果が高い。スマホの通信料金については、いわゆる格安SIMのサービスに変更することで、月々の利用料を大幅に削減できるケースがある。通信費の比率が高い世帯の場合、要検討である。

 また、携帯電話の通信会社各社は、コロナショックに際して、一定範囲までの通信料金繰り延べに対応している。すでに支払いに苦慮している人は、契約している会社の情報を確認した方がよいだろう。

 危機が長期化するということは、状況が良くなるという期待を持ちにくいということでもある。とりあえず当面の資金計画を見直し、住む家と現金を確保することが先決だが、2〜3年後の資金計画についても、見直しが必要となる世帯も多いはずだ。

 一部の業種では、業績の悪化から、希望退職や役職定年が強化されるとの観測も高まっている。今後は、段階的に年収が上がっていくことを前提にした人生設計はますます機能しなくなる。厳しい話だが、家計のスリム化をさらに進めなければ、コロナ後の時代を生き延びることは難しいだろう。

(文=加谷珪一)

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