岡村隆史「風俗楽しみ」で炎上 女の不倫や痴漢被害者への価値観と地続き?

文=エリザベス松本
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 ナインティナイン岡村隆史(49)のラジオでの失言が波紋を広げている。発端は4月23日放送『ナインティナイン岡村隆史のオールナイトニッポン(ANN)』(ニッポン放送)で、リスナーからメールで寄せられた「新型コロナウィルスの影響で、風俗店に行けない」という悩みに答えた岡村の言葉だ。岡村は次のように持論を語った。

「コロナが収束したら絶対面白いことあるんですよ」

「コロナ明けたらなかなかの可愛い人が、短期間ですけれども、美人さんがお嬢(性的サービスを提供する店員)やります。これなぜかと言えば、短時間でお金を稼がないと苦しいですから」

「3カ月の間、集中的に可愛い子がそういうところでパッと働きます。そしてパッとやめます。それなりの生活に戻ったら」

「(その日のために)頑張ってお金を貯めましょう。今、歯を食いしばって踏ん張りましょう」

 岡村とリスナーとの深夜の親密なやりとり。だが深夜ラジオも決してクローズドな場所と言えるものではない。この発言部分を書き起こしたsmartFLASHの記事が拡散するにつれ、岡村への批判の声も大きくなっていった。コロナ不況で女性たちが貧困に陥る結果として、性風俗で働く女性が一時的に増える(しかもセックスワークのプロではない素人、しかも可愛い)ことを予測し、それを「面白いことがある」と楽しみにして苦境を乗り切ろうという発想は、確かにゲスい。女性軽視というだけでなく、コロナの影響で経済的に困窮する層とそうではない層との決定的な分断、格差が表れた発言だ。

 「深夜ラジオでの発言に、目くじらたてなくても」「ただの軽口、そんなに責めるようなこと?」等、岡村を擁護する声も少なからずある。だが深夜ラジオでの放言に、責任が伴わないわけではない。現実に今、この文脈で発した言葉にうつる、岡村隆史というタレント・芸人の価値観が、社会倫理的に受け入れがたいものとして非難されているのだ。

 ニッポン放送は27日、『ANN』番組公式サイトで謝罪コメントを発表した。「4月23日『ナインティナイン岡村隆史のオールナイトニッポン』での発言について」と題したその内容は次のようなものである。

「4月23日(木)深夜に生放送の『ナインティナイン岡村隆史のオールナイトニッポン』において、パーソナリティの岡村隆史氏から、現在のコロナ禍に対する認識の不足による発言、また、女性の尊厳と職業への配慮に欠ける発言がございました」

「放送をお聴きになって不快に感じられた皆様、関係の皆様にお詫び申し上げます」

「弊社番組に関わる全ての制作スタッフには、迅速に、より一層の教育を図ってまいります」

 ここに発言した本人である岡村のコメントはないが、次回30日の放送で岡村自身が説明するという。局サイドも吉本興業も、これほどの騒動となってしまった以上、世論を看過できないと判断したのだろう。岡村が自らの口で語ることはごく当然と思われるし、必要である。

 28日にはこの件について五輪相も兼ねる橋本聖子男女共同参画担当相(55)もコメントを発表。橋本氏は、閣議後の定例会見で「すでに多くの方が批判されていますし、芸能人の方の発言1つ1つに、コメントを差し控えたい」と前置きした上で、「(今回の岡村の発言について)さまざまな思いがあると思う。そのような発言がなされないような、日ごろからの取り組みを、しっかりとやっていかないといけない」と意見を述べ、「政府としては、女性が貧困によって、望まぬ仕事に従事されることがないよう、関係者、関係省庁と連携し、女性の貧困対策に取り組んでいっているところです」と、現状の取り組みについても説明している。

男の不倫は良くて女の不倫はダメ?

 さて、30日の放送で岡村はなにを語るのか。ここまでの大騒動となってしまった以上、謝罪の言葉から始まりそうだが、しかし岡村は誰に何を「謝罪」すべきなのだろうか。お騒がせしたことを、世間に? 軽率な発言で迷惑をかけたスポンサーに? あるいはコロナ不況からすでに困窮している女性たちに? 

 橋本氏は「貧困によって、望まぬ仕事に従事する女性」に言及したが、岡村はそうした女性の行く先の一つが性風俗となっていることを認識した上で、風俗客としては楽しみだと述べた。だがこれは、富める者が持たざる者を搾取する構造そのものだ。また岡村の発言は、女性が貧困に陥ったときに福祉ではなく性サービス業にアクセスせざるを得ない社会システムのおかしさを隠蔽するものでもある。

 そうした批判を受けて岡村は、風俗嬢と客としての自分、さらに言えば女性と自分との関係性に否応でも目を向けざるを得なくなるかもしれない。「女性」という生き物も「男性」である自分と同じ「人間」だということを含め、認めなければならなくなるだろう。

 筆者はかねてから岡村の「不倫をめぐる男女観」が疑問だった。今年、東出昌大と唐田えりかの不倫報道で岡村は「こんなにアカンことやったっけね、不倫って」「夫婦のルールだけであって、周りのルールからの違反ではないじゃないですか><モテるのだからしょうがない」と東出を擁護していた(『ANN』でのコメント。以下同)。

 2017年、東出の義父である渡辺謙の不倫報道が出た際にも「ケン・ワタナベさんぐらいやったら、ええんちゃう?」「モテるから、しょうがない」と、これも擁護していた。「モテる男は、不倫しても、ええやん」というわけだ。

 だが、妻や母が不倫当事者となると話は別のようだ。たとえば、2013年の矢口真里のクローゼット不倫。この報道を受けて岡村は、自分が夫の立場であったなら……を想像し、「俺はすぐにゲー吐くわ」とこれ以上ないストレートな言葉で不快感をあらわにしていた。

 2019年に発覚した後藤真希の不倫についても番組内で辛辣な言葉を残している。元カレとの不倫が発覚した後藤は、その後夫と話し合い、離婚はしないとの結論を発表した。これに対し岡村は、妻が浮気をした場合は「許してはいけない」と断言している。その持論はこうである。「そんなん許したらアカン。絶対またやりよるから、許さんほうがええ」「嫁が違う人とってなったら、無理かな」。

 しかし東出も渡辺謙も、子どもがいる父親である。父親は妻以外の女性と寝ても良いが、母親・妻の場合は「許してはいけない」というのが、岡村の考えのようだ。

 さらに遡って2014年の『ANN』での一幕を紹介する。当時、FIFAワールドカップ2014ブラジル大会の盛り上がりで、渋谷スクランブル交差点がごった返し、痴漢が発生して問題となっていた。岡村は痴漢を「何してんねん」と断罪しつつ、痴漢被害を訴えた女性に対しても「そんなとこに行くからやんけ」と責めた。そして「時効ですけど」と前置きし、自身の痴漢エピソードを話した。

 子供時代のことではあるが、岡村は「流れるプール」が流行った時期、波に合わせて「ものすごく痴漢しましたからね」と振り返っていた。もちろん「痴漢は完全なる犯罪行為」「反省してます」「大人になってからはしてませんからね」とのことだったが、彼としては人が大勢集まる場所で痴漢が発生するのは不可抗力なものであり、そんな危険な場所へわざわざ行く女性も悪いということだった。

 こうした風俗、不倫、痴漢に関するコメントからは、岡村の男女観や性の捉え方が一貫していることがわかる。そしてこれまで、そういった価値観はこの社会において一般的であり、特に違和感を追及されることもなかった。だが、今は違う。サイレントマジョリティだった人たちも声を上げている。痴漢やレイプは「される方にも問題がある」などと言えば、それはセカンドレイプだと周知されてきてもいる。

 だからこそ岡村は今、自身の発言への説明責任を求められている。形だけの謝罪などせず、自分の言葉で発言の趣旨を説明してほしいものだ。もし彼が「世間のバッシングは納得いかない、俺の持論は間違っていない」と考えるなら、火消しのための謝罪なんて、してほしくはないと思うのである。

(エリザベス松本)

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