全米でアジア系への憎悪広がる「アメリカに新型コロナウイルスを持ち込んだ奴ら」

文=堂本かおる
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「GettyImages」より

 全米各地でアジア系へのヘイト・クライムが吹き荒れている。「中国人がアメリカに新型コロナウイルスを持ち込んだ」として憎悪の対象になっているのだ。

 「中国に帰れ!」「ファッキン・チャイニーズ!」といった罵詈雑言を浴びせられたケース、建物の壁にそうした言葉を書き殴られたケース、同内容をチラシにしてばら撒かれたケース、さらに殴る蹴るといった暴行を加えられ、負傷したケースもある。

 ウイルスは中国の武漢から拡散したとして中国人、中国系アメリカ人が対象となっているが、外観で見分けがつくはずは無く、韓国系、日系、フィリピン系など、どのアジア系も等しく被害を受けている。

 3月末の時点でFBIはアジア系へのヘイト・クライム増加の警告を発している。 4月には3人のアジア系上院議員、カマラ・ハリス(両親がインドとジャマイカからの移民)、タミー・ダックワース(タイ出身)、メイジー・ヒロノ(日本出身)が、アジア系アメリカ人とアジア移民への差別を非難する決議を出している。

 以下、アメリカで感染が広がった今年2月から4月にかけて起こったアジア系への憎悪犯罪の、ごく一部を列挙する。

出身国・性別・年齢・職業を問わず、誰もが差別の対象に

■テキサス州ミッドランド:

スーパーマーケットにてミャンマー系の親子(父親、2歳と6歳の子供)が、男性(19)に刃物で刺される。店員が自ら刺されながらも格闘し、犯人を取り押さえる。犯人は一家を「中国人」「コロナウイルスで他人を感染させている」と思ったと自供。殺人未遂で起訴、憎悪罪も加えられる予定。親子のケガの程度は未詳。

■ウィスコンシン州ミルウォーキー:

アジア系の男性がバスの中で2回クシャミをしたところ、複数の乗客が「バスから追い出せ」「病気になりたくない」と騒ぎ、運転手が男性に下車するよう依頼。男性が下車を拒否すると、乗客たちが下車。

■カリフォルニア州ダリーシティ:

アジア系の男性が量販店での買い物中に咳をし、他の男性客から罵られる。2人は口論となり、罵った男性客はジャケットを脱いで殴り合いの体勢となるが、連れ合いや店員に止められる。

■ニューヨーク州マンハッタン:

韓国からの留学生の女性(23)が、通りすがりの女性(おそらく20代)に「なぜコロナ・マスクを着けてない?」「エイジアン・ビッチ!」と叫ばれ、顎を殴られる。留学生は負傷により病院へ。

■ジョージア州アトランタ:

市内の複数のビルの外壁に “くまのプーさん” が箸でコウモリを食べる図柄に「武漢の伝染病」と書かれたプラーク(飾り版)が貼り付けられる。コロナ拡散の初期、アジア系の女性がコウモリ・スープのコウモリを箸で食べるシーンの映像が出回り、これがコロナの発生源との噂が起こった。のちに2016年にパラオで撮影されたものの転用と判明したが、プラークはこの映像に “くまのプーさん”と呼ばれる習近平国家主席を掛け合わせている。

■ニューヨーク州マンハッタン:

日本人女性がスーパーマーケットに行く際、すれ違った小中学生のグループが「コロナ!コロナ!」と囃し立て、咳き込むマネをする。

■カリフォルニア州オレンジ・カウンティ:

複数のアジア系の家庭の玄関ドアに「お前らのせいで私は病気になる」「我々から離れろ」「中国に帰れ!」などと書かれたチラシが挟まれる。

■ワシントン州シアトル:

白人至上主義団体が「Better Dead Than Red」(共産主義になるくらいなら(コロナで)死ぬほうがマシだ)と書かれたステッカーをチャイナタウンの複数の店舗に貼る。2月、シアトルにある老人ホームにて大量の感染と死亡が起こり、以後、全米規模のパンデミックが起こった。

■マサチューセッツ州ニュートン:

高校の中国語の授業がリモート・スタディにて行われている最中に Zoom bombing が起こる。Zoom bombing とは、Zoomによる会議などにハッカーが乱入し、不快なメッセージや映像を流すことを指す。生徒たちは3分間にわたって「ヘイトに満ちた醜悪な画像とスピーチ」を見せられた。

■コネチカット州セイモア:

中華レストランが「コロナ・パンデミックはお前たちのせい」「銃を持って店に行き、撃ちまくって店を潰してやる」などの脅迫電話を複数回受ける。

■インディアナ州マーティンスヴィル:

韓国系の男性(医師)がガソリン・スタンドの店員に立ち入りを阻まれ、「二度と戻ってくるな!」と言われる。

■ニューヨーク州ブロンクス:

4人の少女(15)が、市バスで乗り合わせたアジア系の女性(51)に人種侮蔑語を投げ掛け、傘で女性の頭部を殴る。女性は額を縫うケガ。少女たちのうち3人は逮捕。

■ニューヨーク州ブルックリン:

アジア系の男性(26)が地下鉄で男性(19)に唾を吐きかけられ、「お前らファッキン・チャイニーズがコロナを撒き散らしている!」などと叫ばれる。

■カリフォルニア州ロサンジェルス:

CNNのリポーターで韓国系のキョング・ラーが街頭でリポートの準備をしていたところ、男性が近寄り、人種侮蔑語を投げ掛ける。ラーは「あの様な言葉を面と向かって言われたのは、おそらく小学生の時以来」とコメント。

■ニューヨーク州マンハッタン:

ニューヨーカー誌のライター、ジャイヤン・ファンが携帯電話で中国語で話しながら自宅アパート前でゴミ出しをしている際、通行人の男性から「ファッキン・チャイニーズ!」「あぁ、お前のことだ、チャイニーズ・ビッチ!」と叫ばれる。

■ニューヨーク州マンハッタン:

夕刻にアジア系の女性(34)が歩いていたところ、別の女性(33)が近づいて顔に唾を吐きかけ、「ウイルスを広げた」と非難。被害者が歩き去ろうとすると髪を掴み、引き抜く。居合わせた交通警官によって逮捕され、暴行罪と憎悪罪で起訴。

■ニューヨーク州マンハッタン:

アジア系の男性(59)が道を歩いていたところ、少年(13)が背後からアジア系への侮蔑語を投げ付け、男性を蹴り倒す。少年は憎悪罪暴行などで逮捕。

■イリノイ州ネイパーヴィル:

中国系の男性(60)がジョギング中、女性2人が「お前は病気だ」「中国に帰れ」などと言い、唾を吐きかけ、木の枝を投げ付けて逃走。女性2人の姿は監視カメラに捉えられており、通告者に1,000ドルの報奨金が出される。男性の娘と、その夫(韓国系)は共にニューヨーク市で医師としてコロナ医療最前線に勤務。

■コロラド州ルイスヴィル:

酒屋が店外の広告板に「ファイアーストーン $14.88 ありがとうよ、中国」のメッセージを出す。ビールの値段のように見せかけているが、「14/88」は白人至上主義とヒットラー崇拝を示す暗号。

■カリフォルニア州ロサンジェルス:

アジア系の男子中学生が他の生徒たちから「虐めと暴行」を受け、病院のERへ搬送される。

■カリフォルニア州オレンジ・カウンティ:

高校の文化祭にて女生徒2人がアジア人のモノマネをし、「コロナウイルス!」と叫ぶなどしてベトナム系の女生徒に嫌がらせをするシーンを自ら撮影し、YouTubeにアップ。2人の退学を求める署名運動が起こり、4万筆以上が集まる。

■ヴァージニア州:

ヴァージニア大学構内にて、中国からの女子留学生が走行中の車の窓から卵を投げ付けられる。

■カリフォルニア州フレズノ:

アジア系の男性の車に「ファック、エイジアン・アンド・コロナウイルス」などの落書きがなされる。車は男性の娘が子供の送り迎えに使っており、子供への説明に苦慮。「エイジアン」「コロナウイルス」の綴りは共に間違えている。

■インディアナ州プリマス:

モン族の男性2人(叔父と甥)がホテルの宿泊カウンターで「中国から来たのか?」「中国からの客は隔離させろと言われている」と告げられる。2人は他のホテルへ向かうが、そこでも「アジア系の客は宿泊させないように言われている」と告げられる。

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