山梨帰省コロナ感染女性の本名・勤務先デマ拡散が止まらない! 「逮捕すべき」私刑が横行

文=wezzy編集部
【この記事のキーワード】
山梨帰省コロナ感染女性の本名・勤務先デマ拡散が止まらない! 「逮捕すべき」私刑が横行の画像1

「GettyImages」より

 新型コロナウイルスの自覚症状がありながら山梨県に帰省した女性へのネットバッシングが過熱している。

 山梨県が女性の感染後の行動を公表したのは5月2日。女性は4月下旬ごろに味覚障害を感じていたものの、実家のある山梨県に帰省し、友人とバーベキューやゴルフをし、整骨院を訪れたという。その後、5月1日にPCR検査を受け、陽性であることが判明。自宅待機を要請されたが、女性は高速バスで東京に戻っていた。

 女性の行動を複数のワイドショーやネットニュースが取り上げると、「逮捕すべき」「テロリストだ」などとして、女性の身元を特定しようとする“私刑”が加速。ネット上では、女性のものとされる名前や顔写真、勤め先、Twitterアカウントなどが出回っており、そうした情報をまとめた「トレンドブログ」も目立つ。

 しかし現状、出回っている情報に確証があるわけではなく、デマが拡散している状況だ。5月4日、女性の勤め先だとして誹謗中傷を受けていた紅茶専門店マリアージュ・フレールはホームページ上に「SNS等における事実無根の情報について」を掲載。関係者に新型コロナの感染者はおらず、風評被害に関しては法的処置も視野に厳正に対応していくと表明した。

 そもそもこの女性の行動にいくら問題があったとて、ネットリンチを正当化する理由には決してならないはずだ。だがSNSでは感染女性への誹謗中傷を当然の社会的制裁だとみなした書き込みも多く、「晒し上げて見せしめにする必要性」を説く声も少なくない。山梨県は、女性の個人情報を特定しようと真偽不明の情報を流すことは「重大な人権侵害」にあたるとし、警察や弁護士と協力し保護対策に着手すると発表している。

あおり運転加害者のデマ拡散で訴訟に

 2019年は「あおり運転」が一つの社会問題として頻繁に報道されたが、8月に常磐自動車道で発生したあおり運転の加害者に対する“ネット私刑”は特に目立った。

 この事件は被害者のドライブレコーダーに、加害者の男が被害者の顔面を殴るなどの行為が記録されており、ワイドショーでは連日その映像を放送。同時にネット上では、加害者の男や同伴者であるガラケーを持った女の個人情報だという名前や住所、電話番号、Instagramアカウント、会社名などが流れた。

 しかし、「ガラケー女の個人情報」としてあたかも事実のように拡散された情報は、まったくの別人のものだった。デマを流された女性は、情報を拡散した人々に対して民事告訴、名誉棄損による刑事告訴を検討。昨年10月の段階で、トレンドブログの運営者やデマを積極的に流した7人との和解が成立したようだ。だが会見では、一度ネット上に出てしまった自分の写真や情報は消えることがなく、「精神的なところで正常には戻れていない」と悲痛な思いを明かしていた。

 徹底的に攻撃しても良い“誰か”を設定し、偽の情報を流布させてひたすら叩く行為は、鬱屈とした日常生活の中でとても快楽的かもしれない。しかしそのお祭り騒ぎはこの社会に何も良い影響をもたらさないだろう。新型コロナに関していえば、感染者が行動を正直に言いづらくなったり、感染の可能性があってもそれを隠したりといった負の影響が考えられる。

「山梨帰省コロナ感染女性の本名・勤務先デマ拡散が止まらない! 「逮捕すべき」私刑が横行」のページです。などの最新ニュースは現代を思案するWezzy(ウェジー)で。