閉園中の植物園にレインボー花壇が咲き乱れている理由

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トランス男子のフェミな日常/遠藤まめた

 この週末で、1990年5月17日に世界保健機関が同性愛を精神疾患のリストから除外してちょうど30年になる。毎年5月17日は、LGBT嫌悪に反対する国際デーとして世界的に知られ、日本でも「多様な性にYESの日」として全国各地でご当地ローカルアクションが行われるようになった。

 私が代表を務める「やっぱ愛ダホ!Idaho-net.」では、2007年からこの日にあわせて全国各地から「多様な性にYESのひとことメッセージ」を募集し、集まったメッセージを読み上げる街頭アクションなどを全国に呼びかけている。

 今年は新型コロナウイルス流行のため、アクションの呼びかけは行っていないが、それでも各地で創意工夫し、自分たちのやり方で発信している人たちがいる。東京都江戸川区では、東京スカイツリー、東京タワーについで「東京第三のタワー」と呼ばれるタワーホール船堀が5月17日から23日の夜間、虹色にライトアップされることになった。青森、横須賀などではライブ配信などを企画している団体もある。

 わざわい転じて福となったのは、福岡市植物園のレインボー花壇だ。2018年から福岡市植物園では5月17日にあわせて、マリーゴールドやパセリなど6色の植物を並べたレインボー花壇を作り、メッセージ展やレインボー万華鏡を作るワークショップなども地元の団体「FRENS」の企画で行われてきた。今年は植物園自体が「閉園中」なのだが、植物は人間の事情など知らず、レインボー花壇では花がきれいに咲き乱れている。

 3年目にして今年がもっともきれいで、あまりにもったいないということで、植物園の協力もあり、急遽「ZOOM」の背景画像として使用できるようオンラインで配布することになった。これまで福岡市植物園のレインボー花壇はメディアから注目されることがなかったのだが、オンラインで画像が拡散されはじめたことにより、新聞社から地元の団体へも取材がはいった。

 自宅にいるのに飽きてうんざりしている人も、気分を変えたい人も、お花をめでたい人も、LGBTQに興味がある人も、よかったらぜひ福岡市植物園のレインボー花壇を見てほしい。気に入っていただけたら、オンライン会議の背景にもぜひ。

LGBTコミュニティの過去から未来へ

 30年前、同性愛は精神疾患とみなされ、同性どうしで結婚できる国は世界中のどこにもなかった。同性愛者だけではない。トランスジェンダーの置かれた状況も、今よりもずっと厳しいものだったろう。活動の中で、私は小学校低学年のトランスジェンダーの子どもたちと接することがある。いまでも迫害やいじめはあるが、味方をしてくれる人は以前よりも見つけやすくなった。

 2020年のLGBTQをとりまく世界は称賛するほど素晴らしいものでもないし、むしろロクでもないことも山ほどあるのだけれど、それでも地元民が慣れ親しんだタワーや植物園が虹色に染まるなんて、少なくとも10年前には想像できなかったことだった。3年、5年という単位でも意外な光景を見ることができるのだから、長生きしてみるのはいいかもしれないと、高齢者でもないのに思ってしまう。

 2007年から「多様な性にYESの日」をはじめて、活動を通じて出会った人たちの中には残念ながらもうこの世にはいない人たちもいる。自死や病気、事故、理由はさまざまなのだけれど「あとちょっとでも長く生きていたらこのニュースを一緒に見れたのにな」とか「あの人はパートナーシップ登録制度は使っただろうか」とか思うことがある。次の30年、たとえ良いことばかりじゃなかったとしても、30年後も今みたいに弱音をはいたり文句を言ったりする仲間たちが元気でいたらいいな、と思っている。

 そんなわけで、今年も多様な性にYES。

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