米倉涼子『ドクターX』卒業? オスカーからの独立で進む道とは

文= エリザベス松本
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GettyImagesより

 女優の米倉涼子が代表作である『ドクターX〜外科医・大門未知子〜』(テレビ朝日系)の次回シリーズの降板を申し出た、と5月26日発売の「女性自身」(光文社)が報じている。

 テレビ朝日は今年の10月期に『ドクターX』の新シリーズの制作を予定していたというが、4月の米倉の降板申し出を受けて、新シリーズの放送を断念。広瀬アリス(25)と木村文乃(32)がメインの新たなドラマを企画している、と同誌は伝えている。

 孤高の天才フリーランス外科医といういかにもかっこいい主人公と、彼女による「私、失敗しないので」の決め台詞。『ドクターX』は2012年にシーズン1が放送されるやいなや、瞬く間に人気ドラマとなった。だが、大ヒットとなったにも関わらず、大門美知子を演じる主演の米倉が続編の出演に「特定の色がつく」と早くから難色を示していたのは有名な話だ。

 老若男女幅広い層にウケるコンテンツは、ドラマ低迷期といわれる中で大変貴重である。局サイドが続編制作をそう簡単にあきらめるはずはなく、しぶる米倉を説得させるために彼女のギャラがどんどん高額に……といった内容の週刊誌記事も、何度も繰り返し書かれてきた。

 2019年秋、令和になってから放送されたシーズン6での米倉の出演料は1話800万円だと噂された。1シリーズでの金額はなく、1話で800万円だ。それが事実とすると、1シリーズで米倉に支払われるギャラは1億円だ。ドラマの制作費自体もシリーズを重ねるごとに高騰し、米倉以外の出演者たちのギャラも大幅にアップ。ドラマや映画の制作費は削れるだけ削れが合言葉のようになっている昨今の日本のドラマ界の中で、まさに『ドクターX』だけは、ギャラも制作費もまるでバブル時代のような華やかさだったというわけだ。その甲斐あってか、シーズン6も平均視聴率18%超えを記録するなど、視聴者から変わらぬ熱い支持を得ている。

 ところが、今年の3月24日をもって、米倉は1992年から27年間にわたって所属していた大手芸能プロダクション・オスカープロモーションを退社した。同時期にオスカーを辞める女優が相次いでおり、退社理由については社長交代が原因ともっぱらだが、ともあれ米倉は独立したわけである。大手事務所を退社して個人事務所を設立、セルフマネジメントで仕事を続けていくスタイルを取る俳優は増えつつあり、柴咲コウや満島ひかり、小泉今日子もそうだ。米倉も同様に、自分の人生の舵を取ろうとしていても何ら不思議はない。

 「女性自身」は米倉が今年も10月からの放送を予定していた『ドクターX』の出演を断ったのは、今後彼女が舞台に注力したいと考えているからだ、としている。米倉は2012年に米・ニューヨークでミュージカル『CHICAGO』にロキシー役で出演。2017年、19年と3度同じ役でブロードウェイの舞台に立っている。

 昨年の同舞台の初日インタビューでは「『CHICAGO』とずっと関わっていたい。(ロキシー役を演じるようになって)気がついたら10年以上が経っているが、それだけの歳月を使って役を深く知ることができ、演じることが楽しくなってきている」「私にとって『CHICAGO』はミュージカルの中で一番好きな作品であり、夢でもあり、今日は舞台に立てて本当に嬉しい」とミュージカルの舞台に立てる喜びを素直に語っていた。

 米倉が演劇の本場であるブロードウェイの舞台を踏めたのは「大手事務所であるオスカープロモーションという後ろ盾があったからこそ」という意地悪な見方もネット上では根強いし、筆者も芸能事務所のパワーバランスがキャスティングに影響しないわけないことくらい知っている。だが、いまの米倉はおそらく『CHICAGO』やブロードウェイだけにこだわっているわけでもないのではないだろうか。舞台が、ミュージカルが好きで、ドラマ出演を減らしてでも、今後はそこに取り組んでいきたいと考えているのかもしれない。

 ただ、ミュージカルを含む<演劇>の状況が、このコロナ禍で危機に陥っているのは周知の事実だ。3月頃からほとんどの舞台演劇は公演中止となっている。5月22日には日本劇作家協会会長で女優の渡辺えりらが、東京・衆院議員会館に出向き、文化芸術復興のための支援を関係省庁に要望した。新型コロナウイルス感染拡大の影響で苦境に立つ、演劇、ライブハウス・クラブ、映画の3分野の団体が連携し、「文化芸術復興基金」の創設などを広く呼び掛けているのだ。同日、渡辺は女優、プロデューサーの小泉今日子とともに、文化芸術復興基金の早期創設を目指すプロジェクト「#WeNeedCulture」のオンラインイベントに生出演。コロナ禍で閉鎖を余儀なくされて苦境に立たされている演劇、映画館(ミニシアター)、ライブハウス・クラブへの支援を訴えた。

 日本では緊急事態宣言が解除されたとはいえ、これからの生活様式は「密」を避けることが前提。舞台上は、客席は「密」を避けられるのか? たとえば現在すでにチケットを販売し終わっており、その公演が満席となっている場合、どうやって間引くことになるのか、非常に難しいところだろう。課題は山積みだ。

 それでも米倉涼子が舞台に挑戦するのであれば、筆者は勇気をもって新しい選択をしようとしている米倉の決断を、心から応援したい。

(エリザベス松本)

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