『報ステ』富川悠太アナ復帰で“リポーター降格処分”はおかしい。感染拡大を招く「働かせ方」問題

文=wezzy編集部
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テレビ朝日ホームページより

 6月4日より、『報道ステーション』(テレビ朝日系)のスタジオに富川悠太アナウンサーが復帰する。以前は月〜木のメインキャスターだったが、当面は木・金曜日のみメインキャスターを担当し、他の日はフィールドキャスターとして現場取材を行うという。

 富川悠太アナは新型コロナウイルス陽性が分かり、4月13日から『報道ステーション』出演を見合わせ入院。同月21日には退院、自宅療養に入っていた。だが感染公表の直後から、富川アナへの壮絶なバッシングが始まった。ネット上では人格を否定するような投稿が相次ぎ、降板を求める声も小さくはなかった。

 体調不良を感じていたにも関わらず、番組出演を続けていた富川アナ。4月3〜4日にかけて発熱していたが、その後は熱が下がったため、痰や息切れなどの症状を感じつつも9日まで番組に出演していたという。富川アナは「すぐに平熱になったことから、発熱を軽視してしまい、上司や会社に的確に報告せず、出演を続けたことを深く反省しています」と謝罪。だが、このことが熾烈なバッシングをする側にとっての“正当な理由”になっている。

 5月には「週刊文春」(文藝春秋)が富川アナの妻によるDV疑惑を報じたが、その記事も“富川叩き”を増幅させる作用があったと言える。記事の内容は妻が子どもを日常的に大声で叱責し、児童相談所の職員や警察官が自宅に駆けつけたことがあるというもの。富川アナも妻から痛罵されているそうだが、<「どこまで頭悪いんだよ!」報ステ富川悠太アナ コロナ療養の自宅に警察・児相が緊急出動>という見出しはまるで富川アナが虐待をしているかのような誤解を与えた。

 しかし富川アナが体調不良を押して番組出演を続けた背景には、「少しの不調で休むわけにいかない」というテレビマンの意識や職場環境もあっただろう。他のスタッフも同様の状況だったがために、番組関係者の間で感染が広がったのではないか。富川アナを“取材リポーターに降格”と揶揄する向きもあるが、テレ朝側がいち社員に責任を押し付け、降格処分を下すような動きが本当にあるとすれば、甚だおかしなことだ。

 テレビ朝日は5月28日に「出演者の体調把握に至らない点があった。視聴者、関係者の皆さまにおわび申し上げます」とコメントを発表している。しかし、単なる謝罪に終始するのではなく、「自社の従業員の働かせ方に問題はなかったか」という問題について徹底的に検証し、その結果を公表する必要があるだろう。

 これはテレビ業界だけでなく、日本社会全体の問題だ。たとえ体調不良を感じていても「休めない」から、解熱剤で無理やり熱を下げて出社し、なんでもないように装って働く。“風邪でも休めないあなたへ”という売り文句で、風邪薬が売られている。多少の体調不良で仕事を休んではいけない、という思い込みが広く蔓延してきたのだ。

 特に非正規労働者のような雇用に不安を抱える人たちは、より強く「多少の体調不良では休めない」という思いをもっている。しかも、それで病状が悪化しても誰も責任など取ってはくれない。

 緊急事態宣言は解除されたが、「withコロナ」の生活は今後も長く続くことが予想される。そうである以上、人々が健康や生活を犠牲にせずとも成立するよう、社会の側が変化していかなければならないだろう。

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