合計特殊出生率、またも減少。少子化の時代に小児科クリニックを開業した理由

文=森戸やすみ
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GettyImagesより

 新型コロナウイルスによる緊急事態宣言が解除されましたね。39県では5月14日、東京や大阪などでは同月25日に発表されました。東京はだいぶ人通りが戻ってきたようにも見えますが、電車に乗るとまだまだいつもどおりではありません。お店も時間を短縮して営業していますね。

 そんななか、私は小児科クリニックを開業しました。

 今年の3月ころから、「医療機関にかかって新型コロナウイルスをもらいたくないから」という理由で、診療を控える人が増えました。特に患者さんが減少した診療科は、小児科と整形外科、消化器内科です。知り合いや大学の同期の医師に尋ねたところ、3分の1から5分の1に患者さんが減ったという医療機関もあります。「3月はそのくらい減ったけど、さらに4月がどうだったかは怖くて数えられない」という人もいました。そろそろ引退しようかと思っていた医師は、この機会に辞めているという話も聞きます。

 また先日発表された、2019年の日本の合計特殊出生率は4年連続で減少の1.36でした。合計特殊出生率とは、女性が一生のうちにが産む子どもの数ですが、人口維持には2.07必要です。第2次ベビーブームの1971〜1974年に生まれた人たちが、子どもを持つ年齢を過ぎつつあります。1971年の2.16から減少の一途をたどっているので、日本の人口は移民を受け入れないかぎり増えないでしょう。

小児科医にとって理想の状態

 合計特殊出生率の低下は経済的な理由、子育てを支える支援の少なさ、価値観の変化などいろいろな原因があり、政府の対策はうまくいっていません。つまり日本は少子化で出生率の効果的な上昇も見込めない今、患者さんになる人の総数が減る一方なので、新規に小児科クリニックを始めるのは逆風時代中のバッドタイミングかもしれません。

 幸い6月1日からのスタートだったので、東京の登園・登校が再開され始め、開店休業状態ではなかったです。でも、もともと小児科は、日常診療の中で感染症の占める割合が多いんです。家にいるように努め、家族以外の人と接触がなかったので、風邪をひいて受診する子はぜんぜんいません。病気をもらい合うことがないからですね。外来に来るのは予防接種の子が半分で、あとは乳幼児健診やちょっとした心配事、相談が占めています。

 実は、小児科医にとってこれは歓迎すべきことです。

 よく目にする陰謀論で、「ワクチンには、本当は効果がなく、医者と製薬会社がお金儲けのために勧めるもの」というのがあります。先日、ある助産師さんから、こんなことをいう保護者がいたと聞きました。

「厚生労働省もWHOもワクチンには効果がないって言っているのを知らないんですか? 自分は予防接種について完全に理解しているので、これ以上説明してもらう必要はありません」

 その助産師さんは、まるでパラレルワールドのようでしたと唖然としてしまいました。もちろん、厚生労働省もWHOもワクチンには効果があると言っています。

厚生労働省 予防接種情報 
World Health Organization Vaccines 

 その保護者が見聞きする世界には、別の事実があるのかもしれません。実際には医師や製薬会社は、ワクチンで感染症をおさえるよりも流行したほうが診療報酬が見込めるのです。ワクチンは1回から数回の受診で済み、費用は決まっていますが、ワクチンがあるような重い病気になって合併症を起こしたり後遺症を残したりすると何度も通院し、いろいろな薬剤や機械を使い、医療費がとてもかかるからです。

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