吉川晃司の渋すぎる魅力! 地上波初主演連ドラ『探偵・由利麟太郎』に期待

文=エリザベス松本
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ドラマ『探偵・由利麟太郎』公式HPより

 歌手の吉川晃司(54)が地上波連続ドラマに初主演する。6月16日、午後九時からスタートする横溝正史原作の『探偵・由利麟太郎』(カンテレ・フジテレビ系)だ。吉川が演じる由利麟太郎は元警視庁捜査一課長で、犯罪心理学者でもある頭脳明晰な探偵。横溝正史作品で探偵ものといえばどうしても金田一耕助を連想するが、どうやら由利は金田一とはまったく違うキャラクターのようである。原作の設定も「白髪の紳士」であるというから、まさに吉川はぴったりのキャスティングだと言えるだろう。由利の助手役でミステリー作家志望の青年・三津木俊助役で志尊淳(25)も出演。全5回で、撮影は3月にすでにすべて撮り終わっているため、中断もなく最後まで連続して楽しめる、コロナ禍で貴重な新作ドラマだ。視聴者からの注目度も高そうである。

 2015年放送の連続ドラマ『下町ロケット』(TBS系)で財前道生役を好演し、一躍<俳優>としても注目された吉川。『下町ロケット』放送当時は、吉川の演技を見て「吉川晃司って意外と演技も上手いんだ」という声がネット上には多く見られたのだが、アラフィフである筆者からすれば「だって、『すかんぴんウォーク』よ? いきなり映画主演をやってのけたあの吉川晃司よ? どんな役だって、そりゃこなすでしょう」との思いが強い。

 『すかんぴんウォーク』とは、1984年2月11日に公開された映画のタイトル。当時渡辺プロダクションの新人歌手であった吉川晃司を売り出すために制作された作品で、吉川は映画の主題歌となった『モニカ』を歌唱、この曲の大ヒットでデビューしてすぐに音楽番組の常連となる大スターとなった。『すかんぴんウォーク』はヒットし、『ユー・ガッタ・チャンス』(1985年)『テイク・イット・イージー』(1986年)と吉川主演での続編が制作されている。ちなみにもはや死語かと思われるので一応説明を。映画タイトルとなっている「すかんぴん」とは「お金がない」「一文無し」という意味である。漢字では「素寒貧」だ。

 まだ無名の新人であるにも関わらず、いきなりの映画主演。筆者がまだうら若き乙女だった頃、クラスメイトと回し読みしていた女子高生のバイブル雑誌「Seventeen」(集英社)でも、吉川にはページ数が割かれていた。確かシンデレラボーイ的な扱いで掲載されていたように思う。

 同じころ、爆発的な人気アイドルとして女子中高生の心をわしづかみにしていたのはチェッカーズだ。ボーカルの藤井フミヤの抜群にアイドルっぽいルックスと甘い声、チェックの服を着て覚えやすい振付で歌い踊るキャッチーさ。でもふとした瞬間に見える、どこか不良の匂い。まさに乙女が「キャーキャー」と黄色い声援をあげたくなるのにぴったりな存在だった。

 対して吉川晃司は、アイドルと呼んでいいのかどうか、と惑わせる雰囲気を当初から身にまとっていたように思う。ジャニーズタレント的な「可愛さ」や「愛嬌」が、男性アイドルに求められる時代において、塩顔で切れ長の目をした吉川のルックスは鋭く、漢字で表現するならばまさに「硬」のイメージ。水球で鍛えられた分厚い胸板と広い肩幅も、少女たちにはまだちょっと生々しく男っぽすぎた。

 吉川が期待の新星として雑誌に取り上げられ始めた当初は、「アイドル?」と微妙な反応も多かった。だが『モニカ』を引っさげて歌番組に吉川が出演した瞬間に、すべては変わったように思う。広い肩幅と長い足はまさにスーツを着るために生まれてきたようだった。あの当時の吉川のステージ衣装にスーツをセレクトしたスタイリストの英断を、筆者はいま心から讃えたい気持ちだ。吉川晃司は『モニカ』を歌うことで、いままでいなかった新しい男性アイドル誕生の瞬間を多くに人の目に焼き付けたのだ。

 デビュー作である『すかんぴんウォーク』での吉川の演技の感想はと問われると、正直「セリフ、棒読みだったな」が一番にはくる。だが、スクリーン映えする非常に魅力的な人物であることは誰の目にも疑いようはなかったと記憶している。吉川自身も当時から演技することを嫌っていなかったのだろうということは、その後に『ユー・ガッタ・チャンス』『テイク・イット・イージー』という続編に主演していることでも推測できる。だが、その後は本業である歌に専念し、いつしか映画で俳優として主演を務めていた吉川のことを忘れていたのだが……。2000年に入ってから、吉川がまた俳優業にも力を入れ始めていることは喜ばしい限りだ。

 映画『大停電の夜に』や、NHKの大河ドラマ『天地人』の織田信長役、同じくNHKの『精霊の守り人』のジグロ役など様々なドラマや舞台、映画に精力的に出演するようになった。『探偵・由利麟太郎』は地上波初主演作品ではあるが、そこは芸歴の長い吉川のこと。きっと気負いなく、自然体で由利になりきっているのではないだろうか。

 先日は自粛期間中にひとりで食材の買いだしに出かける姿を女性誌に隠し撮りされていたが、そこにいる吉川はかつて少女たちを熱狂させたスーパーアイドルの面影をまだどこかに残しながらも、非常にいい感じで年齢を重ねた色気ある大人の男だった。『すかんぴんウォーク』から36年経ち渋い大人の男になった吉川の演技を、筆者も今宵じっくりと堪能したいと思う。80年代のあれやこれやを、ちょっと思い出したりしながら。

(エリザベス松本)

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