ピルのオンライン診察ができるアプリ「スマルナ」 女性の健康管理に選択肢を

文=雪代すみれ
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GettyImagesより

 新型コロナウイルスの影響でオンライン診察に注目が集まっています。特に産婦人科はコロナ禍以前から、「近くに病院がない」「産婦人科は心理的に行きにくく感じる」といった声が多くありました。

 2018年からピルのオンライン診察を始め、今ではダウンロード数が20万にものぼるアプリ「スマルナ」(ネクストイノベーション株式会社)では、超低用量ピル・低用量ピル・中用量ピル・緊急避妊薬の4種類のピルのオンライン診察が受けられ、筆者も実際に利用しています。

 スマルナの広報ご担当者様にお話を伺ったところ、利用者の悩みを改善する工夫や、日本のピルの普及状況や経済的影響など社会的な問題解決に向けた取り組みを意識していることが見えてきました。

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●スマルナのサービス

1)オンラインでの診察・処方・ピルのお届け
・医師の判断のもと、テキストチャットもしくはビデオ通話で診察
・ピルは平日は18時まで、土曜日は17時30分まで、日曜・祝日は16時までの決済で即日発送(一部の地域を除く)

2)助産師や薬剤師への無料相談窓口
・生理痛や生理不順、「妊娠したかもしれない」といった悩み
・ピルと他のお薬との飲み合わせや、ピルを飲み忘れてしまったときの対応など
・朝の10時から夜の10時まで、ほぼリアルタイムでチャット形式で相談可能

スマルナアプリの詳細はこちら

生理や避妊の悩みを抱える方と医者をオンラインでつなぐ

ーースマルナではどのようなサービスを行っているのでしょうか。

 大きく分けて2つあります。1つは、生理・避妊などの性の悩みを抱える患者さんと医師をオンライン上で直接つないで診察・処方・ピルのお届けまでを一貫して行っています。

 使い方としましては、まずアプリをダウンロードし、ユーザー登録、本人確認書類をお写真でアップロードしていただきます。日中でしたら5分~15分程度で承認されます。その後、問診の入力を行い、医師を選択します。医師を選択した後は診察室に入り、医師の判断によってテキストチャットまたはビデオ通話によって診察を行います。

 診察を行い、お薬の処方が決まると決済画面に進み、決済完了後に送付先の入力を行います。平日は18時、土曜日は17時30分、日曜・祝日は16時までの決済で即日発送をしていて、一部の地域を除いて翌日には届きます。

 「先生はどういった基準で選択すればいいのですか」との質問をいただくことがありますが、自由に選んでいただいてかまいません。オンラインといってもなんとなく家から近い先生を選ぶ方もいらっしゃいますし、写真の雰囲気で選ぶ方もいます。

 もう1つは、性に関する質問や相談を、助産師や薬剤師にできる無料相談窓口です。生理痛や生理不順、「妊娠したかもしれない」といった悩みや、ピルと他のお薬との飲み合わせ、ピルを飲み忘れてしまったときの対応などさまざまな相談をすることが可能です。朝の10時から夜の10時まで、ほぼリアルタイムでチャット形式で相談できます。

 診察とピルの処方は18歳以上でないと利用できないのですが、専門家への無料相談窓口は誰でもご利用いただけます。ただしiPhoneについてはApp Storeのルールで17歳以下の方はアプリのインストール自体ができなくなっています。

 若い人にとって、産婦人科は行きやすい場所ではなく、性に関する悩みを気軽に相談できる機会はほぼありません。もしどこに相談していいかわからず悩んでいる方がいたら、一緒に解決策を考えられるかもしれませんので、相談窓口を活用していただきたいです。

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箱を開けると、「はじめてガイド」と封筒が。封筒の中にピルが入っているため、同居人に知られることに抵抗がある人も安心です。

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封筒にはお薬・服用者携帯カード・飲み忘れ防止のためのカレンダーシールが入っていました。

ーー私も先日、スマルナさんでピルの処方をしていただきました。操作がわかりやすく、空き時間にやり取りをして処方していただけてとても使いやすかったです。ただ、医師を選択するとき、産婦人科以外の先生が多く、少し不安になりました。

 弊社では、社内で医師同士が集まるコンセンサスミーティングを行っており、社内で情報共有や勉強会を行っています。そのため、産婦人科以外の医師を選んでも安心して診察を受けていただけます。

 ピルの処方に医師の診察は必要ですが、必ずしも産婦人科の専門医でないといけないわけではないですし、血栓症リスクなどピルの服用が心配される方には、担当医の判断で直接産婦人科への受診を勧めています。スマルナでは診察室に入って医師の診察を受けた人のうち、ピルの処方まで進む方は6割程度です。

 もし直接産婦人科へ行きにくいと感じている場合は、お話を伺い、不安を取り除けるような精神的なサポートも行っています。実際に処方をした方にも、定期的に直接産婦人科に検査に行くことや、水分を多く摂ることなど、処方だけで終わらないケアを大切にしています。

ーー「はじめてガイド」にも副作用や定期健診について書かれており、丁寧さを感じました。もう1点疑問に感じたのは、実際に病院に行ってピルを処方してもらったときよりお値段が高かったことです。

 スマルナで受診していただく場合、保険適用にはならず自由診療となります。保険診療で受けるお薬を自由診療で受けると10割負担になるので、病院での処方より高くなります。スマルナでは自由診療に加え、ピルでも診察代・送料・システム利用料を含めた金額で表記させていただいておりますので、ぱっと見たところ高く感じるかもしれません。

 ただ今現在、実際に病院に行っても、医師が月経困難症と診断した場合のみに処方される「超低用量ピル」だけが保険適用で、多くのピルは自由診療扱いです。

自分自身のことを知り、自分らしい人生を選べるサポートをしたい

ーー貴社がスマルナのサービスを始めたのはどのような背景があったのでしょうか。

 1つ目は人工中絶数や、月経随伴症状による社会経済的負担額など「社会的問題」、2つ目は、産婦人科が近くにない・産婦人科に行きにくいという「ユーザーさんが抱える問題」、3つ目は産婦人科医不足の問題です。これらの問題を解消するためにスマルナのサービスを立ち上げました。

 女性は毎月3日~7日間生理があるとして12カ月分と考えると、年間で84日もパフォーマンスが落ちる日があります。PMS(月経前症候群)の症状がある人は不調を抱える期間がもっと長期化しますよね。経済産業省の調査によると、生理の体調不良による日本の経済的負担は1年間で6,828億円にものぼるといわれています。

 ピルを服用すればそういった症状を緩和できる可能性が高くなりますが、日本のピル服用率は世界と比較しても非常に低く、2019年の国連人口部の統計ですと服用率の高いカナダでは43.7%のところ日本はわずか0.9%です。日本ではピルの認知度も低く、避妊率、月経不順の改善や月経痛の軽減といった避妊以外の効果についてなど「よく知っている」と回答した人はわずか10%程度でした。まだまだ女性の健康管理の選択肢としてピルが認知されていないんです。

 また平成30年度の人工妊娠中絶件数は161,741件で、予定外妊娠数は約61万件と考えられています。日本で最もメジャーな避妊方法はコンドームによるものですが、計算上は途中で破れるなどして13%程度、理想的な使い方をしても2%は失敗しています。ピルを正しく服用した場合には、99.7%の避妊効果が期待できるといわれており、より確実な避妊が行えるのです。

ーー健康管理としても避妊方法としても、まだまだ選択肢としてあまり考えられていないのですね。また日本では、男性が生理について理解していないことも、女性が社会で働くうえで障害になっていると感じます。

 弊社はスマルナという事業をやっていることもあり、男性社員を含めて生理についてよく知っている者が多いのですが、外では「会社で生理の話なんてとてもできない」といった声も聞きます。生理の大変さはなかなか女性でないと理解できないものですが、弊社の男性社員はなるべくユーザーさんの気持ちを知りたいと考えている者も多く、ピルを毎日同じ時間に飲むのと同じように、アラームをつけてPTP包装されている占いチョコを毎日同じ時間に食べている社員もいます。社内では、男性社員が生理について学ぶ機会を設けたりもしています。

ーー生理で辛いと言ったら、男性社員からニヤニヤされたり不機嫌なのかとからかわれたりする雰囲気の職場もまだまだありますよね。

 生理痛が辛いと仕事のパフォーマンスが毎月落ちていますし、婦人科疾患が隠れている場合もあります。なので、本来はニヤニヤしたりからかっている場合ではないんですよね。ただ男性も生理のことを習っていなくて、生理は月に1回1日だけちょっと血が出るものだと思っている方もいるんです。

 弊社では「世界中の医療空間と体験を再定義する」ことを掲げていて、病気になる前に病院にアクセスしやすくなる社会を目指しています。例えば女性社員が「生理が辛い」と話しているときに男性の上司が「生理痛があるならこういう対策があるよ」といった会話が、いずれは自然に行われるようになればと考えています。

ーーピルについては女性でもまだ避妊以外の効果があまり知られていないというデータもありましたし、私自身も勉強する前はピルは性行為のときにコンドームをつけたくない、性に奔放な人が飲むものという偏見がありました。

 性感染症の予防からコンドームを併用することが望ましいですが、避妊のためにピルを飲むことは何も悪いことではないですよね。コンドームは男性主体の避妊方法であって、女性が自分の身を守るために、女性主体の避妊方法ももっと広まったほうがいいと思っています。避妊も含め自分の健康管理のためにピルという選択肢を知っていることは、自分の身体のことを知りヘルスリテラシーを高めることであって、ピルに対してポジティブなイメージを形成していきたいです。

 ただ、ピルの服用は強要するものではありません。弊社はスマルナのような事業をしていますが、女性社員にピルを飲みなさいという空気はなく、飲んでいない者もいます。ピルの認知度が高まり、女性の健康管理の選択肢が増えればと考えています。

ーー最後に、生理や避妊など性に関して悩んでいる方にメッセージをいただけますか。

 本当は産婦人科に直接行き、生理がきた女性は産婦人科にかかりつけ医を持った方がいいと思っています。なので、みなさんにスマルナを勧めているわけではありません。しかし、まだまだ産婦人科への物理的・精神的な行きにくさはあると感じています。性や生理について誰に相談したらいいかわからず悩んでいる方は、解決の助けになれればと思っているので、スマルナの利用を検討してみてください。

★スマルナ公式HP

★スマルナが医師監修により作成した「経口避妊薬ファクトブック」

(取材・文/雪代すみれ)

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