京都産業大学「コロナ感染者ゼロまで入構を認めない」は誤解か

文=宮西瀬名
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GettyImagesより

 京都府にある京都産業大学(以下、京産大)が6月17日に発表した「新型コロナウイルス感染症に対する活動指針」に、ネット上で疑問の声が上がっている。

 京産大の「新型コロナウイルス感染症に対する活動指針」によれば、「レベル1」と位置付ける「国内で感染が認められない(感染防止要請あり)」場合、「学生のキャンパスへの入構を可能とする」。これはつまり、国内感染者が0人にならなくては、学生はキャンパスに入構することができないということなのだろうか。

 現在も東京を中心に、新型コロナウィルスの新規感染者は出ており、まだ終息には至らない。「withコロナ」を掲げ、新型コロナウィルスと共存し注意を払いながら日常生活を送る状況だ。国内感染者がゼロになる日がいつ来るかはわからない。

 同府にある京都府立大学も指針を発表しているが、こちらは「国内で感染が認められる」場合であっても、「感染拡大に最大限の配慮をして、対面授業、演習・実習を制限しつつ授業を行う」との方針だ。京産大の「ゼロになるまでオンライン授業」という指針は些か厳しすぎるのではないか、という声がネット上では多く出ている。

 ただ今春、京産大生を中心としたクラスターが発生した際、大学に誹謗中傷の電話やメールが寄せられ、中には「京産大生の入店お断り」の張り紙を出す飲食店が出るなど、同大学は凄惨なバッシングや迫害を受けた。その経験を踏まえ、厳しい指針を出さざるを得なかった側面もあるのではないか。

 そこで筆者が京産大へ問い合わせたところ、「国内感染者が完全にゼロになるまで入構を禁止する、というのは誤解」であるとわかった。指針はあくまで“目安”であり、状況によっては、「レベル1」と判断するケースもあるという。以下、問い合わせへの回答だ。

<本学が示した活動指針につきましては、目安となる基準を示したものであり、絶対的な基準ではありません。

活動指針レベルの判定については、学生の安全を最優先に考えたうえで、より詳細な感染状況や政府等からの各種要請、他大学の状況等を考慮のうえ、緊急対策本部において総合的に判断します。

例えば、国内での感染が認められる場合であっても、その感染が限定的で、感染拡大の影響がないと見なせる状況であれば、本学の活動指針レベル「1」と判断します>

 同大は「本学の意図とは異なる解釈をされてはいけない」として、25日、webサイトにも「活動指針の判定についてお問い合わせをいただいた」と、上記と同様の説明文を掲載している。

 こちらの回答は6月25日に京産大のホームページに記載されているが、指針はあくまで“目安”であり、状況によっては、「レベル1」と判断するケースもあるようだ。指針の内容はあくまで目安であり、柔軟に判断を行うのであれば、京都府立大学のものと大差ない。また、この春の学生のコロナ感染により受けたバッシングは、指標の判断に一切影響していないという。

 未曾有の事態に直面し、多くの大学が対応に苦慮している。学生の学ぶ機会が損なわれないよう、柔軟な対応に期待したい。

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