木村花さんは『テラハ』スタッフに煽られ死を選んだか 「カメラの前でキレろ」と指示

文=wezzy編集部
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『テラスハウスTOKYO 2019-2020』番組ホームページより

 『テラスハウスTOKYO 2019-2020』(フジテレビ、Netflix)に出演していた女子プロレスラー・木村花さんの死をめぐって、母・響子さんが重要な事実を明らかにした。『テラスハウス』では番組を盛り上げるため、スタッフによる“やらせ”があり、それが彼女を追い詰めていたというのだ。

 7月2日発売の「週刊文春」(文藝春秋)が掲載した響子さんの証言によると、花さんは番組側から「自己主張ばかりで人の話を聞かない」というキャラクターを設定されており、出演者との衝突の場面も“演出”だったという。

 木村花さんがネットでバッシングされるきっかけとなったのは、大切なプロレスのコスチュームを男性共演者が洗濯機で縮ませてしまったことに激怒したシーンが流れたことだった。

 その場面で花さんは怒りのあまり男性がかぶっていた帽子を放り投げるくだりもあったが、実はそこには演出指示があり、スタッフは<ビンタしたらいいじゃん>と煽っていたという。プロレスラーとして暴力を振るうわけにはいかないと躊躇した花さんは、苦し紛れに帽子をはたき落とした。それでもネットは炎上してしまった。

 スタッフに指示されてやったことであり、本意ではなかったにもかかわらず、花さんは強い批判に晒され傷ついた。花さんは友人にLINEで<自分の仕事道具壊されて、スタッフにカメラの前でキレろって言われて>と撮影の内情を暴露するメッセージを送っていたという。キレたシーンの撮影後、スタッフから「すごい良かったよ」と声をかけられ、“人間不信になった”とこぼしてもいたそうだ。

 『テラハ』としては、この炎上シーンは“おいしい事件”だったのだろう。3月31日のNetflix配信・5月14日アップのYouTube動画・同月18日の地上波放送と、何度も花さんがキレるシーンを放送。日を追うごとに過熱するSNSの炎上も放置した。

 木村花さんは3月31日のNetflix配信が終わった直後に8針も縫うほどのリストカットをしており、番組スタッフにもフォロワーからの誹謗中傷に傷ついている旨を伝えていたそうだ。それでも問題のシーンは訂正されることなく流され続けた。

 記事によれば、そもそも昨年11月の時点で木村花さんは番組出演をやめたいと申し出ていたそうだが、スタッフは<目立つキャラの人が入るまで待って><花ちゃんがいると視聴率が取れるから>と慰留。心身ともに追い詰められながらも番組出演を続けざるを得なかったという。なぜなら、出演者がフジテレビと制作会社のイースト・エンタテインメントとの間で交わす「同意書兼誓約書」には、卒業時期の指示・決定や“演出”に従わなければ、多額の賠償額を請求するとあったためだ。

 また、「女性セブン」2020年6月11日号(小学館)で現役のテラハ制作スタッフが告発したところによれば、出演者同士の衝突を映すと視聴者のネットでの反応が目に見えて良くなることから、スタッフが「もっと怒鳴り合って!」と指示を出すこともあったという。

 過剰な演出を強いて、実際の人物像とは異なるキャラクターを仕立て上げ、炎上しても放置するスタッフへの不信感。花さんを追い詰めたのは“ネットの誹謗中傷”だけではないということになる。

 フジテレビは『テラスハウス』の制作・放送・配信を中止しているが、「番組側がSNSでの炎上を狙った演出を行い、それによって出演者が精神的な傷を負う」という構図は、恋愛リアリティーショーのみならず、多くのバラエティ番組に共通するものだ。

 悲劇を繰り返さないためにも、「どのような経緯で炎上場面はつくられたのか」「それによって起きた炎上と誹謗中傷に対して番組側はどのように対処したのか」といった『テラスハウス』の諸問題を徹底的に検証し、その結果を公開しなければならない。出演者やタレント、制作スタッフなど一箇所に責任を押し付けるのではなく、構造的な問題まで炙り出す必要があるだろう。

 “いかにして番組を盛り上げるか”を検討し、視聴者を喜ばせるためという名目で一生懸命に番組を作っていたとしても、つまり、そこにたとえ悪意がなくても、「だから仕方がなかったのだ」とは言えない。人が一人、追い詰められて亡くなっているのだ。死を招くほどの理不尽が、番組制作現場にあった。そのことをまず、認識して欲しい。

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