中学生が「部活の強制参加をやめて」と署名活動 部活動の自主性訴え

文=宮西瀬名
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GettyImagesより

 教師の長時間労働の要因の一つとなっている、「部活動」。森永製菓株式会社が部活顧問の教師や現役生などを対象に実施した調査によると、教師の7割以上が「部活動を負担に感じている」と回答し、その多くが「時間的理由」(97.5%)を挙げた。実際、1日あたり平均1.78時間も部活動の指導に時間を割いており、毎日約2時間も“残業”していることになる。

 部活動の指導にやりがいを感じている教師もいるだろうが、必ずしも部活動の顧問をやりたい教師ばかりではない。名古屋大学大学院の内田良准教授が中学校教師を対象に実施した調査結果では、「来年度、部活動の顧問を担当したくない」(49.5%)という回答が半数近くも寄せられたという。

 部活動による負担は教師のみならず生徒にものしかかる。スポーツ庁の「平成29年度『運動部活動等に関する実態調査』集計状況」によると、運動部に所属する公立中学校に通う生徒に「部活動や学校生活に関する悩み」を聞くと、「部活動の時間・日数が長い」(19.9%)が最多。次いで、「学業との両立」(16.3%)、「体がだるい」(16.0%)といった回答が票を集めた。

 熱心に部活動に取り組みたい生徒もいれば、「入部したい部活動がない」「放課後は勉強を頑張りたい」といった理由から部活動に参加したくない生徒もいるはずだが、スポーツ庁の上記の調査では、「(部活動に)全員が所属し、活動も原則参加する」と回答した公立中学校は3割近い。無理やり部活動に所属させられ、勉強する時間や趣味に割く時間を奪われている生徒も少なくないのではないだろうか。

 現役中学1年生でサッカー部に所属する田中さん(仮名)は、自身が通う中学校が部活動加入を強制していることに違和感を覚え、オンライン署名サイト「change.org」にて、「部活動強制を今すぐやめてください。部活でのコロナ感染防止やいじめや負担に悩んでいる子供たちと先生方のために中学校での部活動強制反対!!」というキャンペーンを同級生のともに開始。萩生田光一文部科学大臣を始め、各都道府県知事などに、部活動加入の完全自由性を求めている。

 田中さんは「部活動は生徒にとって、肉体的、精神的にとても負担になっています。部活が19時に終わることは珍しくなく、帰ってから授業の予習復習に時間を割く体力は残っていません」と言い、部活による疲労が学習に影響していると話した。

「自らが所属するサッカー部は基本的に週5日活動。体力を十分に回復していない状態で授業を受けていて、先生の話が頭に入らず時間だけが過ぎることもよくあります」(田中さん)

 精神的な負担としては、部活内の上下関係による理不尽ないびりなどがある。たとえば「上手い後輩には優しく声をかけるけど、下手な人には厳しい言葉を浴びせたり意地悪なことを言ったりする先輩」。特に体育会系の部活では、礼儀や“適切な上下関係”を学ばせるため、そうした振る舞いを正当化することもあるだろう。だが敢えてストレスをかけ、苦痛を与える必要があるのだろうか。

 田中さんのいるサッカー部では、どれだけ肉体的・精神的に負担になっていても、部活動を「簡単に休んではいけない」空気が強いという。

「怪我をして病院に行くために部活を休むと、先輩から『どこの病院に行ったのか?』と細かく聞かれます。先生にも同じような報告をしますが、それはただの“報告”と言うか……。先輩の場合は『ズル休みをしてないか』をチェックする“詮索”みたいな感じです。だから、ちゃんとした理由で部活を休みたくても、先輩に詮索されるのが嫌で簡単に休めません」(田中さん)

 田中さんはサッカーをやりたくなくなったわけではなく、週5日の参加を義務付けられ簡単には休めないサッカー部がつらい。たとえば活動日が週2日になったら続けたいのだという。そうした希望や不満を顧問の教師に相談することは、「先生は部活の指導だけではなく、いろいろな作業をしているのでとても大変そう」なため、憚られるという。

 結果的に入学早々、田中さんにとって、部活動は様々なストレスの源となっており、「正直、部活は止めたい」。しかし田中さんの通う中学校は部活動の数が非常に少なく、文化部も合唱部と美術部の二つしかない。そこで田中さんは、“部活動の強制加入の廃止”を訴えることにした。

「部活加入は生徒個人の意思で決められるようになってほしいですし、部活自体も休みたい時は休めてやりたい時に自由にやれる形になってほしいです。本気でプレーしたい人は地域のクラブチームに所属して、友達と楽しくプレーしたい人は部活に所属する、みたいな選択肢も増えてくれると嬉しいですね」(田中さん)

 現在、「change.org」での署名数は1万5000人を超えており、多くの人が田中さんの活動を後押ししている。

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