
IZ*ONE公式Twitterより
IZ*ONE(アイズワン)が6月15日にリリースしたミニアルバム『Oneiric Diary(幻想日記)』には、表題曲である「환상동화(Secret Story of the Swan)」の日本語歌詞バージョン(「幻想童話(Secret Story of the Swan)(Japanese Ver.)」)が収録されているのだが、その訳詞をメンバーの宮脇咲良と矢吹奈子が担当している。
その制作過程にはたくさんの苦労があったようだ。特に、サビに出てくる印象的なフレーズを韓国語から日本語に訳すときにどう活かすかについては、悩みに悩んだと言う。宮脇咲良は冠ラジオ番組『今夜、咲良の木の下で』(bayfm)でこのように話していた。
<日本語訳するのけっこう難しいんですよね。特にやっぱり우아하게(ウアハゲ)っていう部分あるじゃないですか。もうけっこうキーリングポイント(楽曲の中で一番目立つ部分)で、何回も出てくるポイントで、すごいこれをどうするかっていうのを本当に悩んで。英語でしてみるか、우아하게ってそのまま韓国語でしてみるか、それとも日本語にしてみるかっていうのを考えた結果、大人の皆さんとも色々話して『優雅に』ってことになったんですけれども、本当に色んな言い回しだったり、韓国語にしかなくて日本語にはなかなかない表現だったり、逆に日本語にはあるけど韓国語にはない表現だったりとか色々言葉の文化の違いってあるじゃないですか? そこを解釈しながら歌詞をつくるのってすごく難しかったんですけども、奈子とふたりで頑張ったので、是非この日本語バージョンも聴いてみてください>
日本語歌詞の「幻想童話」は原曲のストーリーを活かしつつ、日本語の響きを活かすため大胆に変えている部分もあり、両曲の歌詞を読み比べてみるのも楽しい。
ちなみに、『Oneiric Diary(幻想日記)』には、本田仁美が単独で韓国語歌詞を作詞した「Merry-Go-Round」の日本語バージョンが収録されており、そちらの翻訳は本田が担当している。
IZ*ONEは作詞・作曲にも積極的に参加するアイドルグループ
IZ*ONEが日本語曲を歌う際はこれまですべての曲で秋元康氏が作詞を担当してきた。彼女たちはこれまで「好きと言わせたい」「Buenos Aires」「Vampire」と3枚の日本版シングルをリリースしているが、韓国語歌詞の「Love Bubble」以外は表題曲・カップリングすべて秋元氏のペンによるものだった。今回、秋元氏が参加せずメンバー自身が歌詞を書いたのは大きな変化だ。
ただ、韓国側が主導した作品ではずいぶん前からメンバーが作詞や作曲のクリエイティブに関わっていた。2018年10月リリースのデビュー作『COLOR*IZ』はすべて外部ライターの作品だったが、以後リリースされた作品では必ずメンバーが楽曲制作に加わっている。
たとえば、2019年4月リリースのミニアルバム『HEART*IZ』では、「Really Like You」の作詞にキム・ミンジュと本田仁美が関わり、日本語曲の「猫になりたい」と「ご機嫌サヨナラ」の韓国語翻案をそれぞれミンジュとイ・チェヨンが担当している。
その後は作詞だけでなく作曲にもメンバーが携わるようになった。2020年2月リリースのフルアルバム『BLOOM*IZ』ではクォン・ウンビとチョ・ユリがそれぞれ作詞のみならず作曲クレジットに名を連ね、最新作『Oneiric Diary(幻想日記)』でもメンバー全員が共作で歌詞を書いた「With*One」の作曲と編曲にウンビが入っている。
K-POPのグループは近年メンバーが積極的に楽曲制作に関わる例が増えており、TWICEもメンバーがクリエイティブに関わる比率が増しているが、デビューからまだ日が浅く、メンバーの平均年齢も低いことを考えると、IZ*ONEの成長はかなりのスピードだ。
IZ*ONEは期間限定のグループで、2021年4月には解散する予定。残された時間はもう1年もないが、それまでの間、クリエイターとしても成長する12人の姿を見ることができるのは、ファンにとってこのうえない幸福だろう。