500円玉サイズの高級さくらんぼも開発中!日本の美味しいさくらんぼのこと

文=和久井香菜子
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左から、3Lの紅秀峰、Mの佐藤錦、アメリカンチェリー

 7月、旬真っ盛りのさくらんぼ。つやのある丸くて小さな果実、そして甘味と酸味が魅力的です。でも、実の中に種があるし、食べるところーー可食部が少ないわりにお値段の張る、高級な果物というイメージがありました。

 デパートの贈答品になると、佐藤錦や紅秀峰などの品種が500gで4000円以上、化粧箱に入っていると一万円以上するものまであるんです。さくらんぼを買うときは、安価で大ぶりなアメリカンチェリーを選んでしまう貧乏性の私……。

 同じさくらんぼなのに、どうしてこんなに値段が違うのでしょう? そしてその値段なりのお味の違いはあるのでしょうか?

 さくらんぼの生産量日本一の山形県東根市役所・農林課の岡田さんと、農協園芸企画課の笹原さんに聞きました。

山形のさくらんぼにハズレなし

 さくらんぼの品種といえば、佐藤錦が断トツで有名です。でもサイズが細かく規定されているって、ご存知でしたか?

S 16mm以上(加工用のみ)
M 19mm以上
L 22mm以上
2L 25mm以上
3L 28mm以上
4L 31mm以上

 色は、より赤い方が「秀」としてランクが上がります。品種としては佐藤錦よりも紅秀峰のほうが赤く、大粒の傾向があります。スーパーで売っているのは比較的安価なMサイズが多く、贈答品になるのは2L以上のものだそうです。

 私はスーパーでは佐藤錦しか見たことがないですが、笹原さんによるとさくらんぼの品種は様々。

「ナポレオン、高砂、紅さやかなどがあり、これらは酸味がやや強めなのが特徴です。今の時期おすすめなのは紅秀峰。7月中旬くらいまでが最も旬で、甘味が強くて固めの果肉が人気です」(笹原さん)

 個人的には果物は酸っぱい方が、ビタミンが多そうな気がして好みです。それにどうせ買うなら、安価なほうが手を出しやすいですよね。それに高い果物を買っても、甘味も酸味も物足りないようなハズレがあると怖い。

 ところが山形のさくらんぼに限ってはハズレがないのだとか!

「山形での生産の8割は佐藤錦で、甘味と酸味のバランスが最もよいでしょう。それぞれの品種によって一番美味しい収穫の時期があります。農家の方々が長年の経験と勘によって自信をもってお届けしているので、店頭に並んでいるものはどれも美味しいですよ」(笹原さん)

 すごい自信です。でも佐藤錦でちゃんと美味しいのに、それよりも高級なさくらんぼの品種って、何が違うのでしょうか? やはり高級品は、大粒であることが大事なのだそうです。そして大粒のさくらんぼを育てるのは本当に手がかかります。

「実の大きなさくらんぼを育てるためには、剪定やこまめな消毒が必要です。そうして2L以上に実り、赤く着色された面積が50%以上のものを『秀』、70%以上のものは『特秀』となり、高級さくらんぼとして出荷されます。表面に傷がつかないよう、箸を使うなど慎重に手作業で桐箱などに詰められるため、収穫後にも手間がかかるんです」(岡田さん)

 さくらんぼの旬は、母の日や父の日、お中元という贈答品シーズンでもあります。そのため最近はカーネーションとセットでの販売もあるとか。

 高級化粧箱に入ったさくらんぼは、整然と並べられた赤い宝石みたい。確かに贈り映えしそうです。

 人に何かを贈るときには「自分では買わないけど、興味のあるもの」がベストだと思ってます。そういう意味でもうってつけですね。

 お話を伺った上で、各種さくらんぼを買って食べ比べてみました。

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佐藤錦

 まずはスーパーで買ったMの佐藤錦(380g 498円で購入)から。わりと酸味が強くて、甘酸っぱいです。実もハリがあってプリプリでした。

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アメリカンチェリー

 次にアメリカンチェリー(350g 398円)。今まで気付かなかったけど、食べ比べてみるすこし苦みがありますね。実は大きいですが、ブニュリと柔らかい食感でした。

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紅秀峰

 最後に贈答品用の高級紅秀峰(3L、1kg 5000円)、いってみます。3Lとあって、アメリカンチェリーに劣らないどころか、それに勝る大きさです。そして、赤い! そして……甘い! なにこれ甘い!! そして、種の大きさは佐藤錦と変わらないのに実が大きいので、一粒食べただけで口の中がさくらんぼでいっぱいに。甘くさわやかな香りで充満しています。これは贈答品になるわ! 贈られたいです毎年。

 というわけで高級さくらんぼの種率がかなり低いことはわかりましたが、いっそ「種なしさくらんぼ」が出たら可食部が増えるのでは?

「種なしさくらんぼの取り組みはないですが、現在は500円玉サイズになる大きな品種の改良を進めています。それが実現すると食べる実の部分がもっと多くなります。苗を山形県から農家さんに売っていて、4〜5年後に市場に出す見通しで取り組んでいます」(岡田さん)

 500円玉というと、アメリカンチェリーよりも大きいですよ……? 日本のさくらんぼ=小ぶりというイメージが覆る日は近いのですね。

 今年の旬は、コロナ禍で多くの地域でさくらんぼ狩りが自粛となりました。その分、果樹園の直売やネット販売など、形を変えて提供しているそうです。

 大きさばかりに気をとられていましたが、さくらんぼは皮をむく必要もなければ、包丁もいりません。手も汚れにくいし、果物の中でも食べやすさは随一です。

 今年のさくらんぼシーズンもあとわずか。まだの方はぜひ食べ逃しのないようにご注意ください。日本のさくらんぼ、めちゃくちゃ美味しいです。

(文=和久井香菜子 取材=ブラインドライターズ執筆部)

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