万年筆には詳しくないけれどモンブランやパーカーなら知っているという人たちにとってKawecoは筆記具メーカーと結びつかない未知のブランドといってもいいかもしれません。でも、もしご存知なら堂々と胸を張って「万年筆好き」と名乗って欲しい、そんな万年筆がKawecoです。

ドイツ生まれの個性派ブランド
Kawecoは1883年ドイツのハイデルベルクという年間100万人以上の観光客が訪れる美しい古城の街で生まれました。少し読みにくいブランド名は、ハインリッヒ・コッホ(Koch)とルドルフ・ウェバー(Weber)のふたりの創業者の名前からKawecoと名付けれています。
Kawecoというブランドは、1972年のドイツ・ミュンヘンオリンピック開催の際の公式ペンに認定されて、一躍名をとどろかせたのですが、1976年に一度幕を下ろす事になります。
しかし、1995年、同じドイツのグッドパレット社の手によってふたたびKawecoのブランドが復活。独特のシルエットに機能性と携帯性を兼ね備えたペンが再登場しました。
Kaweco ACスポーツの魅力

他のだれにも似ていない万年筆
今回紹介するKawecoのACスポーツは、アルミ素材から削り出した軸にカーボンファイバーを組み合わせた万年筆です。手のひらの中に収まる筐体に触れると、まるでスポーツカーのハンドルを握るようなワクワク感が指先から伝わってきます。
スタイリッシュで洗練されたデザインは、他の万年筆より個性的で、どれにも似ていない唯一無二の筆記具と言えます。
ポケットの中の万年筆

無造作な使い方も似合う万年筆
キーホルダーや小銭入れのごとくジーンズのポケットに入れて持ち歩く……高級筆記具のイメージがある万年筆とは結びつかないスタイルもよく似合います。
疾走するスポーツカーのイメージを持ちながら、パリダカ(ダカール・ラリー)を走る4WDのようなアグレッシブさを備えたスタイルはまさにハイブリッドな万年筆と呼ぶにふさわしい1本です。

わずか105mmのコンパクトな万年筆
ペン先を収納した状態ではわずか105mmの長さで、胸ポットよりもジーンズのポケットの方がよく似合うコンパクトなサイズですが、筆記の際キャップを外して尻軸につなげると全長130mmと一般的な筆記具に近い書きやすい長さになります。
重心はやや後方に下がりますが、親指と人差し指の間で支える時の重量感に万年筆らしい高級筆記具感が伝わってきます。
オプションでさらに楽しく

ボールペンとセットで持ち運べる専用ペンケース
Kawecoスポーツシリーズが2本収納できる専用ケース(別売)を使うと万年筆と一緒に同じスポーツシリーズのボールペンやシャープペンシルと一緒に携帯することができます。
スマートフォンにポケットサイズの手帳やメモ、それにこのペンセットをジーンズのポケットに入れていけば、必要最小限の荷物でちょっとしたお出かけが可能になります。
ケースにはKawecoのエンブレムが描かれたチャームが付いていて、さりげないオシャレな雰囲気を演出しています。

コンバータを使えば市販されている万年筆インクが使えます
ACスポーツはヨーロッパタイプの小さなカートリッジに対応していますが、このサイズにあわせた専用コンバーター(別売)も販売されています。
このコンバーターを使えば、専用カートリッジに縛られることなく、市場に流通している約2000種類ともいわれる数の万年筆インクの中から、お好みのインクを使ってACスポーツを楽しめます。
ジーンズのように経年変化を楽しむ

8年使い込んだACスポーツと新品との比較
経年変化を楽しむアイテムといえば、財布や鞄などの革製品を思い浮かべる人が多いかもかもしれません、けれど経年変化を楽しむ事ができる万年筆もあります。
代表的なものではブライヤー製(喫煙具のパイプなどに使用されている)の万年筆で、初めは白みがかった軸が段々と光沢のあるブラウンへ変化していきます。
KawecoのACスポーツはブライヤーとは異なりますが、本体の塗装がこすれて地の色が表面に現れてくる変化も楽しめるタイプの万年筆だといえます。
革製品の愛好家の方なら、経年変化の過程は自分の手で育てたいと思うはず、ACスポーツはそんな変化を楽しながら人生を共有することができる数少ない万年筆です。